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GM メアリー・バーラCEO、自動運転機能「ウルトラクルーズ」をクアルコムと共同開発

2022年1月5日(現地時間) 開催

GM CEO メアリー・バーラ氏はChevrolet Silverado EVを発表

 GM(General Motors)は、CES 2022の初日(1月5日、現地時間)に行なわれた基調講演に同社 CEO メアリー・バーラ氏が登壇し、同社の電動化戦略などについて説明した。この中でバーラ氏は2023年に投入を計画しているBEV(バッテリ電気自動車)のピックアップトラック「Chevrolet Silverado EV(シボレー シルバラード EV)」を発表した。

 バーラ氏の基調講演は、CES 2022が開催されている米国ラスベガス市の会場で、対面形式で行なわれる計画だったが、米国で新型コロナウイルスの感染拡大などが発生している事を受けて、急きょオンラインに移行することになり、デトロイトからストリーム配信の形で行なわれた。ラスベガスにあるCESの基調講演会場では、その動画が流される形となり、CESに対面参加している参加者は現地にいながら配信で講演を見る「ハイブリッド」形式での参加となった。

EVプラットホーム「Ultium」とソフトウエア定義型のユーザー体験「Ultifi」の組み合わせでEVの実現を目指すGM

Ultium

 バーラ氏は、まずは同社のEVの計画について説明した。同社EVは「Ultium」と呼んでいる共通プラットホームのシャシーに基づいており、バッテリやモーターなどを車種に合わせてカスタマイズしていくことで、最終的な量産車に発展させていく仕組みになっている。

Ultium

 また、車両のユーザー体験は、ソフトウエア定義型の「Ultifi」を利用しており、こちらも車種に合わせてソフトウエアのコードを増やしたり減らしたりすることで対応するという。例えば、パワーモードに設定することで加速の性能が向上したり、アドベンチャーモードに設定しておくと、車載情報システムがユーザーは行なったことがないけれど、好きそうなショップやレストランをサジェストしてくれたりするという。

Ultifi

 そうした形で開発されているEVは、米国の荷物配送業者「FedEx」や小売り最大手の「Walmart」といった企業にて、配送車として採用されている事例などが紹介された。

FedExの事例
ウォールマートは顧客への配送に自動運転のEVを利用

BEVなピックアップトラック「Chevrolet Silverado EV」を2023年に発売予定

2024 Chevrolet Silverado EV

 その後バーラ氏が紹介したのは「Chevrolet Silverado EV」という新型車両で、バッテリEVのピックアップトラックになる。ピックアップトラックは、国土が広大な米国で人気を集める車種で、4~5人座れるキャビンの後ろに荷台がつく形になっており、例えばキャンプに出かけたりという時に荷物をたくさん積むことができるという利便性が人気の理由だ。これまでこうしたピックアップトラックはガソリン車がほとんどだったのだが、現在米国の自動車メーカーはそうした米国のライフスタイルを象徴するようなピックアップトラックのBEV化を進めており「Chevrolet Silverado EV」もそうした車両の1つということになる。

1回の充電で400マイル走ることができる

 バーラ氏は「Silveradoは一度の充電で400マイル走行することができる。ビジネスや余暇などに使うのに十分な航続距離を実現している」と述べ、こうしたエンジン車がBEVになると懸念される航続距離に関しても、一度の充電で400マイル(約644km)走行が可能なので、十分ガソリン車の代替になるという認識を示した。バーラ氏によれば、このChevrolet Silverado EVもUltiumを利用しており、モーターは664PS、780lbのトルクを発生し、0-60マイルの加速は4.5秒以下の性能を実現するという。

2024 Chevrolet Silverado EV

 なおChevrolet Silverado EVには、上位グレードとなるRSTが用意されており、基本グレードの機能に加えて四輪駆動、自動適応型エアサスペンション、荷台部分を拡張することができる「Multi-Flex Midgate」、17型のディスプレーを持つ車載情報システムなどが追加されるという。

市場想定価格

 バーラ氏によればChevrolet Silverado EVは2023年にデビューする計画で、3万9900ドル+ディーラー手数料という価格が想定されている。

2023年にはドアからドアへの移動の95%をハンズフリーで移動できるようになるUltra CruiseをQualcommと共同で開発

Ultra Cruiseの開発はQualcommと共同で行なわれる

 バーラ氏はサンフランシスコ市でのCruiseベースでのドライバーレス自動運転車両の実証実験を11月に行なったことを紹介し、ユーザーがUberなどのライドシェアを利用する感覚でドライバーレス自動運転車に乗り、目的地で降りるという実証実験が成功に終わったことを報告した。

サンフランシスコでの実証実験

 また、日本の本田技研工業と共同開発しているレベル5のドライバーレス自動運転バスの開発にも言及し、両社が強調して自動運転のユニットを開発していることを紹介した。そうしたレベル5の完全自動運転は、バスやタクシーといった事業者向けに販売されることになる。また、同社がSuper Cruise(スーパークルーズ)と呼んでいる一般消費者向けの自動運転システムの開発も引き続き続けられており、2023年に登場する22のモデルに採用される予定だ。

ホンダと共同開発し自動運転の技術が利用されているレベル5の自動運転バス

 さらに、より高度な自動運転システムの開発も続けられ、2023年にはUltra Cruise(ウルトラクルーズ)と同社が呼ぶ一般消費者向けの完全自動運転システムの実用化を目指すという。バーラ氏によれば「Ultra Cruiseではドアからドアの移動で95%はハンズフリーで移動できるようになる。そうした機能を実現するにはより高いコンピューティング性能が必要になるため、GMはUltra CruiseをQualcommと共同で開発し5nmで製造されるSnapdragon Ride Platformを採用する」と述べ、次世代の自動運転のユニットはQualcommと共同で次世代の自動運転システムを開発していくと表明した。

Super Cruiseの次にUltra Cruiseを開発