ブリヂストン、使用済みタイヤのリサイクル技術の開発加速を目指してランザテックと業務提携

ブリヂストンがタイヤの100％リサイクルを目指し、ランザテックとパートナーシップを締結

　ブリヂストンの米グループ会社であるブリヂストン アメリカ（BSAM）は4月14日、ランザテック（LanzaTech NZ,Inc.）と使用済タイヤのリサイクル技術の開発に向けたパートナーシップを締結したと発表した。

　ブリヂストングループとランザテックは、使用済タイヤをリサイクルして原材料に戻すという新たなビジネスモデルの構築を共同で進めており、再生資源の普及を促進させている。具体的にはランザテックの持つカーボン回収およびガス発酵技術を用いて、使用済タイヤからエタノールなどの化学品を製造し、包装用のPET（ポリエチレンテレフタレート）樹脂やポリエステル糸、洗濯洗剤など日用品に使用される界面活性剤などの原材料として再利用することに取り組むという。

　さらに、使用済タイヤからタイヤの材料の1つである合成ゴムの素原料となるブタジエンを製造するため、独自の微生物を用いた発酵技術の開発に向けて共同で探索を進める。この活動により、使用済タイヤを新品タイヤの原材料に「戻す」資源循環の実現を目指すとしている。

　ランザテックは廃棄物からカーボンを回収し、それを再生資源として「燃料」「繊維」「包装材」などに再利用しているが、その技術を通じて数多くの再生資源を生み出し、日常生活のあらゆるものが石化原料由来である必要がない未来を目指すとしている。同時に従来のカーボンの利用方法を見直し、変革することを通じて、カーボンがただ放出されるのではなく再利用され、それにより空や海がきれいに保たれ、環境汚染が過去のものとなる新たなカーボン循環型経済の実現をゴールと定めているという。

　ブリヂストングループは、この地球を未来の子供たちからの預かり物と考え、よりよい地球環境を将来世代に引き継ぐため、さまざまなパートナーとの共創を通じて、バリューチェーン全体でカーボンニュートラル化、サーキュラーエコノミーの実現とビジネスモデルの連動を推進。「創って売る」タイヤ事業や、ユーザーがタイヤを「使う」段階で価値を提供するソリューション事業に加え、タイヤを原材料に「戻す」リサイクルの事業化に取り組み、サーキュラーエコノミーについて、2030年に再生資源・再生可能資源に由来する原材料比率を40％に向上させ、2050年の100％サステナブルマテリアル化への挑戦を掲げている。

　ブリヂストンはその一環として、2021年にミシュランとマテリアル・サーキュラリティに貢献する再生カーボンブラックの利用拡大について共同発表を実施。また2022年2月には、石油販売メーカーENEOSと「使用済タイヤの精密熱分解によるケミカルリサイクル」技術の社会実装に向けた共同プロジェクトを開始している。