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ランボルギーニ、最後のV12エンジン搭載モデル「アヴェンタドール LP 780-4 ウルティメ」国内初公開

2021年7月29日 発表

アヴェンタドールの最終モデル「LP 780-4 Ultimae」

自然吸気V12のラストモデル

 ランボルギーニ・ジャパンは7月29日、自然吸気のV12エンジンを搭載したフラグシップスーパースポーツカー「アヴェンタドール」の最終モデルとなる「LP 780-4 Ultimae(ウルティメ)」を、東京・六本木のTHE LOUNGE TOKYOでお披露目した。クーペ350台、ロードスター250台の計600台が限定生産される予定という。

 アヴェンタドール LP 780-4ウルティメは、1963年の「350GT」以来連綿と続いてきた自然吸気のV型12気筒エンジンをパワーソースとする数々のランボルギーニ車の中で、最後のモデルになるという。同社のV12エンジン搭載車を振り返ってみると、350GTに続く「400GT」では、排気量を4.0リッターに拡大。「イスレロ」「ハラマ」に搭載された後の1966年には、ミッドシップにそれを搭載した「P400ミウラ」がデビューし、ランボルギーニの「スーパーカー伝説」が開始されることになる。

 1974年にはV12をリアに縦置き搭載した「カウンタックLP400」がデビュー。マルチェロ・ガンディーニによるシャープで前衛的なスタイルと上方に開くシザースドア、最高速300km/hを実現したパオロ・スタンツァー氏によるエンジニアリングなどの組み合わせによって、ライバルのフェラーリを凌駕する人気モデルとなり、日本の「スーパーカーブーム」の中心的存在になったのはご存知の通りだ。

 自然吸気V12エンジン搭載モデルは、パワーアップのための排気量拡大を伴いつつランボルギーニのトップモデルとして君臨し続け「LM002」「ディアブロ」「ムルシエラゴ」と続いた後の2011年には、現行モデルであるアヴェンタドールのファーストモデルである「LP700-4」がデビュー。6.5リッターまで拡大されたV12からは最高出力700PSを発生し、0-100km/h加速は2.9秒、最高速350km/hというパフォーマンスは、ドライブする者の度肝を抜いた。

 日本への導入時には筆者もサーキットでステアリングを握る機会が与えられ、その豪快な加速とエンジン音、シングルクラッチトランスミッションによる盛大なシフトショックに驚かされたことを思い出した。アヴェンタドールのV12は2015年の「SV」、2016年の「S」とパワーアップを続け、2018年の「SVJ」では770PSを発生。そして今回発表された最終モデルで780PSに到達した。

ラストモデルにふさわしいパワースペック

 カーボンファイバー製モノコック構造となるLP780-4 ウルティメのボディは、全長4868×2098×1136mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2700mmで、車両重量は1550kg。ミッドシップに搭載する6.5リッターの60度V型12気筒自然吸気エンジンは、最高出力780PS/8500rpm、最大トルク720Nm/6750rpmを発生し、乾式ダブルプレートクラッチの7速ISR(インディペンデント・シフティング・ロッズ)トランスミッションを介して、オンデマンドの第4世代Halde×4WDシステムを駆動する。パワーウエイトレシオは1.99kg/PSで、前後重量配分は43:57。そのパフォーマンスは、0-100km/h加速2.8秒、0-200km/h加速8.8秒、最高速355km/hと、ラストモデルにふさわしいものだ。

 ドライビングダイナミクス面では、ランボルギーニ・ダイナミックステアリング(LDS)と、ランボルギーニ・リアホイールステアリング(LRS)を組み合わせた4ホイールステアリングシステムを搭載し、低速時の俊敏性と高速時の車両の制御と安定性を高めている。サスペンションは、路面のコンディションや選択したドライブモードに対応するとともに、LRSと連携して作動するプッシュロッド式磁気レオロジー・アクティブ・フロント/リアサスを採用。ドライブモードは「ストラーダ」「スポーツ」「コルサ」「EGO」の4つから選択できる。

 タイヤはピレリの「P-ZERO コルサ」で、フロントが255/30ZR20、リアが355/25ZR21サイズ。前400mm、後380mmのカーボンセラミックブレーキローターには、フロント6シリンダー、リア4シリンダーのアルミ製モノブロックキャリパーを装着し、ハイパフォーマンスに対応させている。

アンベールされるアヴェンタドール LP 780-4 Ultimaeウルティメ

 発表会でアンベールされたウルティメは、マットグレーカラーのクーペモデルで、フロントスプリッターの「歯」の部分がマットレッドのRooso Mimirで強調されたほかは、リアに巨大なウイングを搭載するわけでもなく極めてシンプルな形状で、初期のアヴェンタドールを彷彿させるもの。Y型の連続モチーフをデザインしたシートなど、ブラックレザーとアルカンターラをベースにしたインテリアもエクステリア同様マットな印象で、エレガントかつスポーティに仕上げられている。

 登壇したランボルギーニ・ジャパン代表のダビデ・スフレコラ氏は「ボンジョルノ、本日紹介するのは、ランボルギーニがお届けする内燃機関のみのものとしては最後となるV12自然吸気エンジン搭載モデル『ランボルギーニ アヴェンタドール LP780-4 ウルティメ』です。ウルティメ、つまり究極ということで、まさにグランドフィナーレを飾るにふさわしいモデルであり、1963年に始まり長い道を歩み続けてきた自然吸気V12の最後の一歩ということで、その道のりが今日ここで終わります」と紹介。

ランボルギーニ・ジャパン代表のダビデ・スフレコラ氏

 続けて「ランボルギーニは数多くのアイコンを生み出してきましたが、アヴェンタドールはまさに生きる伝説です。カーボンモノコックボディや4輪操舵をはじめとする技術がそれで、その性能はニュルブルクリンク北コースで2018年にラップライムの記録を塗り替えることで証明されました。さらに日本では50周年記念モデルや山本耀司氏とのコラボレーションモデルにより、アドペルソナムのクラフトマンシップを印象つけることができました」とコメント。

 発表会では実際にエンジンをスタートさせ、そのV12サウンドを響かせるサービスもあった。会見後に話を聞いたダビデ氏は「自然吸気のV12エンジンのみを搭載したモデルが、ウルティメを最後に消えてしまうことについては少し複雑な心境です。しかし環境や資源を考慮することが必要な時代になった今は、前を向いていかないといけない。そしてすでに後継モデルも発表されています。それまではウルティメを楽しみましょう」とも。ただし限定生産となる600台はすでに完売だという。