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日産、2021年度第3四半期決算を発表 販売台数は前年同期を下まわるも全体需要よりも減少が少ない点を強調

2022年2月8日 発表

2021年度第3四半期決算の説明はオンラインで行なわれた

 日産自動車は2月8日、2021年度第3四半期決算を発表し決算説明会を開催した。第3四半期(2021年10月~12月)の売上高は前年同期2兆2248億円から178億円減となる2兆2070億円、営業利益は同271億円から251億円増の522億円、当期純利益は同-378億円から705億円増の327億円。

 第3四半期の3か月間のグローバル販売台数は、前年同期の108万1000台から17万7000台減の90万4000台となった。

 また、2021年度第3四半期累計(2021年4月~12月)実績は、売上高6兆1540億円(前年同期比8366億円増)、営業利益1913億円(前年同期比3229億円増)、経常利益2560億円(前年同期比4723億円増)、当期純利益2013億円(前年同期比5690億円増)となった。

ノートとオーラなど、コアモデルの販売が好調

 説明を行なった日産自動車 COO アシュワニ・グプタ氏は「新型コロナウイルスの感染拡大と、半導体の供給不足によるサプライチェーンの影響に直面している」と現状を説明し、グローバル全体需要が18%落ち込むなか、日産の販売減は16%にとどまり、全体より2ポイント上まわっていること、各主要地域の市場においても、販売台数は減少するものの、グローバルよりも減少率が少なく、他社よりも好調である点を強調した。

日産自動車株式会社 COO アシュワニ・グプタ氏が主に説明を行なった
日産自動車株式会社 CFO スティーブン・マー氏も登壇、説明を行なった

 また、コアモデルのパフォーマンスとして、日本ではノートとオーラの合計がセグメントシェアを13.9%獲得し、前年同期比6.6ポイントの増加を強調。アメリカでのフロンティアのセグメントシェアはプラス7.2ポイントの13.1%になったことを紹介した。

第3四半期の自動車市場の動向。日産は全体よりも落ち込みが少ないことを強調している
第3四半期の販売実績は前年同期よりも減少、日中欧米の各市場ともに減少している
日産のコアモデルについては、セグメントシェアにおいて前年同期によりもいずれもプラス

 自動車事業の進捗の説明としては、ノートとオーラのデザインやパフォーマンスが評価され、カー・オブ・ザ・イヤーなど国内三冠を達成したこと、デジタルプラットフォームが顧客のポジティブな体験を加速し続けていることなどを指摘。グローバルでの台当たりの売上高が上がっているとし、台当たり売上高は前年同期比13%となったとした。

 対前年同期の営業利益の比較では、「販売パフォーマンス」の継続的な改善が3127億円の増益要因となり、その大部分は、販売の質の向上への取り組み、お客さまの需要と半導体の供給を考慮しながらコアモデルとコア市場に戦略的に注力した結果によるものと説明した。

自動車事業の進捗では、ノートとオーラの受賞や、台当たり売上高の上昇などを指摘
第3四半期累計の財務実績
第3四半期の営業利益の増減の要因

 売上高、営業利益などはいずれも改善。通期の見通しについて、営業利益については前回の通期予想の1800億円から2100億円へ上方修正した。300億円増の内訳は円安が進んだことでの為替変動が100億円、販売の質の向上やコストの最適化が100億円、原材料は価格の前提を見直した結果が100億円の合計となる。

 通期の販売台数予想は前四半期の発表からは変更はなし。売上高は前回見通しからは下がるものの前年比で増加する。営業利益、当期純利益ともに改善、通期の予想も前回見通しよりも増加している。

第3四半期累計の財務実績
2021年度通期の営業利益の見通しが1800億円から2100億円に引き上げられた
2021年度通期の見通し

 グプタ氏はまとめとして、「よりクリーンで安全でインクルーシブな世界を実現するために、持続可能な未来にギヤをシフトしていき、その取り組みはすでに動き出している。電動化戦略をよりいっそう推進し、アリアと軽EVの販売開始による商品ラインアップを拡大していく」「SUPER GT、フォーミュラEといったモータースポーツを通じても、お客さまに感動を提供する」「これまで蓄積した経験を活かしながら、新たな電動化の時代において成長し続けるための付加価値を生み出し、長期的な成長に寄与する」などと宣言。「日産というチーム全員がこのビジョンを共有しており、Nissan Ambition 2030とAlliance 2030によって実現することを固く決意している」とした。

欧州向けガソリンエンジンの開発はやめるが、電動以外のニーズには対応する

 質疑応答では、報道のあったガソリンエンジンの開発の今後について答えた。グプタ氏は「ガソリンエンジンは欧州市場向けには開発しない。なぜならユーロ7では、はるかに高い価格をガソリン車に支払わないとならなくなる」と欧州向けの開発をやめるものの、「お客さまや市場によっては、まだまだ異なるパワートレーンを求めるニーズに対応しないといけない」と、完全にやめるわけではないことも説明した。

 グプタ氏は北米向けのZやローグがガソリンエンジンを搭載していることを挙げながらも「電動化というのは結果。お客さまが自然に選んだ結果でなければならない」とし、電気自動車のリーフを2010年に登場させたことについても、当時は需要も市場もなかったが自然にシフトしてほしいため、あえて登場させたとした。

 なお、電動化戦略については「Nissan Ambition 2030」として発表済。グローバルの電動車のモデルミックスを50%以上に拡大することを目指すとしている。グプタ氏は「当社の工場の準備はできている。お客さまが電動化を求めたら対応できる。準備はできています」と述べ、あくまで顧客側からシフトが起こるという点を強調した。インフィニティブランドの電動化についても「Nissan Ambition 2030」に含まれるとした。

 また、新型コロナウイルスにおいて、オミクロン株の感染者が多いことについての対策としては、「人の安全が第一」とした上で、その結果が第4四半期の販売台数が第3四半期を下まわることだとした。