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三菱ふそう、EV小型トラック「eキャンター」の次世代モデル公開 シャシーラインアップを大幅に拡充

2022年9月7日 発表

EV小型トラック「eキャンター」の次世代モデルを公開

より多くの物流ニーズに対応するモデルに進化

 三菱ふそうトラック・バスは9月7日、フルモデルチェンジしたEV(電気自動車)小型トラック「eCanter(イーキャンター)」の次世代モデルを発表した。日本国内向けは2023年春発売予定。海外市場向けモデルも順次展開する。

 eCanterは2017年に国内初の量産型EV小型トラックとして発売。電動で駆動することで排出ガスを一切出さず、騒音や振動も少なく、CO2ゼロの輸送を実現する車両として日本、欧州各国、北米、オーストラリアやニュージーランドで多様な用途に活用されているモデル。次世代モデルはこれまでの運用経験に基づき、車両ラインアップを大幅に拡充し、より多くの物流ニーズに対応させつつカーボンニュートラル輸送の実現を加速させるとしている。

eCanter次世代モデルの特徴

eCanterの次世代モデルはシャシーラインアップを大幅に拡充

 eCanter次世代モデルは、モーターを後軸に統合した「eアクスル」を新たに採用し、ドライブトレーンをコンパクトな構造にすることで、シャシーラインアップを大幅に拡充。国内市場向けモデルは28型式、海外市場モデルは約80型式を展開し、より幅広い物流ニーズに対応させるという。

 さらに、現行モデルの車両総重量(GVW)7.5tクラスに加えて、国内モデルでは最小5t~最大8tクラスまで、海外モデルでは4tクラス~8tクラスまでのバリエーションを展開。キャブバリエーションも拡充させ、小まわりのきく標準幅キャブ(1700mm)から、より多くの荷箱容積が確保可能な拡幅キャブ(2130mm)を新たに追加。さらに、ホイールベースも最小で2500mmから、最大で4750mmまで展開するとしている。

 また、ホイールベースに応じて定格容量41kWhのバッテリを1個~最大3個まで搭載可能なモジュール方式を採用。1個搭載車両は約80km、2個搭載車両は約140km、3個搭載車両は約200kmと航続距離の延長を実現。現行モデルと同様に普通充電と急速充電が可能なほか、災害時に車載バッテリから専用機器を介して住宅などへの外部給電を行なうV2X機能も新たに搭載される。加えて、動力取り出し装置「ePTO(Electric Power TakeOff)」も装備し、ダンプ、リアクレーン、ごみ収集車、冷蔵車、脱着車といった架装にも対応する。

 そのほかにも、回生ブレーキを4段階レベルでコントロールできるようして、電費やドライバビリティを大きく向上させつつ、冬場でも走行時のエネルギー消費を節約できる「ヒーターカットスイッチ」や、普通充電時にバッテリを出発時刻に合わせてタイマーで予熱できる「バッテリプレコンディショニング」機能を設定。さらに、シートやステアリングなどの必要な箇所のみを温める「省エネ暖房」機能も追加するなど、EVトラック特有の機能を充実させた。

内外装のデザインを刷新

 次世代のEVトラックにふさわしい印象的な外装デザインを採用。FUSOブランドを象徴するブラックベルトに、EVトラックのキーカラーであるオレンジとブルーを組み合わせ、先進的な表情に仕上げている。LEDヘッドライトやデイタイムランニングライトも装備したほか、最新型のLEDリアコンビネーションランプも搭載し、安全走行を向上させた。

LEDヘッドライトとデイタイムランニングライトを装備
最新型のLEDリアコンビネーションランプを採用

 内装デザインも快適な運転のためにアップグレードを実施。高さを抑え、広々とした空間を提供する新形状のダッシュボード、上下寸法を広げることでより多くのユーザーに対応させた乗降グリップ、随所にキーカラーのオレンジとブルーを配したほか、ステアリングスイッチと連動した10インチのフル液晶メーターを新たに搭載。FUSO小型トラックで採用したドアノブにあるロック・アンロックスイッチを押すだけでドアの施錠・解錠が出来る「FUSOイージーアクセスキー」も採用し、利便性を向上させている。

使い勝手を向上させたインテリア

先進安全装置も大幅に拡充

 次世代モデルでは、FUSOの小型トラックでは初となる、被害軽減ブレーキ機能を有する巻き込み防止機能「アクティブサイドガード・アシスト1.0」を新規搭載し、運転時の死角になりやすい車両の左側を監視して、左折巻き込み事故のリスクを低減し、衝突時の被害を軽減。

車両の左側を監視して、左折巻き込み事故のリスクを低減させる

 また、衝突被害軽減ブレーキをさらにアップグレードさせた「アクティブ・ブレーキ・アシスト5(ABA5)」を全モデルに新規搭載。車両前方の空間把握と歩行者への検知精度を向上。さらに、運転注意力の低下を白線認識カメラや各種センサー、顔認識カメラを通じて認識するドライバー注意監視システム「アクティブ・アテンション・アシスト」も新たに採用し、運転注意力の低下をブザーやフル液晶メーターへの表示で警告を行なう機能を搭載した。

ドライバー注意監視システム「アクティブ・アテンション・アシスト」も新たに搭載

 そのほかにも、自動でハイビームまたはロービームを切り替える「インテリジェント・ヘッドライト・コントロール」や、カメラが認識した前方の交通標識をフル液晶メーターに表示する交通標識認識機能「トラフィック・サイン・レコグニション」、坂道などで安定した制動力を保持する「電動パーキングブレーキ」や、バックカメラで後退時の事故のリスクを軽減する「バックアイカメラシステム」も新たに装備し、安全サポートを強化している。

コネクティビティ技術の進歩やEVトラック導入もサポート

 MFTBCのテレマティクス機能「トラックコネクト」では、現行モデルに備わるダッシュボードに残走行距離を表示させる機能「eRange」に加えて、新品と比べて残っているバッテリの容量をトラックコネクト上に表示させる機能や、最も電力料金が安い時間帯にタイマーをセットして充電ができる「充電管理システム」機能などEVトラック特有の新たな機能を追加。

 また、車両の開発だけでなく、EVトラックを導入するうえで必要不可欠な周辺要素をMFTBCの知見と経験でサポートし、ユーザーのeモビリティへの変革を支援する包括的なソリューションプログラム「FUSO eモビリティソリューションズ」も用意している。

eCanterの次世代モデル