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勝田貴元選手、WRC第9戦ラリー・ベルギーで5位入賞 ターマックの課題をクリアしつつラリージャパンへ

日本人WRCドライバー 勝田貴元選手。第9戦ラリー・ベルギー終了直後に話をうかがった

ターマック戦のWRCラリー・ベルギー

 8月19日~21日にWRC(世界ラリー選手権)第9戦「イープル・ラリー・ベルギー」(以下、ラリー・ベルギー)が開催された。このトップカテゴリーに日本人として唯一シリーズ参戦しているTOYOTA GAZOO Racing World Rally Team Next Generationの勝田貴元選手は見事総合5位を獲得。前戦のラリー・フィンランドの総合6位からさらに成績を上げてきた。

 今回のラリー・ベルギーは舗装路の多いターマック戦となっており、勝田選手はベルギー戦前にターマックの克服を自身のTwitterで課題に挙げていた。結果を見る限り、初日となるDAY1におけるトランスミッショントラブルの出遅れを、DAY2、DAY3で見事に巻き返すなどしっかり結果を出したように見える。レース終了直後、勝田貴元選手に話をうかがう機会があったので、ここに紹介する。

第9戦ラリー・ベルギーを走る勝田貴元選手

課題を持って取り組んでいた勝田選手

──総合5位という成績を収められたのですが、3日間のラリーを振り返っての印象を教えてください。

勝田選手:今回は、4月クロアチア以来のターマック戦になったので、自分の中で改善点が多いターマック戦でのドライビングと、クルマに対する理解。その辺りを今回のベルギーのターマック戦をやっていくうちにいろいろつかんでいけたらいいなと。

 ラリージャパンもターマックですし、ベルギー、スペイン、ジャパンとステップを踏んで、ラリージャパンに向けていい準備をしていきたい。今回のラリーはそういった意味で、大事な最初の1戦でした。

 とにかくフィニッシュすることが大事というのと、ラリーをやっていく中で自分のペースを見つけてること、あとはクルマのセッティングもそうですが、いろいろと発見していくことが大事でした。

 もちろんトラブルがあっていろいろ大変でしたけど、最終的には(完走という目標を)達成できましたし、いいスプリットでは本当にトップの選手と遜色のない、より速いところもありました。

 ただ、リスクを背負えば速く走れるところで、まだちょっと抑えている部分もあるので、そこは今後自分がどれくらいリスクを取って戦っていくかによって変えていけばいいかなと思っています。

 結果も最終的には(総合)5位ですし、パワーステージで1ポイント取れたので、全体的にはいろいろなトラブルもありながらも走り切れたのはよかったかなと思っています。

──DAY1、DAY2、DAY3と、日を追うごとに速くなり、成績も上がっていきました。何か発見できたのですか?

勝田選手:はい、やはりDAY1は自分の中でターマックにあまり自信のないところからスタートしたので、その自信を深めるところがありました。あとは、新しいクルマ(GRヤリス ラリー1ハイブリッド)になって、なかなかターマックでのドライビングもなかったので、そこをしっかりとステップバイステップで。本当に小さなミスでリタイヤに追い込むようなコース設定というか、ベルギーの道はそういう感じなので、とにかくその一線を越えないようなところからスタートしました。

 そこから徐々にペースを上げて、自信の持てるところでプッシュして。そのステップを踏みながらやっていました。


 勝田選手の発言から分かるのは、勝田選手が明確にラリージャパンを目標にWRCを戦っていることだ。ラリージャパンのコースは、このラリー・ベルギーと同様にターマックとなり、90度で曲がるような交差点を規制したコーナーはいくつもあると思われる。勝田選手はそのような道路をいかに速く走るか、いかに最終的に破綻しないだけのリスクを取っていくかなどをシミュレーションしているように感じた。

 明確に口にしなかったものの、ターマックの克服を語ることでラリージャパンでの好成績に期待してほしいとの意気込みを伝えてくれた。成長を続ける勝田貴元選手の戦いに注目していただきたい。