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パナソニックのカーナビ「ストラーダ」新製品発表会 プラットフォームを刷新した2021年モデルは何が凄いのか?

2021年12月 発売予定

オープンプライス

緊急事態宣言の解除とワクチン接種拡大で少しずつ復調が見えてきたカーナビ業界

 パナソニック オートモーティブ社は10月14日、オンラインにて「カーナビステーション ストラーダ 2021年秋の新製品発表会」を実施した。登壇したのは、パナソニック オートモーティブ社 インフォテインメントシステムズ事業部 市販・用品ビジネスユニット ビジネスユニット長 荻島亮一氏。同プロジェクトマネージメント部 部長 渡邉洋氏。同商品企画部 課長 坂本佳隆氏の3名。

 新製品の発表前に、荻島氏より国内向けのカーナビの事業環境についての報告が行なわれ、2020年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響により新車販売が10年ぶりの低水準となり、カーナビ事業に関しても同様にコロナ禍と半導体不足など需要面、供給面ともに大きな影響を受けたと報告。ただし、下期は復調傾向になり通年では収益の目標計画を達成できたとした。

パナソニック オートモーティブ社 インフォテインメントシステムズ事業部 市販・用品ビジネスユニット ビジネスユニット長 荻島亮一氏

 そして今年度の4~6月は、車両販売の復調に合わせてカーナビも復調の兆しがあったが、7月以降は再び新型コロナウイルスの感染拡大と世界的な半導体不足がさらに拡大し、自動車メーカー各社が減産計画を発表するなど「市販市場・用品市場ともに依然として厳しい状況が続いている」と述べた。

 一方、新型コロナウイルスの影響で公共交通の利用を控え、自家用車の移動へシフトする動きが見られるとともに、公道規制の緩和、ワクチン接種の拡大などにより、少しずつ旅行やレジャーなどにおける消費の回復が見込まれるとし、「今後の需要回復にしっかりと応えていくことが重要だと考えている」とカーナビ事情環境の報告をまとめた。

 また、パナソニック オートモーティブ社としては、2016年に「みんなのクルマに大画面を」を合言葉に、フローティング構造の大画面ナビを市場へ投入し、2020年には業界初となる有機ELディスプレイを採用。現在も装着可能な車種は増えていて、ユーザーの選択肢を広げるだけでなく、“見やすく使いやすい大画面”という価値を高めてきたと紹介。「多くの人にストラーダを使ってもらうことで、市場の活性化をするとともに事業の拡大につなげたい」と想いを述べた。

2016年フローティング構造第1世代(9V型/144車種適合)
2017年フローティング構造第2世代(9V型/280車種以上適合)
2018年フローティング構造第3世代(9V型/350車種以上適合)
2019年フローティング構造第4世代(10V型/400車種以上適合)
2020年フローティング構造第5世代(10V型/430車種以上適合)

 最後に今日発表したストラーダの新製品について荻島氏は、「移動空間としてのクルマを安心・安全にドライブする。そのクルマとの時間をもっと楽しく快適にする。そういったお客さま価値を提案することを目指し、その想いを形にするために、基本構造となるソフトウェアとハードウェア、プラットフォームも新たに設計し直した」と明かし、新車だけでなく中古車でもコクピットを先進化することで、よりドライブを楽しんでほしいと締めくくった。

2021年モデルのキャッチフレーズは「みんなのクルマに、映える大画面」

パナソニック オートモーティブ社 プロジェクトマネージメント部 部長 渡邉洋氏

 続いて同プロジェクトマネージメント部 部長 渡邉洋氏も、現在のカーナビ市場の状況について言及。カーナビ市場は例年400万台規模の市場があり、そのうち4割が市販ナビであると紹介。続けて2020年度は新型コロナウイルスの影響で300万台まで落ち込み、とても厳しい1年であったと改めて解説した。また、近年はカーナビの大画面化のトレンドが顕著に表れていて、2018年と2020年を比較すると9%ほど大画面購入者の比率が増加。中でも10V型や9V型といった大型サイズが増えていることが特徴だと付け加えた。さらに、AV一体型ナビゲーションの価格帯別の需要動向としては、2019年並みに回復するものの、低価格化はさらに進展する見込みとし、新規顧客の開拓が必須であると今後の課題を述べた。

 ただし、自粛疲れやワクチン接種の拡大、緊急事態宣言の解除により、徐々にレジャー消費意欲が高まっていることや、ニューノーマルで自家用車を使用する指向の高まりもあり、カーナビ業界の復調も期待できるとした。

渡邊氏の資料

 また、渡邊氏は昨年刷新したストラーダのブランドコンセプトとして掲げている“動かしたいのは、あなたの心”というのは、「心地いい、ワクワクする、安心できるなど、乗り手の心を豊かにする感動体験を提供し続けることである」と、改めて再定義したことを紹介した。そして、昨年度は業界で初めて有機EL搭載モデル「F1Xプレミアム10」を発売し、大きな反響があったことに触れ、この製品は従来からのブランドコンセプトである「みんなのクルマに大画面」を標榜し、470を超える車種に適合し、実際に装着されている車種が軽自動車、SUV、ミニバンと幅広いことと、ナビの買い替え客となる既販車も44%と半分近いことなど、「ブランドのコンセプトがユーザーに受け入れられている」とアピールした。

HD美次元マップを採用するストラーダ2021年モデル

 そして2021年モデルとなる新たなストラーダのキャッチフレーズは「みんなのクルマに、映える大画面」であると紹介。新製品は「有機ELディスプレイ&HD美次元マップ」「UIの革新的進化と位置精度向上」「エンターテインメントとその他の進化」の3つの大きなトピックがあると渡邊氏は解説した。

3つの大きなトピック

 10インチ有機ELディスプレイは2020年モデルからの継続採用で、豊かな表現力、高い色再現性、高コントラスト比、高い視認性と、車内環境には最適な表示デバイスであるとアピール。さらに2021年モデルではこのデバイスに映し出すコンテンツも大幅に刷新。目的地まで案内するカーナビの地図は見やすいことが重要であるとし、有機ELディスプレイに映える新次元の美しさを再現した「HD美次元マップ」を新開発。従来比2.4倍の解像度で圧倒的な表現力を誇っているという。

 その恩恵で、視認性を考慮したナチュラルな配色で文字や道路が見やすい地図へとアップグレード。高精細にしたことで道路名や分岐ポイントを分かりやすく表示したり、3D地図では建物を透過させて道路を見やすくしたりなど、高い表現力を活かした地図になっている。

キレイで見やすい「HD美次元マップ」のポイント

 また、プラットフォームを刷新した恩恵はUI(ユーザーインターフェース)にも波及。搭載するCPUの処理能力も大幅に向上され、「2020年モデルと比較するとその処理能力は圧倒的」と渡邊氏。また、滑らかで直感的な操作を実現するダイレクトレスポンスIIは指の動きに素早く追従し、画面スクロールのスピードも格段にアップしているという。CPUの性能アップはルート検索にも恩恵をもたらし、従来モデルの半分以下の時間で結果を表示。これまで1ルートを検索していた時間で5つのルートを同時に検索するほどの速さを実現しているとした。

 さらにタッチパネルの画面はスマホのような操作感を実現し、3D表示の傾き調整や地図の回転なども直感的に行なえるようになった。ストラーダでは定番の簡単2トップメニュー画面も進化していて、ここもスマホと同じように簡単に自分好みにカスタマイズ可能とした。この進化について渡邊氏は「革新の使いやすさを実現した」と表現。また、ストラーダロケーションシステムは、新たなアルゴリズムを採用し、自車位置精度のさらなる向上を実現。これは地図と同様にカーナビの大きな優位点で、スマホナビとの差別化ポイントにもなっているといい、駐車場やわずかな高低差でも威力を発揮するとした。

パナソニック オートモーティブ社 商品企画部 課長 坂本佳隆氏

 オンライン発表会では商品企画部の坂本課長が、ストラーダ2021年モデルと2020年モデルの実機を触りながら表現力の高さ、操作感を画面越しに伝えてくれた。その後、メディア向けに内覧会が行なわれ、筆者も2020年モデルと触り比べてみたが、正直「全然違う。たった1年でこんなに進化しちゃうの!?」と驚きが隠せなかったのと同時に、「これを1度触ってしまったら、旧モデルには戻りたくない」と絶対に思ってしまうほどだった。

エンターテインメントもしっかり進化

 2021年モデルのストラーダは、ナビ以外のエンターテインメントもしっかりと進化していて、10V型だけでなく、9V型と7V型のディスプレイもHD化。これにより全モデルで「HD美次元マップ」が採用されている。もちろん、ナビだけでなくブルーレイや地デジなども高画質で楽しめる。

 サウンド面でも音質改善に取り組み、年々パーツや回路を見直し、音のプロ集団「ミキサーズ・ラボ」の監修による“音の匠”のチューニングにより、ユーザー満足度も高まっているという。さまざまなハイレゾ音源にも対応。今回、音の匠に「極サラウンド」モードを追加。家庭用機器にも採用しているパナソニック独自の技術を応用し、自然で臨場感あふれる音を再現している。ボイスサーチ機能(音声認識)は、Wi-Fiを搭載したことでアプリが不要となり使い勝手を改善。また再生中のCDの楽曲情報も、Wi-Fi搭載によりボタン1つで取得できるようになった。

全モデルのディスプレイをHD化
2021年モデルのストラーダもキービジュアルは女優の綾瀬はるかさんが務める