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ロールス・ロイス、初のバッテリEV「スペクター」がスウェーデンでの冬季テストを完了
2022年3月31日 18:16
- 2022年3月30日（現地時間）発表
極寒の地で極限まで追い込むテストが行なわれた
ロールス・ロイスは3月30日（現地時間）、同ブランド初のバッテリEV（電気自動車）モデル「スペクター（Spectre）」の冬季テストを完了したと発表した。
スペクターは2021年9月29日に発表され、2023年の第4四半期に市場へ投入される予定で、現在250万kmにおよぶテストを実施している最中。今回の冬季テストは、北極圏からわずか55kmしか離れていないスウェーデンのアルイェプログにあるビスポーク施設で行なわれた。エンジニアは50万kmを超えるテスト走行を経て、現在この全プロセスの25％が完了したとしている。
冬季テストでは、ドアゴムの密度、ブッシングコンパウンド、ファスナー素材、さらには接着剤の特性などの騒音、振動、ハーシュネステストをはじめ、シャシー制御システム、パワートレーン管理、電子制御といった主要なハードウェア部品の素材から、すべてが寒冷な環境でも基本的なレベルで動作することを確認するほか、暖房、換気、空調、冷却システムの効率も同様にチェックされた。
また、雪や氷のようなトラクションの低い路面を走行し、意図的に不安定な状態にすることで、ハンドリング、コントロール性、安定性、予測可能性、ロールス・ロイスの特徴である「漂流性」などの分野において、寒冷地における車両性能をパラメトリックに調整し、確認・修正するという。
スペクターは、ロールス・ロイス史上もっともコネクテッドなモデルであり、各コンポーネントは、14万1200の送受信器、1000以上の機能、2万5000以上のサブ機能と、これまでのどのロールス・ロイスよりもインテリジェントなものを搭載（ちなみにファントムは、5万1000の送受信器、456の機能、647のサブ機能となっている）。このためエンジニアは25倍以上のアルゴリズムを書き込む必要があったという。
また、スペクターはオールアルミ製のスペースフレーム・アーキテクチャー「アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー」によって、ゆったりとしたプロポーションとエモーショナルなボディスタイルを実現。そのスケールは、現代のクーペをはるかに超えていて「エレクトリック・スーパークーペ」と命名されたという。現行車でこの広さを持つのは「ファントム・クーペ」以外になく、デザイナーはスペクターをファントム・クーペの後継車と位置付けているという。さらにレーキ角を大幅に下げることで、効率的に空力効果を高め、初期のプロトタイプでは空気抵抗係数（Cd値）はわずか0.26に抑えられているという。
ロールス・ロイス・モーター・カーズ最高経営責任者のトルステン・ミュラー・エトヴェシュ氏は、「ロールス・ロイスの新型車の発表は、毎回大きな期待が寄せられますが、スペクターは間違いなく、現代ロールス・ロイスの歴史の中でもっとも期待されている製品です。それは、このクルマが単なる自動車以上のもので、このクルマが私たちの明るく大胆なEVの未来を象徴するものであり、パワートレーン技術に大きな変化をもたらすものだからです。このような理由から、私たちはスペクターに匹敵する重要で歴史的なテストプログラムを作成しました。ロールス・ロイスのように考え、行動するようスペクターを学習させるという並外れたテスト走行は250万kmにおよびますが、これは400年以上の使用をシミュレートするためです。こんにち、このテストの25％が完了し、その結果がわれわれのもっとも大きな期待に応えたことを確認することができました"」とコメントしている。
また、ロールス・ロイス・モーター・カーズ エンジニアリング・ディレクターのMihiar Ayoubi氏は、「スペクターを支える全電動ドライブトレーンの改良は、まさにエンジニアリングの挑戦です。内燃機関から脱却することで、個々の部品の処理能力を大幅に向上させ、分散型インテリジェンスを実現することができるのです。私たちは、マルチコントロール、マルチチャンネル、高度に相互接続された電子・電気パワートレーン・アーキテクチャを『ロールス・ロイス3.0』と呼んでいます。私たちの仕事は、ロールス・ロイスのように考え、行動し、コミュニケーションする方法を、各コンポーネントやシステムに教えることです。ここアルイェプログで、私たちは真のロールス・ロイスを創造するための重要な基礎を築きました。スペクターはまだ初期段階にありますが、この技術によってロールス・ロイスの体験を封じ込めることができることを確認することができます」と述べている。