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トヨタGR、5月1日のWEC開幕戦「スパ6時間レース」で「GR010 HYBRID」デビュー

2021年5月1日(現地時間)開催

スパ6時間レースでTOYOTA GAZOO Racingの新型レーシングカー「GR010 HYBRID」がデビュー

直接のライバルであるアルピーヌと初めて相まみえる

 5月1日(現地時間)、2021年シーズンのWEC(FIA世界耐久選手権)の開幕戦にあたるスパ6時間レース(スパ・フランコルシャン・サーキット)で、TOYOTA GAZOO Racing(トヨタ自動車)の新型レーシングカー「GR010 HYBRID」(ジーアールゼロイチゼロハイブリッド)がデビューする。

 チームは世界チャンピオンの防衛とル・マン24時間レース4連覇を目指し、2020年と同じドライバーラインアップでシーズンに臨むこととなっており、2020年にワールドチャンピオンに輝いた、チーム4年目のシーズンとなる小林可夢偉選手、マイク・コンウェイ選手、ホセ・マリア・ロペス選手がGR010 HYBRID 7号車を、2020年のル・マン24時間勝者である中嶋一貴選手、セバスチャン・ブエミ選手、ブレンドン・ハートレー選手がGR010 HYBRID 8号車をドライブする。

 TOYOTA GAZOO Racingは2020年10月の初走行以来、3つのサーキットで合計数千kmに及ぶテスト走行をこなしてきており、開幕戦のスパ6時間に向けた総仕上げとして4月26日~27日にスパ・フランコルシャンで行なわれるプロローグテストに臨む。このプロローグテストでは、GR010 HYBRIDは初めてライバル車両と同時にサーキットを走ることになり、またチームとドライバーにとっては旧来のLMP1カーとして参戦する直接のライバルであるアルピーヌと初めて相まみえることになり、コース上のトラフィックの中で新型車を評価する重要な機会として位置付けられている。

 GR010 HYBRIDは、120km/hを超えると前輪に装着された最大272馬力のモータージェネレーターユニットと3.5リッターV6ツインターボエンジンを合わせて680馬力を発揮する4輪駆動として走行できる。2020年までの合計1000馬力を発揮していたTS050 HYBRIDはGR010 HYBRIDよりも162kg軽量だったが、周回ごとの燃料使用量が厳しく制限されていたため、最高速に影響があったという。

 TS050 HYBRIDと大きく異なるGR010 HYBRIDを操るドライバーはこれまでとは異なる操作が要求され、エンジニアにとっても新しいハイパーカーにおいては、特にLMP2カーやGTカーを追い越す際などに最大限のパフォーマンスを引き出すための調整が必要になるとのこと。

 また、サーキットにおけるチームクルーの総人数が43人に制限されるという新たなレギュレーションにも対応する必要がある。そのためにはメカニックとエンジニアクルーに関して、サーキットの現場における高度なサポートを維持しながらも、組織の柔軟かつ大幅な再編成が要求されるとしており、開幕戦のスパ6時間レースはこのレギュレーションが適応される最初のレースとなる。

 チーム代表、テクニカル・ディレクター、ドライバー陣のコメントは以下の通り。

村田久武氏(TOYOTA GAZOO Racing WEC チーム代表)

 ハイパーカーによる耐久レースのエキサイティングな新時代が始まりました。ル・マンでは多くのトップチームと競い合うことになります。ファンの皆様はそれを心待ちにしていると思いますし、われわれも同じ気持ちです。TOYOTA GAZOO Racingが、この新時代のスターティンググリッドに立てることを誇りに思います。われわれのWECプロジェクトの第1段階を締めくくったTS050 HYBRIDでは、レーシングハイブリッド技術の向上に徹底的に取り組み、お客さまのための「もっといいクルマづくり」に繋げてきました。ここからは第2段階に入り、将来、もっとエキサイティングなスポーツカーをお客さまにお届けできるよう、レーシングハイブリッド技術の限界をさらに押し上げ、再び「ワンチーム」で戦っていきます。GR010 HYBRIDを通して、人を鍛え、技術、プロセスをさらに強化していきます。絶対に負けられないという気持ちでわれわれをプッシュしてくる競合チームを相手に、決して簡単なシーズンにはならないとは思いますが、私たちは決して諦めません。

パスカル・バセロン氏(テクニカル・ディレクター)

 スパ開幕戦は、GR010 HYBRIDがシーズン前テストを終え、生まれたばかりのわれわれのハイバーカーが新たな段階のスタートを切るということを意味します。われわれは2020年10月にポール・リカールでGR010 HYBRIDを初めて走らせて以来、集中的なテストプログラムをこなし、クルマのキャラクターと新たなミシュランタイヤについて着実に学んできました。TS050 HYBRIDと比較すると、車重やパフォーマンスのパラメータに大きな違いがあり、新たに必要となるシステムも全く異なるため、エンジニア、ドライバーの双方ともに短期間で多くのことを学ぶ必要がありました。テストにおいてはよくあることですが、時には順調にいかないこともありました。アラゴンでは3日間のテストデーが予定されていましたが、激しい雪と、悪天候などに妨げられ、予定通りに完了できませんでした。幸運にもシーズンの開幕が遅れたことで、スパの前に更なるテストを行なうチャンスができたので、最終的には目標としていた走行距離をこなすことができ、デビュー戦の前に、狙い通りの全てのテスト項目を完了できました。

小林可夢偉(GR010 HYBRID #7)

 今の難しい世界状況の中で、またレースができることをとても嬉しく思います。決して理想的な環境ではありませんでしたが、チームは素晴らしい仕事でGR010 HYBRIDの改良を進め、デビュー戦への準備を整えてくれました。われわれはテストの中でクルマについて多くを学びました。新型車両投入時にはよくあることですが、予想外の驚きもあるかも知れません。これから実際のレースを戦い、コース上のトラフィックや、ハイパーカークラスの強力なライバルとの中で新型GR010 HYBRIDがどれだけ戦えるのか、その挑戦を楽しみにしています。

マイク・コンウェイ(GR010 HYBRID #7)

 新しいシーズン、そして新たなハイパーカーの時代が始まることにワクワクしています。最高のチームメイトである可夢偉とホセ、そして素晴らしいチームに恵まれ、タイトル防衛という目標に向けて準備は万端です。GR010 HYBRIDではすでに多くのテストをこなしてきていますが、最高の性能を引き出すためにはさらにやるべきことがあり、改良を続けていかなくてはなりません。スパはそのためにも重要なステップであり、レースがとても楽しみです。

ホセ・マリア・ロペス(GR010 HYBRID #7)

 マイク、可夢偉と共にワールドチャンピオンを獲得した昨シーズン最終戦のバーレーンからずいぶん長い時間が経ったように感じます。もちろんその時も最高の気分でしたが、再びレースを戦い、タイトル防衛、そして今度こそル・マンで勝つために戦う時がきました。このような困難な状況下にもかかわらず、チームはハードワークでこのスパに向けてGR010 HYBRIDの準備をしてくれました。全く新しい車両を開発するという挑戦は常に素晴らしい体験ですが、まだその途上です。われわれはスパで力強いパフォーマンスを示し、さらに改良していくため努力を続けます。

中嶋一貴(GR010 HYBRID #8)

 GR010 HYBRIDでの初めてのレースへ向け、スパに向かうのが楽しみです。この冬はなかなか大変でした。特に僕個人は、幾つかのテストを日本でのレース活動のために休む必要があり、そしてようやく参加できたアラゴンのテストは雪で走れませんでした。このような状況で、全てが順調ではありませんでしたが、チームは懸命な作業でハイパーカー時代の開幕戦へ向け、GR010 HYBRIDを準備してくれました。チームの誰もがこの新たな挑戦を楽しみにしており、もちろん簡単ではないでしょうが、成功すると信じています。

セバスチャン・ブエミ(GR010 HYBRID #8)

 長い冬季オフシーズンの準備期間を経て、ついにスパでのプロローグとデビュー戦を迎えられるのはとても嬉しいです。新型のGR010 HYBRIDとハイパーカーによる耐久レース新世代を、ファンの皆さまもとても楽しみにしていると思います。今年初めから複数回のテストをこなしてきましたが、最初はクルマについて知ることから始め、ル・マンへ向けたセットアップの調整ができるまでに到りました。デビュー戦への準備は万全で、一刻も早くハイパーカーカテゴリーでライバルと戦いたいです。

ブレンドン・ハートレー(GR010 HYBRID #8)

 新たなハイパーカー時代の最初のレースに向けての広範囲で大規模なテストプログラムを終え、充分な準備ができたと感じています。われわれチームだけでなく、ファンの皆さまの間でも、どんなレースになるのか、どれだけ接近したレースになるのかといった期待が高まっていることでしょう。誰もが素晴らしいサーキットであるスパでハイパーカーによる最初のレースを戦うことを楽しみにしています。