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WEC第3戦モンツァ6時間、トヨタ「GR010 HYBRID」7号車が優勝 次戦は「ル・マン24時間レース」

2021年7月18日(現地時間) 開催

小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペス組のGR010 HYBRID 7号車が第3戦モンツァ6時間レースで優勝

 TOYOTA GAZOO Racingは、イタリアのモンツァ・サーキットで7月18日(現地時間)に開催されたWEC(FIA世界耐久選手権)第3戦モンツァ6時間レースの決勝でマイク・コンウェイ、小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペス組のGR010 HYBRID 7号車が優勝。チームは開幕から3連勝を果たした。

 マイク・コンウェイ、小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペス組のGR010 HYBRID 7号車は今季初勝利。204周を走り抜いて、2位のアルピーヌ36号車との差は60.908秒であった。

 開幕から2戦を制しているセバスチャン・ブエミ、中嶋一貴、ブレンドン・ハートレー組のGR010 HYBRID 8号車は、テクニカルトラブルに見舞われ、総合33位でチェッカーを受けた。

 TOYOTA GAZOO Racingは、今回の結果によりWECのチーム選手権では、アルピーヌに対するリードを30ポイントへ拡大。ドライバーズ選手権では、8号車と7号車の差は6ポイントに縮まった。

 今後、TOYOTA GAZOO Racingチームは8月21日~22日に開催されるシーズン最大のイベント「ル・マン24時間レース」へ向けて、本拠地のドイツ・ケルンに戻り、今回発生した技術的な問題を徹底的に調査するとしている。

第3戦モンツァ6時間レースで優勝したGR010 HYBRID 7号車の小林可夢偉選手、マイク・コンウェイ選手、ホセ・マリア・ロペス選手

 TOYOTA GAZOO Racing WEC チーム代表の村田久武氏は「TOYOTA GAZOO Racingにとって、今日は実りある素晴らしい一日でした。われわれの7号車、そして、WRCで戦う仲間たちのラリー・エストニアでの勝利、おめでとうございます。WEC初開催となった今回のモンツァ戦は、特にエキサイティングな一戦として記憶に残るでしょう。また、再びグランドスタンドにファンの皆様をお迎えできたことを嬉しく思います。7号車のクルーは真のファイティングスピリットを見せてくれ、それがシーズン初勝利という形で報われました。8号車はトラブルに悩まされ、3連勝を勝ち取ることができなかったことは、一貴、セバスチャン、ブレンドンに申し訳なく思います。ただ、決して諦めず、必死にクルマをレースに戻そうとしてくれたメカニックたちには感謝を伝えたいですし、また、そのためにチーム全員が大変な努力をしてくれました。ディフェンディングチャンピオンとしてタイトルを死守すべく、そして、ハイパーカーでの記念すべき初優勝を目指し、われわれの目はもう、ル・マンに向いています。そのゴールを達成するために、やるべきことがまだたくさんあります」とコメント。

 ル・マンレースウィークは、8月15日の公式テストデーで幕を開ける。

GR010 HYBRID 7号車と8号車の各ドライバーのコメント全文

 今回のレース結果に対して、GR010 HYBRID 7号車と8号車のドライバーがコメントを発表。以下はその全文となる。

小林可夢偉選手(GR010 HYBRID 7号車):われわれ7号車はシーズンの序盤2戦からそうでしたが、レースウィークを通して速かったです。過去2戦では運に恵まれず、今日も幾つかトラブルに見舞われましたが、ようやく勝つことができました。この週末のレースで、ル・マンでは絶対に許されない信頼性の問題が発生し、まだ相当な努力が必要だということを示したと思います。7号車は本当に強くなっていますし、チームとしてまとまっているので、今年のル・マンは大きなチャンスだと思っています。今日はモンツァで勝つことができて本当に嬉しいですし、ここで勢いが得られたことは、次に待つ最大のレースへ向け、とても重要です。

マイク・コンウェイ選手(GR010 HYBRID 7号車):モンツァは素晴らしいコースですし、ファンの皆様も戻ってきたこのレースで勝つことができて最高の気分です。GR010 HYBRIDはレースウィークを通じて好感触で、走行を重ねるごとに調子を上げていきました。決勝レースでは、必要なときに後続との差を広げることができ、ペースもよかったです。終盤は可夢偉のトラブルやタイヤパンクなどもあり、一進一退の攻防となりましたが、首位を守りきることができ、面白いレースだったと思います。今季初勝利を手にすることができて本当に嬉しいです。8号車は大変な一日でしたが、7号車についてはとても満足しています。

ホセ・マリア・ロペス選手(GR010 HYBRID 7号車):何が起こるか分からないのが耐久レースですが、今日は本当にさまざまなことが起こりました。とんでもないレースでしたが、われわれは着実に走り抜き、勝利しました。レースは常に最速の車両が勝つというわけではありませんが、われわれ7号車はこの週末最速であり、このことは次戦ル・マンへ向けてとても励みになります。レース前の全てのセッションでトップタイムをマークし、ポール・トゥ・ウィンを飾るというのは、なかなかないことですが、それをともに成し遂げてくれた可夢偉とマイクを誇りに思っています。エンジニアやメカニックといったチームクルーも全員がとてもよく頑張ってくれました。TGR全体としては大変なレースでしたが、さらに強くなってル・マンに臨みたいと思います。

中嶋一貴選手(GR010 HYBRID 8号車):私がドライブするときには、既に修復のために大きくタイムを失っており、できることは安全に8号車をチェッカーまで走らせることだけでした。8号車を完走させるために大変な作業をこなしてくれたメカニック全員に感謝するとともに、優勝した7号車を祝福します。彼らの戦いぶりは勝利に値する素晴らしいもので、チームとして連勝できたこともよかったです。ル・マンはもっとスムーズなレースになることを願っています。

セバスチャン・ブエミ選手(GR010 HYBRID 8号車):われわれにとってはとても難しいレースになってしまいましたが、全力は尽くしました。序盤は順調で、僅差の2位で7号車についていけました。その後、燃料系のトラブルに続き、ホイールハブにもトラブルが発生しました。6時間のレースではこれらのトラブルで失った時間を取り戻すのは難しく、われわれにできることはあまりありませんでした。選手権ポイントを多く獲得できなかったのは残念です。ル・マンまでにはこの問題を克服しなくてはなりません。

ブレンドン・ハートレー選手(GR010 HYBRID 8号車):今日がわれわれの日ではないのは間違いありません。しかし、ル・マンではなく、モンツァでこの様なトラブルに見舞われたことはよかったと思います。ル・マンはシーズン1年で最も勝ちたいレースです。われわれの8号車は燃料系のトラブルに見舞われ、修復のためにピットイン、その後ホイールハブのトラブルも発生しました。ドライバーズポイント争いでは差を詰められてしまいましたが、まだシーズンは続きますし、こういうことがあるのがモータースポーツだと分かっています。ル・マンへ向けて仕切り直します。

WEC 第3戦 モンツァ6時間 決勝結果(総合順位)

1:7号車 マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス(TOYOTA GAZOO Racing/トヨタ GR010 HYBRID)
2:36号車アンドレ・ネグラオ/ニコラス・ラピエール/マシュー・バキシビエール(アルピーヌ・エルフ・マトムート/アルピーヌ A480-Gibson)
3:22号車 フィリップ・ハンソン/ファビオ・シェーラー/フィリペ・アルバカーキ(ユナイテッド・オートスポーツ USA/Oreca 07-Gibson)
4:709号車 ロマン・デュマ/フランク・マイルー/リチャード・ウェストブルック(グリッケンハウス・レーシング/グリッケンハウス 007 LMH)
5:31号車 ロビン・フラインス/フェルディナンド・ハプスブルク/シャルル・ミレッシ(チームWRT/Oreca 07-Gibson)

33:8号車 セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/ブレンドン・ハートレー(TOYOTA GAZOO Racing/トヨタ GR010 HYBRID)