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ジヤトコ、伝達効率90%以上の新型CVTやマグネシウムケース採用の9速AT 「人とくるまのテクノロジー展2022 YOKOHAMA」で公開
2022年5月25日 16:57
- 2022年5月25日~27日 開催
- 入場無料
5月25日~27日の期間、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で開催されている「人とくるまのテクノロジー展 2022 YOKOHAMA」(主催:公益社団法人自動車技術会)からジヤトコのブースの模様をお伝えする。
ジヤトコブースではまず、ジヤトコ 代表取締役社長 兼 CEO 佐藤朋由氏によるプレスブリーフィングが行なわれ、「ジヤトコはAT、CVTの分野で常に時代を先取りした商品を世に送り出し、運転の楽しさを提供してまいりました。ジヤトコのオートマチックトランスミッションの生産台数は累計1億2000万台以上になります。CVTに至っては5500万台以上を市場に投入するなど、CVTの普及に貢献してきたと自負しています」と振り返る。
また、現在の自動車業界は変革期を迎えており、ジヤトコではサステナブルな社会の構築に向けて2050年までにバリューチェーン全体でのカーボンニュートラルを目指すことをアナウンスするとともに、「中間目標としては、工場における工法変更や場内で使用するフォークリフトの電動化などにより、2030年までにCO2排出量を2013年比で46%削減します。2050年にかけては空気中のCO2を回収する技術や自分たちでエネルギーを作り出すことで省エネルギー化を進めていきます。SDGs達成への貢献の1つとしては電動アシスト自転車の開発をしています。これについては静岡県富士市と自転車を活用した街作りと地域課題の解決に関する協定を締結しました」と語った。
ブースでは新型CVTや9速AT、電動化に向けたe-Axleなどを展示・解説
新型CVT、9速AT
続いてはジヤトコブースの展示物を紹介しよう。まずは「Jatco CVTーX」だ。
こちらは中・大型FF車用のCVTで、最大の特徴はCVTでは不可能と言われていた伝達効率90%以上を実現したこと。これにより優れた燃費性能と、意のままの走りを実現する運動性能をもたらした。
構造の特徴として、オイルポンプについて従来は1つの機械式ポンプのみだったところに電動オイルポンプを追加。これにより機械式ポンプを小型化できたので、15%のフリクションロス低減となっている。
トルクコンバーターでは、ロックアップ領域を拡大することで燃費性能を向上させた。また、ベルトのコマのつなぎをピッチの狭いところ、広いところとランダムにすることでベルトからのノイズ発生も低減している。
次に9速ATの「JR913E」。こちらは従来のATより多段化しつつ、クラッチやブレーキの構造変更などを行なうことで全長を短くしている。油圧制御についても細かいコントロールをすることでディスクの滑りを最適化。燃費や乗り味を向上させる。さらに軽量化を突き詰めるために、ミッションケースの材質にマグネシウムを採用。同時にボルト類をアルミとして、金属の電位差による腐食がないようしている。
e-Axle
次はe-Axle。本体はモーター、インバーター、減速機が一体になったシステム。タイプは2つあり、1つはモーター軸とタイヤにつながるドライブシャフトが1軸構造で横置きタイプとなる。展示物は供給電力が300~400V、モーター回転が最大1万6000rpm、最大出力が100~150kW、最大トルクが2000~3400Nmとなっている。そしてもう1つは3軸タイプのe-Axleである。ともに中型の車両に対応するスペックで、形状の違いは搭載車のスペースに合わせるためのこと。
ジヤトコのe-Axleはコンパクトで軽量であるところが強みとのことだが、もともとトランスミッションを作るメーカーだけに歯車(ギヤ)に関しては大きなアドバンテージを持っていて、強度に対するサイズ感は他社より小型になっているという。また、モーターならではのトルクの出方に合うように、ギヤ自体のチューニングも行なっているとのことだった。