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ロールス・ロイス、新型「ゴースト」のブラック・バッジ仕様がデビュー 出力向上で600PS/900Nm発生

2021年10月28日(現地時間) 発表

新型「ブラック・バッジ・ゴースト」を発表

 英ロールス・ロイス・モーター・カーズは10月28日(現地時間)、新型「ブラック・バッジ・ゴースト」を発表した。本国では同モデルの先行予約を受け付けている。

 2016年にブラック・バッジ・モデルとして「レイス」「ゴースト」がデビューし、2017年には「ドーン」を、さらに2019年には「カリナン」を発表。今回、ポスト・オピュレンス(脱贅沢)の表現としてブラック・バッジ・ゴーストが加わり、その特徴はリダクション(削減・縮小)とサブスタンス(実質)。そのために優れた素材を厳選して使用し、控えめながら知性を感じさせるデザインに仕上げたという。

 エクステリアでは自動車業界で最もダークなブラックを作るため、45kgの塗料を霧状にしてホワイトボディに電着塗装し、オーブン内で乾燥。その後、2層のクリア・コートを施しつつ4名の職人たちによって手作業で磨き上げられ、ゴーストの特徴であるハイグロス・ピアノフィニッシュを実現。

 スピリット・オブ・エクスタシーやパンテオングリルなども、もともとのクロームメッキ工程に特殊なクローム電解液を導入し、ステンレススチール製の下地に共析させてダーク仕上げとしている。また、専用にブラック・バッジ・ハウス・スタイルのデザインが施されたホイールは、そのバレル部分には22層のカーボン・ファイバーを3方向に交差させて配置したものを使用しており、リムの外周で折り返すことにより合計44層のカーボン・ファイバーとなって強度を高めている。3D鍛造アルミニウム製ハブは、航空宇宙産業で使用するグレードのチタン製ファスナーでリムに固定され、ダブルRのモノグラムが常に直立するロールス・ロイスの特徴的なフローティング・ハブ・キャップも付属する。

ブラック・バッジ・ゴーストのボディサイズは5546×2148×1571mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは3295mm

 インテリアではパーツのベース部分に複数のウッド・レイヤーを圧着させ、ベース層の最上部にはブラックのボリバル・ベニアを使用。これは、その後に加工されるテクニカル・ファイバーの層のための暗色の基盤となり、レジン・コーティングされたカーボン・ファイバーと、それとは対照的にメタル・コーティングされた糸をダイヤモンド・パターンで織り込んだ生地を、手作業で部品との位置を合わせて貼り付けることで立体感を演出。この特殊なベニヤを固定するため、各部品を100度の温度下で1時間圧着して硬化させ、その後にサンド・ブラストを使用して6層のラッカーの鍵となる面に手作業でサンディングとポリッシュを行なったのち、車両に組み込まれるという。

 また、ブラック・バッジ・ゴーストではノワールな雰囲気をさらに高めるため、金属光沢の部品を減らす選択をした。ダッシュボードや後部座席のエア吹き出し口のサラウンドは、経年劣化や反復使用によって部品が変色したり変質したりしない数少ない金属着色法の1つである物理蒸着法(PVD)を使って暗色化。さらにポスト・オピュレンスの原則であるシンプルさはブラック・バッジ・ゴーストの時計のデザインにも生かされており、車載時計の指針の先端と12時、3時、6時、9時のアワー・マークだけが落ち着いたクローム仕上げになっている。

 この時計の脇にはは850個を超える星に囲まれたレムニスケートが幽玄に輝く「イルミネーテッド・フェイシア」があり、ダッシュボードの助手席側に配置されたこの星座とモチーフは、ルームライトが点灯していないときは見えないようになっている。「ゴースト」と同じく、このレムニスケート・モチーフのイルミネーションはフェイシアの上部と下部に取り付けられた152個のLEDからなり、それぞれが発する色はキャビンの時計や計器盤の照明に合わせて念入りに調整されているとのこと。

ブラック・バッジ・ゴーストのインテリア

 パワーユニットは、ベースのゴーストから29PS/50Nm上乗せして最高出力441kW(600PS)/5000rpm、最大トルク900Nm/1700-4250rpmを発生するV型12気筒 6.75リッターツインターボエンジンで、トランスミッションはZF製8速AT、駆動方式は4WDを採用。この出力向上によって途切れることのないシングルギヤのような走行感覚を強調するとともに、トランスミッションとスロットルの特性にも手を加えているという。

 なお、他のブラック・バッジ・モデルと同様に、ギヤ・セレクト・レバーにある「Low(ロー)」ボタンを押すと一連のテクノロジーが全面解除され、まったく新しいエグゾースト・システムを介してエンジンの秘められたパワーをさりげなくアピール。また、ロー・モードで走行中にアクセルを90%まで踏み込むと、変速の速さが50%増しとなり、ブラック・バッジ・ゴーストの豊かなパワーを瞬時に引き出すことができるようになるとしている。

最高出力441kW(600PS)/5000rpm、最大トルク900Nm/1700-4250rpmを発生するV型12気筒 6.75リッターツインターボエンジン。0-100km/h加速は4.7秒を実現