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メルセデス・ベンツ、新型バッテリEV「EQS」「EQE」発表会 12月に世界初のEQ専売拠点を横浜にオープン

2022年9月29日 開催

新型「EQS」(右)および「EQE」(左)の発売会を開催

 メルセデス・ベンツ日本は9月29日、バッテリEV(電気自動車)を展開するメルセデス EQシリーズから、初のラグジュアリーEVとなる「EQS」、ミドルサイズセダン「EQE」の発表会を東京の六本木ヒルズで開催した。

 価格はEQE 350+が1248万円、AMG EQE 53 4MATIC+が1922万円。EQS 450+が1578万円、AMG EQS 53 4MATIC+が2372万円。EQS 450+の納車は開始されたが、その他のモデルは準備が整い次第となる。

AMG EQS 53 4MATIC+
AMG EQE 53 4MATIC+

 会場では自ら新型「EQS」のステアリングを握り登場したメルセデス・ベンツ日本代表取締役社長兼CEOの上野金太郎氏が、「変化を通じて未来を作る、アイデアが生まれる都市」という六本木ヒルズのコンセプトに触れながら、「自分たちもこの100年に1度といわれる変革の時代に、これからの新しい自動車の在り方を提案したい」と、六本木ヒルズを発表会場に選んだ理由を紹介しつつあいさつ。

自らEQSのステアリングを握り、壇上に降り立つ上野代表

 続けて上野氏は「電気自動車の、最高峰を革新する」というのが、世界で初めて自動車を製造したメルセデス・ベンツの使命であると考えていると前置きし、都市型EV「EQA」、多様なライフスタイルにフィットするEV「EQB」、オールマイティなEV「EQC」、そして今回発表する「EQS」「EQE」を加えることで、国内最多となる5種類のEVが揃ったと説明。

 また、この5車種のEVはすべてメルセデスの基本価値である「快適性」と「安全性」を持ち、そのうえに「高い静粛性」と「利便性」を兼ね備えるが、ここで発表する「EQS」はさらにブランド初となるラグジュアリーなEVであること、EQEは初めてのミドルサイズEVセダンであると紹介した。

メルセデス・ベンツ日本株式会社 代表取締役社長兼CEO 上野金太郎氏

 さらに「EQSとEQEともに優れた快適性と利便性を兼ね備えたEV専用プラットフォームを採用していることに加え、大容量のリチウムイオンバッテリ、高効率な電気モーターを搭載し、日本で販売されているEVでは最長となる1充電航続走行距離700kmを実現。同様にEQEも1充電航続走行距離624kmを確保。どちらもともに軽快なドライビングフィールを併せ持ち、ビジネスでもプライベートでも楽しめるクルマに仕上がっている」と上野氏は2台のポイントを解説した。

メルセデス・ベンツ日本株式会社 営業企画部 部長 上野麻海氏

 続いて営業企画部の上野部長は、新型「EQS」「EQE」について

・メルセデス・ベンツのラグジュアリーと快適性の理想を実現した新世代のEV
・EV専用プラットフォームを採用
・EVのパッケージングを生かしたエクステリア、インテリアデザイン

と、大きく3つの特徴を紹介。

EQSデザインスケッチ

 エクステリアデザインは、メルセデス・ベンツのデザイン思考「Sensual Purity(官能的純粋)」を踏襲しつつ、機能性からデザインを形作るという基本的な考え方によって、内燃機関モデルとは異なるEVモデルとしての機能を表現したデザインになっているという。

 具体的には、フロントにエンジンとトランスミッションを縦置きに搭載する必要がないことから、充分な衝突安全性を確保しつつフロント部分を短くすることで、車室を前に出した「キャブフォワードデザイン」を採用。従来の内燃機関モデルに採用していた「キャブバックデザイン」と異なり、新しさを感じさせる大きな要素になっていると説明した。

特徴的なショートオーバーハングのEQS

 続いて航続距離に影響を及ぼす空力性能についても上野氏は言及。スポーティで低く構えたフロントセクションと、ひと張りの弓のようななだらかに湾曲した「ワン・ボウ」のラインによって4ドアクーペのようなデザインを形成。また、空力性能の高いドアミラーや格納式のシームレスドアハンドル、ダウンフォースを発生するリアスポイラーを採用していると紹介。さらに、フロントフェイスのブラックパネル(グリル)、目を引くデザインでありながら空力性能も考慮したホイール、流線型のAピラー、フェンダーまでつながるボンネットなどにより、EQSは量産車最高値となるCd値(空気抵抗値)0.20を記録。上野氏は「これも長い航続走行距離に貢献している要素の1つです」と解説。

EQSのCd値は現状の量産車では最高値となる0.20を記録

 一方EQEは、よりセダンらしいトランクを備えたプロポーションを形成。ホイールベースはEQSより90mm短いことから、アジリティが高く、ドライバーズカーとしても優秀で、細部のデザインはEQSを踏襲しつつ、EQEはリアに左右をつなぐLEDライトバンドを採用。リアコンビネーションLEDランプの内部は、電球のフィラメントに発想を得たという曲線的な螺旋構造を採用し、立体的に見せる工夫が施されている。

螺旋構造のリアコンビネーションLEDランプを紹介する上野氏

 インテリアはEQS・EQEともに、デジタル要素をふんだんに取り入れ、MBUX(Mercedes Benz User Experience)ハイパースクリーンは、12.3インチのコクピットディスプレイ、17.7インチの有機ELメディアディスプレイ、12.3インチの助手席用ディスプレイの3つを1枚のガラスで覆うワイドスクリーンで構成。また、スクリーンはタッチした際に物理的振動を発生することで触れた動作を分かりやすくするフィードバック機能を備えているという。なお、MBUXハイパースクリーンは、「ハイ、メルセデス。充電施設を探して」など、会話形式の音声認識にも対応している。

MBUX(Mercedes Benz User Experience)ハイパースクリーンを搭載

 さらに、運転席にはドライバーの視線を把握するカメラを搭載していて、特定のコンテンツに限りドライバーが助手席側のディスプレイに視線を送っても、減光して見えないようにする安全機能も搭載する。助手席側のディスプレイはBluetooth搭載機器を接続可能なうえ、スマホとテザリングすれば動画配信コンテンツを視聴することも可能となり、ドライバーとは別のエンターテイメントを楽しむことができる。

12.3インチの助手席専用ディスプレイを搭載

 EV専用プラットフォームは、縦置きトランスミッションがないことから、従来のようなセンタートンネルがなく、そのおかげでMBUXハイパースクリーンは、ダッシュボードから浮いているような構造で設置。視覚的にも新しいデザインに仕上げられている。

 また、強力なろ過能力を持つHEPA(高性能粒子状部室除去)フィルターを全車に搭載。車内に取り込まれる外気を浄化させるのはもちろん、二酸化硫黄や窒素酸化物、臭気についても活性炭コーティングと室内エアフィルターで低減させるという。

HEPAフィルターのイメージ

 バッテリは車体中央下部に敷き詰められ、EQSで107.8kWh、EQEで90.6kWhの大容量新型リチウムイオンバッテリを採用。新型バッテリでは、「ニッケル」「マンガン」「コバルト」の使用比率を8:1:1とし、レアメタルであるコバルトの使用量を10%以下に低減したことで、サスティナビリティへの配慮と高効率なバッテリ性能を両立している。

バッテリは車体中央下部に敷き詰められている

 加えて、10年間、25万kmというバッテリの長期メーカー保証について上野氏は「これはバッテリの耐久性への自信の現われです」と信頼度の高さを強調。EQS 450+はリアに電動パワートレーンを搭載し、最高出力333PSを発生。充電1回における航続可能距離は、日本で販売されているEVでは最長となる700kmをマーク。EQE 350+もリアに電動パワートレーンを採用して最高出力292PSを発生、充電1回における航続可能距離は624kmと、どちらのモデルも長い航続距離を実現したことで、「もう航続距離が短いといった理由でEV購入をためらう理由は不要です」と、上野氏は航続距離の長さをアピールした。

バッテリとパワートレーンのスペック
AMGモデルもEQシリーズに初登場

 充電に関しては、ほぼすべてのメルセデス・ベンツ正規販売店に急速充電器を設置してあり、立ち寄れば充電が可能。また、AMGブランドからもEVモデルの「EQシリーズ」初となる「AMG EQS 53 4MATIC+」「AMG EQE 53 4MATIC+」をリリース。前後に電動パワートレーンを搭載した4輪駆動モデルとなり、レーススタートモードを使用すれば内燃機関を搭載するスポーツカーと同等の性能を発揮するという。

 さらに、バッテリを蓄電池として利用して、家庭などに電気を供給するV2H、外出先で電力を供給できるV2Lも日本仕様のみ特別に標準装備とし、「家庭の太陽光発電システムで発電した電気の貯蔵装置となるほか、停電した場合には予備電源として利用でき、普段は自動車、停電時は蓄電池として使用できる安心感がプラスされる」と上野氏は紹介。

 イベント会場では実際にEQSからリビングの照明や扇風機、加湿器などに電気を供給するデモンストレーションを実施。上野氏自らチャデモプラグをEQSに挿し込み、手軽にV2Hができる様子を強調した。

V2H、V2Lにも対応可能
蓄電池として利用できる電力量
V2H実践の様子
リビングへの電気供給に成功

 そのほかにも、静粛性の高さ、Sクラスと同等の「インテリジェンスドライブ」「メモリーパーキングアシスト」など最新の安全運転支援システム、先進的なテレマティクスサービスも搭載していることを紹介するとともに、上野氏は「メルセデス・ベンツが長年培ってきたラグジュアリーと快適性を両立させたEQSとEQEで、EVならではの新しい価値観と最高の満足を感じてほしい」と締めくくった。

メルセデス史上初となるEV専売拠点を12月にオープン

 会場では再び上野社長が登壇し、新型リチウムイオンバッテリのレアメタル使用量を減らしているほかにも、EQSは省資源化された186点の部品(82.4kg相当)を使用し、部品軽量化、化石由来の原材料削減、再生可能な部品増加、CO2排出削減など、サステナブルな商品であることを強調。また、EQSはメイン工場であるドイツ工場の敷地内に新しく作った「ファクトリー56」で生産していると紹介。このファクトリー56では、高性能ワイヤレス通信、5G通信を使ったペーパーレス化。屋上には最大5000kWピーク出力のソーラーパネルを設置して自家発電するなど、生産工程においてもカーボンニュートラルを目指していると解説した。

サステナブルな活動を紹介する上野社長

 また、12月初旬にメルセデス・ベンツとしては世界初となるEV専売拠点「メルセデスEQ横浜」を横浜市内にオープンさせると発表。展示車、試乗車、専門スタッフを揃え、EVライフを徹底的にサポートするべく準備を整えているとした。

メルセデスEQ横浜、完成イメージ

 また、発表会場には今回発表した「EQS」「EQE」だけでなく、「AMG」「マイバッハ」、さらにEVシリーズの「EQ」と、メルセデス・ベンツ日本が販売するすべてのブランドが集結。10月2日まで展示イベント「メルセデス・ベンツ ブランド エキシビション」を行なっていて、すべての実車をまとめて見られる貴重な機会なので、足を運んでみてはいかがだろうか。また、10月8日~10日の期間は大阪でも「メルセデス・ベンツ ブランド エキシビション」を実施するという。

発表会場となった六本木ヒルズアリーナでは10月2日まで展示が行なわれている

メルセデス ミーでも「EQS」と「EQE」を展示スタート

 メルセデス・ベンツ日本は、メルセデス ミーにて光と音の空間でEQSとEQEを体験できる特別展示を実施しているほか、メルセデス ミー 東京およびメルセデス ミー 大阪では試乗も受け付けている。

・開催期間:2022年9月29日~10月23日
・会場:メルセデス ミー 東京、メルセデス ミー 大阪、メルセデス ミー@品川プリンスホテル
・入場:無料

「EQS」と「EQE」の展示スケジュール