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あおり運転のきっかけ第1位は「追い越しをした」 チューリッヒ保険「2021年あおり運転実態調査」公表

2021年8月17日 発表

あおり運転をされたきっかけの第1位は「追い越しをした」

 チューリッヒ保険会社は8月17日、全国のドライバー2230人を対象とした「あおり運転実態調査」の結果を公表。調査結果によると、あおり運転をされたきっかけの第1位は「追い越しをした」だったという。

 同調査では、あおり運転を受けたことがあるドライバーにあおり運転をされたきっかけと考えられる運転行動を聞いたところ、1位は「追い越しをした(25.6%)」で、2位は「スピードが遅かった(21.4%)」、3位は「車線変更をした(15.4%)」と続き、2020年に1位(17.2%)だった「制限速度で走っていた」は5位となった。

 同調査は2021年で4回目となるもので、報告書では「順位の入れ替わりはあったものの、あおり運転のきっかけと考えられる上位4つの運転行動はスピードや進路変更にまつわる行為と感じているドライバーが多くみられた」とまとめた。

 交通心理学を専門とする九州大学 志堂寺教授の見解として「私はあおり運転には2つのタイプがあると考えています。ひとつは衝動的にあおり運転をしてしまうタイプ(衝動型あおり運転)、もうひとつは邪魔な車を排除するためにあおり運転を道具として使うタイプ(道具型あおり運転)です。衝動型あおり運転では、追い越しや車線変更をされた時に、瞬間的にカッとなって、ついやってしまうあおり運転です。本当に急な割り込みだったか、無茶な追い越しだったかは関係ありません。そう感じたというところからあおり運転が始まります。一方、道具型あおり運転では、前を走る車が邪魔で追い越せない時に、追い越したいということを知らせる目的で行うあおり運転です。どちらにしても、あおり運転に巻き込まれるようなことは避けたいものです。そのためには周りの車、ドライバーをしっかりと見て、ドライバーがどう思っているかを考えた運転が大切です」とコメントしている。

あおり運転をされた経験があるドライバーは5割

 また、2020年6月末施行の改正道路交通法によりあおり運転が厳罰化されたが、あおり運転をされた経験があるドライバーは5割に上り、あおり運転を受けないよう、以前よりも意識して運転しているドライバーは7割強いることがわかった。

あおり運転を受けないよう、以前よりも意識して運転しているドライバーは7割強
2020年6月末施行のあおり運転の厳罰化により、「危険運転が減少すると思う」ドライバーは64.7%
減少しない理由として、「危険な運転をする人の心理や行動は変わらないと思う」が2020年から引き続き最多に

 あおり運転の厳罰化により「危険運転が減少すると思う」ドライバーは64.7%にとどまり、減少しない理由として「危険な運転をする人の心理や行動は変わらないと思う」が2020年から引き続き最多の回答を得た。

約半数がドライブレコーダーを利用
ドライブレコーダーを利用する理由は「事故発生時に自分が不利にならないようにするため」が最多
利用していないドライバーの約7割が「購入したいがコストがかかるため」と回答し、ドライブレコーダーの利用意向は高い
ドライブレコーダーの普及であおり運転が減少すると思いますかという問いには73%のドライバーが減少すると思うと回答

 さらに、ドライブレコーダーの普及によりあおり運転の防止を期待するドライバーも多く、現状ではドライブレコーダーを利用していない方の利用意向も高いことが分かったとしている。

あおり運転被害、「車体を接近させる挑発行為」が2020年に引き続き1位
あおり運転を受けたときにとった対処法は「何もしなかった」が38.3%で1位へ
被害にあわないための工夫、上位は2020年に引き続き「周りを気遣い、刺激しない」運転

 このほか調査では、交通心理学、ヒューマンインタフェースを専門とする、九州大学大学院システム情報科学研究院教授の志堂寺和則氏の見解も交えながら、あおり運転の実態と、あおり運転に遭わないための工夫やあおり運転に遭ってしまった場合の対処法などを公開。同社は今後もドライバーが安全にカーライフを楽しめるよう情報発信を続けていくとしている。

交通心理学、ヒューマンインタフェースを専門とする、九州大学大学院システム情報科学研究院教授の志堂寺和則氏