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パナソニック、「ストラーダ」2020年モデルの新製品発表会 有機ELパネル採用のFシリーズ、3つの商品特徴を解説

10V型でありながら既存車を含めて430車種に対応

2020年9月2日 開催

カーナビステーション「Strada(ストラーダ)」の新製品発表をオンラインにて開催

 パナソニック オートモーティブ社は9月2日、カーナビステーション「Strada(ストラーダ)」の新製品発表をオンラインにて開催した。国内向けカーナビ事業に関する事業戦略や、同日発表された業界初となる10V型有機ELディスプレイを採用したFシリーズ「F1Xプレミアム10」などに加え、その専用オプションとなるHD画質での連携が可能な2カメラドライブレコーダー、リアビューカメラといった新製品の紹介が行なわれた。

 パナソニック オートモーティブ社 インフォテインメントシステムズ事業部 市販・用品ビジネスユニット ビジネスユニット長 荻島亮一氏からは、冒頭のあいさつに加え、昨今の国内向けカーナビ事業、市販事業に関する説明が行なわれた。

パナソニック株式会社 オートモーティブ社 インフォテインメントシステムズ事業部 市販・用品ビジネスユニット ビジネスユニット長 荻島亮一氏

 荻島氏によれば、2019年度は消費税増税の影響などもあって新車市場は前年割れとなっているが、同社の市販事業では大画面カーナビが好調で、販売、収益ともに目標を達成することができたという。

 2020年度の第1四半期は、新車販売も3割を超える落ち込み、市販ナビの市況についても3割近い落ち込みとなっていると言い、同社においても厳しい状況になっているとのこと。第2四半期については第1四半期と比べれば回復基調にあるとしつつも前年を下回っているとし、市販市場、用品市場ともに今年度の一時的な需要の減少は避けられないとの見通しを語った。

 しかしこのような厳しい状況下ではあるものの、新型コロナウイルス感染のリスク低減のために、公共交通機関からクルマでの移動という意識の変化があるほか、カーナビ商品においても、大画面、高画質といった付加価値の高い商品の市場が拡大しているなど、新たなビジネスの機会になるとの考えを示した。

 同社では大画面カーナビを2016年に投入。装着可能な車種も2019年には400車種に拡大するなど、独自のフローティング構造によって古いクルマにも大画面カーナビの装着を可能として、カーナビの選択肢を広げることができたという。

 荻島氏は「このような大画面化、高画質化など付加価値の高い提案をとおして、より多くのお客さまにストラーダを選んでいただくことで、厳しい市況においても事業の成長性を確保を目指していきたい」とした。

新しい価値観に合わせた新たなコンセプト「動かしたいのは、あなたのこころ。」

 続いて、ストラーダの新たなブランドコンセプトについて、同社インフォテインメントシステムズ事業部 市販・用品ビジネスユニット 市販事業推進部 部長 渡邉洋氏より説明が行なわれた。

パナソニック株式会社 オートモーティブ社 インフォテインメントシステムズ事業部 市販・用品ビジネスユニット 市販事業推進部 部長 渡邉洋氏

 渡邊氏によれば、ストラーダは2003年7月に登場し今年で17年目を迎えるという。ストラーダとは「道」という意味で、ブランドロゴの前にあるマークはメディアの交差点を意味しているとのこと。2006年には「From Home to Car」として地デジチューナーの搭載やBD対応など、AV機能を中心に強化。そして2016年には「みんなのクルマに大画面」としてフローティング大画面カーナビを市場投入した。

 渡邊氏は17年前の発表当時からは、時代背景も変わったと言う。現在は価値観が変化し、多様性や個性が重視される時代に。それを象徴するように「モノ」から「コト」へと消費行動の変化が加速していると言い、これを「機能そのものへの価値観から、それを通じて享受する体験に価値が見い出されているということ」との理解を示した。

 さらに現在は、新型コロナウイルスによって強制的、かつ劇的に変化を迫られ大きな転換期を迎えていると言い、「テレワークなど非接触のコミュニケーションが増え、公共交通機関を利用しない自家用車での移動が増え、近場で楽しむマイクロツーリズムへの感心が高まるなど、いままで当たり前だったリアルなコミュニケーションの価値が見直され、大事にされることに繋がる」との考えを示した。

 こうした時代背景は、物質的な豊かさを求める時代から、こころの豊かさを求める時代への変化を表わしていると言い、新しいストラーダではそうした時代にどのような価値を実現していくのか、メンバー全員で再定義したという。

ストラーダの歩み
時代背景の変化
ストラーダで実現したい価値

 車載器として運転の安全・安心を追求するのは当然として、さらにクルマを単なる移動手段ではなく、ストラーダを通じて感動体験を提供し続けることが使命だと言い、新しいブランドコンセプトを「動かしたいのは、あなたのこころ。」とし、あらたなブランドメッセージを「移動を、感動に。」にすると紹介した。

新しいブランドコンセプトは「動かしたいのは、あなたのこころ。」
ブランドメッセージは「移動を、感動に。」

進化し続けてきたFシリーズ

 最後に同社インフォテインメントシステムズ事業部 市販・用品ビジネスユニット 市販事業推進部 商品企画課 課長 坂本佳隆氏より、秋の新製品について概要説明がなされた

パナソニック株式会社 オートモーティブ社 インフォテインメントシステムズ事業部 市販・用品ビジネスユニット 市販事業推進部 商品企画課 課長 坂本佳隆氏

 坂本氏は近年の新車登録とナビ出荷台数の状況について、ディスプレイの大型化によって車種専用商品が増えてきたことで、この数年間、純正ナビ・用品ナビが増加傾向にあったと紹介。一方で市販市場においては、クルマの保有年数の長期化に対し、既販車向けに大画面モデルが市場投入されたこともあって、堅調に推移してきたという。

 2020年度の市販ナビの需要予測としては、コロナ禍の影響によって昨年を割り込む見込みだが、ボリュームゾーンとなる価格帯の割合が若干拡大すると見ているという。そこで、市販ならではの顧客価値のさらなる提案によって単価を上げるとともに、ボリュームゾーンでの価値向上を推し進めて行きたいとした。

 一方で新型コロナウイルスの影響によって、特に都市圏を中心に公共交通機関の利用から、短距離でもクルマの移動が増える可能性があると予測。また、家族のレジャーもマイカー利用が増え、カーナビの需要が増える可能性もあると言い、こうしたライフスタイルの変化がカーナビ市場に影響を及ぼすかもしれないとの予測を示した。

過去5年間の新車登録とナビ出荷台数推移
2020年はコロナ禍の影響で需要の一時的減少を予想
新型コロナウイルスによる市場の変化

 そうした状況の中、パナソニックでは、2016年に汎用大画面カーナビを投入し、新たな市場を開拓してきた。特に大画面カーナビ Fシリーズは「みんなのクルマに大画面」を基本コンセプトに、フローティング機構によってこれまで装着できなかったクルマにも装着できる9V型ナビとして2016年に市場投入。2017年にはスイング機構を持たせた「みんなのクルマに振り向く大画面」、2018年にはDVD対応モデルとBD対応モデルをラインアップした「みんなの選べる大画面」、そして2019年には10V型ディスプレイの「みんなのクルマにもっと大画面」として着実な進化を遂げてきた。

 その間も、既販車モデルも含めて対応車種を拡大し、販売も順調に拡大。Fシリーズは高価格帯商品では珍しく既販車への装着が半数を占めているといい、「新車はもちろん、これまで大画面カーナビの装着が難しかった既販車への買い換えニーズにお応えできているのが特徴」だとした。

ストラーダ基本コンセプト
Fシリーズの商品コンセプト「みんなのクルマに大画面」
フローティングによる大画面ナビの提案
高価格帯モデルでありながら既販車への装着率が高水準を維持

2020年モデルのF1Xプレミアム10の3つの商品特徴

 そのFシリーズが2020年もさらに大きな進化を遂げ、市販AV一体型ナビとして初となる有機ELパネルを採用した。「みんなのクルマに、魅せる大画面」をメインコンセプトとし、10インチ有機ELディスプレイを採用したBDモデルとDVDモデルの2モデルを発売する。坂本氏からはその商品特徴として大きく3つのポイントが紹介された。

F1Xプレミアム10の3つの特徴

 まず商品特徴の最大のポイントである10V型有機ELディスプレイについて。

 有機ELディスプレイは、究極の漆黒の黒の再現が可能とし、まるで実物を見ているような圧倒的な美しさを実現できると言う。有機ELの最大の特徴はバックライトのいらない自発光であることだと言い、そのためコントラスト比が非常に高く外光下でもしまりのある黒を実現。さらに色域が広く色の濃い高い表現力を実現できるという。

 また、視野角はIPS液晶を越えるほぼ180度を確保。加えて空気層のない低反射パネルによるHDDブリリアントブラックビジョンによって、反射が少なく高い視認性を実現。クルマの中という悪条件の中でも地図画面の確認や鮮やかな映像を楽しめるとした。

有機ELだからできた漆黒の黒
コントラスト比が高く色域も広くて表現力が高い
IPS液晶を上回る視野角。反射も少なく見やすさを実現

 2つめのポイントとして、デザインと耐振動性にもこだわったという。

 Fシリーズは車内でのディスプレイの存在感を大切にするため、画面の大きさだけでなく薄さもこだわってきた。そして2020年モデルでは有機ELの採用によって、最薄部では4.7mmを実現。また、ディスプレイの外寸サイズを変えずに10インチ化するため家庭用TVのような狭額縁を実現したという。

 また、耐振動性についても、新たに高い剛性のハニカムマグネシウムダイカストを採用。ディスプレイユニットの軽量化によって前後や上下の揺れに対して耐振動性を向上している。

ディスプレイの外形サイズはそのまま表示部を大きく、本体を薄く進化
有機ELによって最薄部は4.7mmを実現
ディスプレイ部の軽量化によって耐振動性能を向上

 さらに今回のモデルでは実に430車種以上に対応し、「より多くのユーザーに美しい映像を最高の画質でお楽しみいただける」と紹介した。

2020年モデルでは対応車種430車種以上を実現

 3つ目のポイントは、HD連携と高音質なサウンドになるという。

 有機ELパネルを生かして、さまざまなHD機器と連携。地デジやBDなどの映像をHD画質でカーナビに表示できるほか、Amazon Fire TV stickのHDMI接続にも新たに対応。また、安全・安心という点では、オプションとして用意されるドライブレコーダーやリアビューカメラの映像もHD画質でナビ画面に表示でき、ナンバープレートなどの情報もその場で鮮明に確認できるとしている。

 高画質を高音質で楽しんでもらうためサウンドエンジンもさらにブラッシュアップ。信号パターンの設計見直しや低DCRチョークコイルを採用することでチャンネルセパレーションや歪率を大幅に改善し、ひずみのないクリアな音質を実現したという。

HD連携によりドラレコの映像もHD画質で確認可能
音質回路の見直しによって音質を向上

HD連携可能なオプション装備も進化

 F1Xプレミアム10の専用オプションとして同時発売されるドライブレコーダーとリアビューカメラも進化を遂げた。

 HDドライブレコーダー「CA-DR03HTD」は、連携モデルならではの地図連動再生など機能はそのままに、HD画質のままナビで映像確認でき、視認性も向上。また、ドラレコ映像を前後同時にナビ画面で確認できるほか、ドライブレコーダーの設定もナビの大画面で可能となっている。

 加えて、ワンタッチで後方確認できる「ワンタッチ後方ビュー」は、あおり運転の確認などができるほか、「リバース後方ビュー」はバック時にリバース連動することでバックカメラのように利用できる。こうした映像もHD画質で確認可能となっている。

F1Xプレミアム10専用のHDドライブレコーダー「CA-DR03HTD」
カーナビ連携ならではの専用機能
前後同時再生が可能に

 F1Xプレミアム10専用となるリアビューカメラ「CY-RC500HD」は、本体サイズは従来モデルとほぼそのままに、約126万画素のHD映像出力で、従来モデルの約2.6倍の高精細な表示を実現。また、水平画角は180度で真横までの広い範囲をカバーできる。

 HD画質によって駐車場の段差やコンクリートがはっきり見えるようになったほか、照度範囲を広げることで、暗いシーンでも視認性と色合いを向上させたという。

F1Xプレミアム10専用のリアビューカメラ「CY-RC500HD」
HD画質化に加え、暗いシーンでの視認性、色合いも向上

2020年モデル全ラインアップで全国で市街地図に対応

 最後に、F1Xプレミアム10に限らず、今回発表した全モデル共通の進化ポイントを紹介した。

 2020年モデルでは、市街地図や方面看板をさらに充実したという。地図では市街地図が従来の1295都市から1741都市に拡大。全国をカバーしてついに全国どこでも市街地図を実現した。

 またリアル方面看板についても、最近ポピュラーになりつつあるピクト表示に対応。実際の方面看板を忠実に再現することで、さらに直感的に分かりやすくした。

 新たな安全安心機能として、バック時にギヤをリバースに入れると「バックします」と音声で知らせる「リバースお知らせ機能」を搭載。また、バック時にバックの方向を動く矢印で知らせる「バック方向表示機能」も搭載した。

ストラーダモデル共通の安全・安心への取り組み
市街地図のカバーエリアを全国に拡大
道路標識をピクト表示に対応
リバースお知らせ機能とバック方向表示機能を追加

 今回、Fシリーズの他にもスタンダードなRシリーズもリニューアル。これら新製品ラインアップでドライバ-や同乗者の安全・安心をサポートすると共に、高画質・高音質のエンターテインメントによってドライブを感動へと変えるサポートをしていくとした。

ストラーダ 2020年モデルラインアップ