ニュース

GTA坂東代表記者会見、F1ドライバー角田選手を輩出したFIA-F4など2024年以降の規定に向けた新たなサプライヤーを公募

2021年8月22日 実施

SUPER GTのプロモーター、株式会社GTアソシエイション代表取締役 坂東正明氏

 SUPER GT 第3戦「2021 AUTOBACS SUPER GT Round3 FUJIMAKI GROUP SUZUKA GT 300km RACE」(以下第3戦鈴鹿)が8月21日~8月22日の2日間に渡って三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで開催された。

 8月22日の午後に決勝レースが行なわれたが、それに先だってSUPER GTのプロモーターであるGTアソシエイション(以下GTA)による定例会見が行なわれた。その中でGTA代表取締役 坂東正明氏は「GTAがプロモートしているFIA-F4は2015年に開始してきて、今年からF1に参戦している角田裕毅選手などの若手ドライバーを輩出するなど成功を収めてきた。FIAの方で2024年から車両のレギュレーションを変更する計画になっており、日本でもそうした新規定の車両に取り組んでいただけるシャシー、エンジン、タイヤなどのサプライヤーを公募したい」と述べ、今後もGTAがFIA-F4にコミットメントすることを明らかにし、2024年からに予定されている新しい規定に向けたサプライヤーの募集を9月1日から行なう計画を明らかにした。

2024年から車両規定が変わるFIA-F4、シャシー、エンジン、オイル、タイヤのサプライヤーの公募を9月1日から開始

──では代表より冒頭の説明を。

坂東代表:昨日三重県からも国に対して緊急事態宣言発出要請が出されるなどしている。金曜日にも関係各位に言いましたが、今の現状の中でもイベントができているのは、PCR検査、検温、問診などの体制でやってきているからだ。そうした体制もすべてイベントを継続して行なっていくためだ。感染予防を最大限にして、イベントを継続していくという主旨で取り組んでいることを理解していただきたい。お客さまの対策に関してはオーガナイザーにお願いしており、三密を避けていただき、最大人数を絞るなどの取り組みを行なっている。

 これまでPCR検査に関しては1~2名だったが、今回は陽性13名、濃厚接触者18名がでている。イベントを継続するために、そうした方にはイベントに来ていただかない、そうした取り組みが大事だと思っている。さらに今後はワクチンの接種に関しても進めていきたい。現在は1回目が終わっている人が30%、2回目は20%になっており、早く接種が進むようにJAFなどとも協力してやっていきたい。来年もウィズ・コロナという状況は変わらないと思う。このため、こうした取り組みを継続してやっていくことを関係者にお願いしたい期待と思っています。

──それではFIA-F4に関する発表を坂東代表から。

坂東代表:FIA-F4は若手育成として2015年からやってきて今7年目を迎えている。参加台数も毎年30台を超える参加をいただいており、そこからSUPER GTのGT500/300へステップしてきたドライバー、さらにスーパーフォーミュラ・ライツなどを経由してスーパーフォーミュラにステップアップし、F1ドライバーになった角田裕毅選手もここから巣立っていった。

 FIAから2024年に車両規定が変わるという通知を受けており、それが2024年~2029年に5年間統一レギュレーションでやると言われている。車両に関してはシャシー、エンジンとも大きく変わり、Haloの搭載なども義務づけられる。そこで、シャシー、エンジン、エンジンオイル、タイヤといった4つのサプライヤーを公募したいと考えている。9月1日から募集を開始し、今年中にすべてをクリアーにして、試作機などを作ってシェイクダウンなども、2024年に間に合うように早期に行なっていきたい。

 そしてもう少しドライバーの育成にも力を入れていきたい。海外では15歳からというライセンスを与えているが、日本では16歳でカートから上がってくる。ドライバーとしての技量はもちろんだが、人間としてきちんと他人に挨拶ができるなどの人間性を育成することも重要だと思っている。その意味ではやや過保護的なところもなきにしもあらずなので。

 いずれにせよ、GTAとしてはFIA-F4を重用しており、きっちりとプロモーターとしてシリーズもドライバーも育てていく。今回そのために一緒にご協力いただけるサプライヤーを募集したいので、ぜひとも応募いただきたいと思っている。

──NSXの生産終了計画が発表された、次世代の車両とかにも関わってくるが、GTAとしての見解は?

坂東代表:ホンダからは前もってモータースポーツ課から生産が終了するという連絡を事前にいただいているが、NSXがSUPER GTに参戦するかはホンダが決めていただくことだと思っている。なお、レーシングカーという単体でいえば、GT3ではホモロゲーションが切れてからも7年はサプライヤーとしてサービスを行なうことが求められており、そのあたりをどうするのかは見守っていきたい。GT500に関しては、以前から申し上げている通りのスケジュールで進めていく。2023年まではコストダウンと環境に関わるもの、例えばバイオ燃料などについて取り組んでいきたい。

 2024年からはSUPER GTのGT500はトヨタ、日産、ホンダありきの形になるので、ホンダがどのような形で参戦するかは、2024年以降に参戦も含めてレギュレーションのスケジュールというに変化はない。それに合わせた車両を、ホンダがモーターありにするのか、エンジンにするのかなどなどはホンダの中で考えていただくことだ。我々としては、今あるものを使って、販促マーケティングなどに寄与しながらやっていくことを考えていきたい。

──FCY(FULL COURSE YELLOW)についてこれまでのテストなどの取り組みの中でシステムの変更などもあったと聞いているが、FCYについてはどう考えているか?

坂東代表:今は精度が上がっている。前の時は電波が飛ぶ飛ばないなどのこともあったが、そうした問題がクリアになっている。今のFCYに追加することがあるとすれば、車両に対して直接カウントダウンを飛ばす無線があればよりよいのではないかと考えている。これから去年はテストしていないサーキット、例えばスポーツランドSUGOやオートポリスなどに向かうことになる。9月にはオートポリスでテストもあるのでそうしたところでテストしてきたい。

 重要な事は、FCYは何の為に導入するのかということだ。事故が起きたときに全車の車速を安全に落としてもらってレースを止めることなく早く処理したいというのが基本的なコンセプトだ。怪我をしているドライバーがいるとか、車両がコースに残っているなどの状況をできるだけ速く解消し、レースを継続するということだ。それにより安全にドクターが駆けつけたりすることが可能になる。

 前のマシンとくっついた、離れたというところに目が行きがちだが、安全を確保することが重要だ。ピットに入って順位が入れ替わったという論点で言う人も少なくない。例えばGT300クラスでFCYが出たとする。それだとGT500クラスはどうしてもGT300クラスより速いから、いちばん最後のGT500クラスの車両にとっては段々と離されてしまう。そういうことは起きるし、実際どうしようもない状況だ。この前のツインリンクもてぎのレースで2号車がやったように、上手いタイミングでピットに入れば前に出ることができたが、それは今までもあった話でそうした可能性を排除することはできない。

 FCYは黄旗で安全に赤旗にすることなく処理するというのが目的で、それを上手くチームにも伝わるように動いている。今後もより精度を高めていくことを継続してやっていきたい。

感染症対策はこれまでやってきたことを今後もきっちりやっていく、レース距離350km化は強力に推進

株式会社GTアソシエイション 代表取締役 坂東正明氏

──GTAの体制面で変更があったと聞いているが?

坂東代表:社内の体制に関してはノーコメント。誰が辞めようが、それが必要なプロジェクトだったりするのであれば、継続してやっていくし、これといって大きいものはない。

──コロナの感染拡大の影響について、残り4戦、感染対策の見直しなどはあるか?

坂東代表:現行の対策を関係者の皆さまと協力しながら継続していく。有観客か無観客かはオーガナイザーと話をしながら、それが許されるのかなどの話をしていく。基本的には去年からやっている、パドックでの導線の引っ張り方、PCE検査や問診票、検温などを引き続きやっていく。

──JAFからカレンダーが出たが、その後WECの日程が変わってSUGOとバッティングする、鈴鹿はニュルとバッティングするなどがあるが、これから調整が入る可能性はあるか?

坂東代表:6月までにカレンダーを出すというのがJAFのルール。それを7月にFIAに申請する。それなのに世界戦の方が決まるのが遅いという状況で、こうしたことが発生する。本来であれば、オーガナイザーと契約してからカレンダーを出すのが基本なのに、現状は契約をする前に出すという形になっており、本来はちゃんと契約してからにしたいと思っている。

 現状ではバッティングすると整理しないといけない、やむを得ないと思っているが、GTはドメスティックなコンテンツではないので、どうしても足並みは揃えないといけない。ただ基本的にはスケジュールは変わらないし、8戦という大枠は変わらないと思う。

──レース距離を350kmにするという計画について、タイヤメーカーなどのサプライヤー側からも対応するには準備期間が必要だなどの声もあるが……。

坂東代表:エンジンの方も燃費を伸ばさないといけないという声もあるなら、正直かなり不評で、反感をかっている(笑)。でもこれは行なうのだ。長く持つタイヤを開発する、もっと燃費がよくなるエンジンを作る。そういう内容で対応して欲しいと思っている。環境や製造に関する部分、3Rをどのように解決していくのか、欧州はそれをゼロにすると言っているが、レースイベントを今後も続けていくためには不評を買ったとしても作り上げていかないといけない。レースをするのにソフトタイヤを開発して速く走れるけど距離は短くなってしまう、そうではなく少しでも燃費がよくなる、その上で速く走れるタイヤの開発をしていただかないと困る。今後は再生タイヤなども含めて、より長い距離を走れるタイヤという方向性で開発をしてほしいと願っている。