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今国会へ「モータースポーツ振興基本法」の法案提出を目指す自民党モータースポーツ議連の定時総会
2022年3月31日 13:45
- 2022年3月30日 開催
自由民主党 モータースポーツ振興議員連盟(以下、自民党モータースポーツ議連)の定時総会が、3月30日に衆議院第2議員会館において開催された。自民党モータースポーツ議連 会長 古屋圭司衆議院議員、同 幹事長 三原じゅん子参議院議員、同 事務局長 山本左近衆議院議員などの自民党モータースポーツ議連に所属している国会議員、SUPER GTのプロモーターであるGTアソシエイション(以下GTA) 代表取締役 坂東正明氏、スーパーフォーミュラのプロモーターである日本レースプロモーション(以下JRP) 代表取締役社長 上野禎久氏などの日本のモータースポーツ産業のリーダー、さらには2021年のSUPER GT GT300チャンピオンの山内英輝選手や2021年のスーパーフォーミュラ チーム王者となったcarenex TEAM IMPULのドライバーである平川亮選手などの日本を代表するドライバー2人が参加して開催された。
この中で、同議連の古屋会長は「われわれが長い間取り組んできたモータースポーツ振興基本法の法案を議員立法として今国会に提出すべく努力を続けている」と述べ、現在は公道でレースを行なう場合に、道路を管轄する地域の警察署の署長に道路使用許可を取らなければいけない現状を変えるために、新しい議員立法の法案を提出し、ラリーや公道レースなど容易に開催できるようにしていきたいと強調した。
自民党 モータースポーツ議連、スムーズな公道レースの開催を可能にする「モータースポーツ振興基本法」の法案提出を目指す
自民党 モータースポーツ議連は、その名のとおり自民党の議員でモータースポーツの振興、育成に興味ある議員が集まっている議員連盟で、日本のモータースポーツ産業からすれば、政府などに働きかけを行なう時に窓口の1つとなる議員連盟だ。実際、2021年のF1日本GPやWEC富士、WRCラリー・ジャパンなどの開催に向けて、モータースポーツ産業がさまざまな努力を続けている時には、同議連の会長である古屋圭司衆議院議員に相談していたことなどが、JAFから明らかにされている。
JAF、FIAレースの開催や外国人選手の入国に向けたモータースポーツ業界全体の取り組みを説明
https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1354898.htmlそうした自民党 モータースポーツ議連の定時総会が、3月30日の夕方に衆議院第2議員会館において開催された。今回の定時総会を仕切っていたのは、元F1ドライバーで、2021年10月の衆議院総選挙において比例東海ブロックから初当選した山本左近衆議院議員。山本衆議院議員は自民党 モータースポーツ議連の事務局長に就任しており、今回の定時総会の司会を担当した。
冒頭では先日亡くなった日本のレジェンド・ドライバー 高橋国光氏をしのんで黙とうが行なわれたほか、同会のOBで名誉顧問である元衆議院議員の中村正三郎氏が日本のモータースポーツを巡る問題点の指摘が行なわれた。
その中で中村氏は「ラリーや公道レースを行なうにあたり、大きな制約になっているのが道路交通法だ。この法律で道路を占有することの権限は警察署の署長にあるとされており、マラソンはオッケーだが、モータースポーツをやろうとするとダメだという判断をする署長が少なくないという現状がある。ぜひとも現役の皆さんにはそれをちゃんと法律で規定するような仕組みを作ってほしい」とあいさつをした。
それを受ける形で山本衆議院議員がモータースポーツ振興基本法の概要を説明し、「地域振興や観光政策の一環で公道を利用したいと申請する時に、警察署長から許可が得られないという相談がこれまでもあった。そうしたことをカバーする基本法の法案を作成し、今回の国会に提出したいと考えている。現在、党の承認プロセスは通っている段階だ」と現状法案を提出する段階にあると述べた。
そして古屋会長は「この法案は議員立法なので、今野党にも根回ししている段階。これまでも2度ほど頓挫したこともあり、それを教訓にして今回こそこの法案を通過させたいと思っており、現在努力している」と述べ、与党、野党など関係各所に根回しを続けて法案成立に向けて努力を続けていきたいとした。
会の最後には、同議連の幹事長である三原じゅん子参議院議員があいさつし「昨年起きた外国人ドライバーや関係者の入国問題は大変難しいテーマではあるが、日本でレースを行なうためにはドライバーだけでなくチームの関係者にも来ていただく必要がある。私たちも向こうにいってレースをするが、向こうもこちらに来ていただくことで、お互いの質が向上する。私の方からも国の関係各所の皆さまには入管のことをくれぐれもお願いしたい。また、KYOJO CUPをはじめとした日本のレースには議連のメンバーと一緒に今年は視察に行きたいと思っている」と述べ、国際レースの開催に向けて外国人ドライバー/関係者のスムーズな入国措置を詰めかけた官庁の関係者に求めるのと同時に、女性ドライバーのレースであるKYOJO CUPへの期待感などを表明した。
モータースポーツ業界側は国際レース関係者のスムーズな入国とカーボンニュートラルフューエルの導入をアピール
今回の定時総会には、ゲストとして関係官庁の官僚、自動車メーカーの関係者、そしてSUPER GT、スーパーフォーミュラなどのプロモーター、またJAFやMFJ(日本モータサイクルスポーツ協会)などの4輪/2輪の統括団体などの関係者が出席し、議連に対してカーボンニュートラルフューエルなどの化石燃料由来ではない燃料の採用などのカーボンニュートラル時代を見据えた取り組みの説明や、2021年外国人ドライバーやチーム関係者などの入国のめどが立たずに中止になってしまった国際レース(4輪ではF1日本GP、WEC富士、WRCラリー・ジャパン、2輪では鈴鹿8耐とMotoGP日本GP)の実施に向けて、国の関係機関にスムーズな入国ができるような仕組みの確立をお願いするなどの陳情が行なわれた。
SUPER GTのプロモーターであるGTAの坂東正明代表は「今年は国内のみの8戦で、GT500は15台、GT300は28台の合計43台が出走する。GT500とGT300にはトヨタ、ホンダ、ニッサンが参戦し、GT300にはそれに加えて、SUBARU、メルセデス-ベンツ、アウディ、BMW、ランボルギーニなどが参戦する。また、タイヤもダンロップ、ブリヂストン、ミシュラン、ヨコハマの4メーカーで、タイヤメーカーにはグリップではなく長持ちするタイヤを、自動車メーカーには出力ではなく燃費で競争してほしいとお願いしており、環境と両立するレースを目指していきたい。今年は地上波からデジタル配信中心に移行し、サーキットに来ていただいたお客さまにはJ-SPORTSの放送を無料で見ることができる仕組みを提供するなど、お客さまの目線にたった強化を行なっていきたい」と2022年のSUPER GTについて説明した。
また、カーボンニュートラルへの取り組みに関して坂東代表は「昨年GTAとメーカーで話をして、化石燃料を使用しない燃料をカーボンニュートラルフューエルとよぶことにした。今年はテスト的に輸入し、7月頃には全車両で使える分を輸入して今年の後半にテストしたい。最初は輸入で始めるが、最終的には国産でやりたいと思っている。そのようにカーボンニュートラルフューエルを使うことで、カーボンニュートラルの時代となるであろう10年後にも音がでるレースをしたいというのがわれわれの狙いだ」と述べ、モータースポーツの音やにおいといった五感に訴える部分は維持しつつ、カーボンニュートラル時代を生き残るためにカーボンニュートラルフューエルが必要だと強調した。
スーパーフォーミュラのプロモーターであるJRPの上野社長は「今年は全7戦で、うち3戦が2レース制になっている。今年で日本のトップフォーミュラは50年の節目を迎え、次の50年に向けてデジタルシフトとカーボンニュートラルの実現を目指していきたい」と述べた。
また、両レースを代表して2021年のSUPER GT GT300チャンピオンの山内英輝選手や2021年のスーパーフォーミュラ チーム王者となったcarenex TEAM IMPULのドライバーである平川亮選手の2人が来場し、2022年への意気込みなどを語った。また、2021年のKYOJO CUP(インタープロトシリーズ併催の女性だけのレースシリーズ)のチャンピオンとなった辻本始温選手も会場に姿を見せ、どのドライバーも今シーズンもチャンピオンを目指すと誓っていた。