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住友ゴム、トヨタの材料解析クラウドサービス「ウエイブベイス」活用でゴム材料開発の解析時間を100分の1以下に短縮

2022年4月12日 発表

トヨタ自動車が事業化に向けて実証実験を進めているクラウド材料解析プラットフォームサービス「WAVEBASE」を活用し、解析時間を100分の1以下に短縮することに成功

 住友ゴム工業は4月12日、ゴム材料開発に重要な先端研究施設から得られるデータの解析プロセスを効率化し、解析時間を100分の1以下に短縮することに成功したと発表した。

 これはトヨタ自動車が事業化に向けて実証実験を進めているクラウド材料解析プラットフォームサービス「WAVEBASE(ウエイブベイス)」を活用して実現したもので、住友ゴムで培ってきたゴムの材料解析における知見をトヨタと共有し、ゴムの材料解析に最適なプラットフォームのカスタマイズを進めたという。

 住友ゴムでは、かねてより大型放射光施設「SPring-8」、大強度陽子加速器施設「J-PARC」、スーパーコンピュータなど、世界水準の最先端研究施設を活用した材料開発を行なってきたが、計測技術の進化や装置の高度化によって短時間で大量のデータの取得が可能となる中、近年は重要な情報になり得る材料中のわずかな変化に至るまで余すことなく解析することが求められていた。

 一方、トヨタでは住友ゴムが持つ自動車に使われる材料開発のために培ってきたデータ処理技術を応用した、さまざまな材料解析サービスの展開を検討。そこで住友ゴムはMI(マテリアルズ・インフォマティクス)による解析力のさらなる向上と、研究開発のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を目的とし、2020年6月よりトヨタと共同で実証実験を開始。ゴム材料開発に重要な先端研究施設から得られるデータの解析プロセスを効率化することで、解析時間を100分の1以下に短縮することに成功した。

ビッグデータ化に伴う課題

 今後、住友ゴムでは「WAVEBASE」を活用し、最先端実験施設での現場でリアルタイム解析を行なうほか、さまざまな実験室系分析装置で得られるデータを統合し、ビッグデータとして解析することで研究開発の効率化・高速化・省力化に繋げていく。また、従来は気づくことができなかった新たな着眼点を得ることで、独自の材料開発技術「ADVANCED 4D NANO DESIGN(アドバンスド フォーディー ナノ デザイン)」を進化させ、さらに安全性能と環境性能を備えたタイヤの開発を目指すとしている。

 今回の発表について、住友ゴム工業 研究開発本部 分析センター センター長の岸本浩通氏は「住友ゴムでは、量子ビーム施設と大型スーパーコンピュータを活用したタイヤ用新材料の研究開発を通して、環境に配慮した低燃費タイヤの開発を行なってきました。今後、取り組むべきカーボンニュートラルやグリーンイノベーションを達成するためには、これら先端研究施設から得られる大量の実験データと市場情報を結び付けた情報科学との融合による新たな知識獲得を行なう必要があります。当社では、2019年にタイヤの使用前後の物性や材料変化を捉える『Tyre Leap AI Analysis』技術をすでに開発しています。さらにゴム材料研究を加速させるために、豊富な経験と技術を持つトヨタ自動車と連携することで材料開発のスピードアップが可能と判断し、『WAVEBASE』活用を進めました。今後ますます連携を深め、Society 5.0の実現による持続可能な社会に向けて貢献していきます」とコメント。

 また、トヨタ自動車 先進技術開発カンパニー プロジェクト領域 ADPT WAVEBASEプロジェクト プロジェクト長の庄司哲也氏は「トヨタ自動車では、日本の産業界の発展に貢献したいという思いから、先端材料技術部と先進プロジェクト推進部とでこれまでに培ってきたMI材料分析データ解析技術の事業化を目指してきました。この度、住友ゴムの量子ビームを活用した最先端研究施設での開発実績に着目し、実証実験パートナーとして声をかけさせていただきました。実証実験では、材料開発の経験やノウハウも踏まえて、階層構造を持つ材料を過不足なく解析するために、計測法の原理に立ち戻り、1つひとつ情報をひも解いていきました。当社は今後、『WAVEBASE』を通して、ご利用者さまが普段材料を開発される中で培われた知識と、トヨタ自動車がインフォマティクスを材料開発に適用する中で得られた実践知を融合させ、MIや研究開発DXをフルに活用できるようにお手伝いをさせていただきます。さらに、素材開発を通じて、環境問題をはじめとする社会課題の解決にも繋げてきたいと考えています」と述べている。