ニュース
映画「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」公開! アストンマーティン DB5などのカーアクションも見どころ
2021年10月8日 06:00
- 2021年10月1日 公開
スパイ映画の王道と言えば、ジェームズ・ボンドが活躍する「007」(ダブルオーセブン)。その最新作となる「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」が10月1日に公開された。
007シリーズと言えば、美しいボンドウーマン(ボンドガール)やガジェットが話題になるが、Car Watchの読者としては見逃せないのが「ボンドカー」の存在。今回もボンドカーとして、もっとも象徴的と言われるアストンマーティン DB5をはじめ、4台のアストンマーティンが登場するなど、カーアクションの見どころも満載。15年に渡り、六代目ジェームズ・ボンドを演じてきたダニエル・クレイグの最後のミッションを劇場でチェックしよう。
「カジノロワイヤル」から描かれたダニエル・クレイグ版ジェームズ・ボンド
イアン・フレミング原作のスパイ小説を映画化した007シリーズは、1962年に公開された第一作「007/ドクター・ノオ」(公開時の邦題は「007は殺しの番号」)から数え、今回の「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」がシリーズ25作目になる。
改めて説明するまでもないが、主人公となるジェームズ・ボンドは、イギリスの秘密諜報機関「MI6」の「00部門」(ダブルオーセクション)に所属するエージェント。007シリーズの映画では、これまで6人の俳優がジェームズ・ボンドを演じてきた。初代ジェームズ・ボンドを演じ、原作者が描いたボンド像を具現化したとされるショーン・コネリーをはじめ、2代目として「女王陛下の007」のみに出演したジョージ・レーゼンビー、007シリーズのエンターテイメント性をもっとも高めたとされる3代目のロジャー・ムーア、「007/リビング・デイライツ」で好評を得たティモシー・ダルトン、もっともスタイリッシュなボンドを演じたピアース・ブロズナン。そして、2005年公開の「007/カジノロワイヤル」から15年、5作品に渡り、力強さとヒューマニティあふれる魅力を兼ね備えた新しいジェームズ・ボンドを演じてきたのがダニエル・クレイグだ。
今回の「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」は、ダニエル・クレイグが演じる007作品として最後の作品となっており、制作が発表された当時から高い注目を集めていた。制作は順調に進み、当初は2020年2月に公開される予定だったが、コロナ禍の影響を受け、4度に渡って公開が延期され、ようやく国内では10月1日に劇場公開された。
6人の俳優によって演じられてきたジェームズ・ボンドだが、近年は俳優ごとにストーリーや世界観が区分されており、ダニエル・クレイグ版007は「007/カジノロワイヤル」から5作品に渡って紡がれてきたストーリーがひとまず区切られることになる。
「00」(ダブルオー)部門を引退したボンドだったが……
前作「007/スペクター」(2015年)において、イギリスやアメリカ、日本など、世界9か国の機密情報を盗み出そうとする国際的な犯罪組織「SPECTRE(スペクター)」の企みを阻止し、宿敵エルンスト・スタヴロ・ブロフェルド(フランツ・オーベルハウザー)を捕まえることに成功したボンド。今作では「00」(ダブルオー)部門を引退し、前作で出会った女医のマドレーヌ・スワン(レア・セドゥ)と共に、愛車のアストンマーティン DB5をドライブしながら、リタイアライフの旅行を続けていた。立ち寄った街に、かつて愛したヴェスパー・リンド(エヴァ・グリーン)の墓があり、マドレーヌに促されて墓を訪れたボンドだったが、そこで思わぬ事件が……。
事件から5年後。ジャマイカで1人静かに暮らすボンドだったが、数々の作戦を共にしてきたCIAのフィリックス・ライター(ジェフリー・ライト)から助けを求める連絡が入る。当初はもう関わりを持ちたくないと断ったが、フリーのエージェントとして参画することになり、キューバへ。現地のCIAエージェントのパロマ(アナ・デ・アルマス)と合流し、先端技術を扱う研究者を救い出す作戦に挑むが、またしても予想外の事件が起き、激しい銃撃戦をくり広げることに……。
今回の「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」では、これまでのダニエル・クレイグ版007で描かれてきた数々のストーリー、さまざまな人との関わりやバックグラウンドが徐々に明らかになっていく。ボンド自身も未知のテクノロジーの影響を受け、大きな変化が訪れる。ボンド引退後の時を経て、MI6でも新しい時代がはじまり、「00」(ダブルオー)部門にも新しいメンバー、しかも「007」を名乗る女性エージェントが登場する。宿敵ブロフェルド率いる犯罪組織「SPECTRE」、その背後に見え隠れするもう1つの敵に、ボンドはどう立ち向かっていくのか。そして、ストーリーは衝撃の結末へ……。
本作には、ジェームズ・ボンド役のダニエル・クレイグ、マドレーヌ・スワン役のレア・セドゥをはじめ、MI6でボンドの上司であるM(マロリー)を演じるレイフ・ファインズ、Q役のベン・ウィショー、イヴ・マネーペニー役のナオミ・ハリスなど、これまでのダニエル・クレイグ版007でおなじみのメンバーが登場する。監督はキャリー・ジョージ・フクナガが担当。日系三世アメリカ人ということもあり、随所に「和」を感じさせる演出が見られ、仇役のサフィン(ラミ・マレック)が能面を着けて登場したり、秘密基地内に和室や日本庭園のような場所が描かれている。
アストンマーティン DB5、圧巻のスピンターン
007シリーズの楽しさと言えば、ジェームズ・ボンドのアクションや立ち振る舞い、ファッション、腕時計や携帯電話などのガジェット、美しいボンドウーマンなどが挙げられるが、やはり、何といっても見逃せないのがボンドカーの存在だ。
一般的にボンドカーと呼ばれるようになったのは、1964年公開(日本は1965年公開)の「007/ゴールドフィンガー」に初登場したアストンマーティン DB5までさかのぼる。MI6の兵器開発部門のQ課(Qブランチ)で改造されたDB5には、防弾ガラス、マシンガン、防弾版、回転式ナンバープレートなどの特殊装備が施されていた。劇中での活躍ぶりのインパクトがあまりにも強く、その後も各作品ごとに、いろいろなボンドカーが登場し、楽しませてくれる。「007/私を愛したスパイ」で水陸両用まで実現したロータス・エスプリ、「007/リビングデイライツ」(1987年)で活躍したアストンマーティン V8、「007/トゥモロー・ネバー・ダイ」(1998年)で携帯電話によるリモートドライブを見せたBMW 750iL、光学迷彩技術でボディを消してみせた「007/ダイ・アナザー・デイ」(2002年)のアストンマーティン V12ヴァンキッシュなど、数々の名場面を生み出してきた。
日本のファンとしては、日本を舞台にした「007は二度死ぬ」(1967年)でトヨタ 2000GTが登場し、赤坂のホテルニューオータニや代々木体育館前を駆け抜けたシーンを覚えている人も多いだろう。厳密に言えば、トヨタ 2000GTはタイガー田中(丹波哲郎)率いる日本の諜報機関が採用した車両で、ボンドカーではないとする向きもあるが、多くの人が007シリーズに登場するクルマを広くボンドカーとして捉えている。
今回の「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」には、アストンマーティン DB5をはじめ、4台のアストンマーティン、ランドローバー・シリーズ3、ランドローバー・ディフェンダー、ランドローバー・レンジローバースポーツSVR、トヨタ・ランドクルーザープラドが登場する。
まず、今作の冒頭に登場するアストンマーティン DB5は、ダニエル・クレイグ版007を振り返ってみると、「007/カジノロワイヤル」でポーカーの賭けに勝って、せしめた車両が始まりだ。「007/スカイフォール」(2012年)ではボンドの隠れ家に保管されていて、先代のM(ジュディ・ディンチ)を乗せて、スカイフォールへ脱出するときに使われている。このとき、助手席に乗ったMが「座席ごと吹っ飛ばして」と言い放つシーンがあるが、これは「007/ゴールドフィンガー」でボンドがシフトレバーに隠された赤いボタンを押し、助手席に乗り込んできた敵を助手席ごと吹っ飛ばしたことへのオマージュだ。その後、車両はスカイフォールでの激闘で破壊されてしまうが、「007/スペクター」ではMI6のQ課でレストアされているシーンが映し出され、最終的にはボンドが引き取っていた。
冒頭のマドレーヌを乗せたドライブのシーンでは、優雅な姿と独特のサウンドを響かせ、気持ちよさそうに山間の道を駆け抜けていた。DB5に乗り込んだボンドとマドレーヌが敵に襲われ、街の広場で囲まれたシーンでは何十発も銃で撃ち込まれながら、防弾ガラスがこれを防御。反撃を懇願する助手席のマドレーヌに応えたボンドがコンソールのボタンを操作すると、ヘッドライトが開き、回転式マシンガン(ガトリングガン)が現われ、DB5をスピンターンさせながら、反撃開始。スモークや爆薬などの秘密装備を駆使し、敵から見事に逃げ切る。このDB5のスピンターンのシーンは予告編にも登場するので、ぜひ一度、ご覧いただきたい。
もう1つオールドファンにうれしいのは、ボンドが00部門に復帰すべくMI6に出かけるとき、ガレージに保管されていたアストンマーティンV8サルーンが登場するシーン。これは言うまでもなく、「007/リビングデイライツ」で活躍したモデルだが、ボンドはこれもコレクションしていたとは……。この他にも女性ながら新たに「007」を命じられたノーミ(ラシャーナ・リンチ)がアストンマーティン DBSをドライブしていたり、次世代のスーパーカーとして開発を進めているアストンマーティン Valhalla(ヴァルハラ)も登場するなど、ファンにはたまらないシーンが続く。
また、日本車としては前述のトヨタ 2000GT以来の登場となったトヨタ・ランドクルーザープラドは、ランドローバー・レンジローバースポーツSVRとのオフロードでの激しいカーバトルをくり広げるなど、見応えのあるシーンは多い。
歴代007シリーズへのオマージュも
ボンドカーとして、もっとも象徴的で歴代シリーズで何度も登場してきたアストンマーティン DB5、「007/リビング・デイライツ」以来、34年ぶりの登場となったアストンマーティン V8サルーンなど、これまでの007シリーズとの関わりを描く今作だが、ダニエル・クレイグ版007で描かれてきた伏線、数多くの過去作品へのオマージュが数多く見つけられる。すでに2回、今作を鑑賞したが、思わずニヤリとしてしまうシーンがいくつもあり、かなり楽しむことができた。もし時間があれば、ダニエル・クレイグ版007の過去4作をチェックしたうえで劇場へ足を運ぶと、一段と「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」を楽しめるはずだ。ダニエル・クレイグ、最後のミッションをぜひ劇場でご覧いただきたい。
c 2021 DANJAQ, LLC AND MGM. ALL RIGHTS RESERVED.