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アルファタウリ、週末開催のF1日本GPに向けた意気込みをガスリー&角田両選手が語る

2022年10月5日 開催

F1チーム Scuderia AlphaTauriのピエール・ガスリー選手(左)と角田裕毅選手(右)がメディアセッションに臨み、さまざまな質問に答えた

 スクーデリア・アルファタウリは、10月7日~9日に鈴鹿サーキットで開催される「2022 FIA F1 世界選手権シリーズ Honda 日本グランプリレース」に参戦するピエール・ガスリー、角田裕毅の両選手が週末のレースに向けた意気込みなどを語るメディアセッションを開催した。

 当日は多忙を極める両選手が取材対応できる時間が限られることから、事前に取材参加者から受け付けた質問を司会者が読み上げ、両選手が回答するスタイルで進められた。

事前に受け付けた質問に両選手が回答するスタイルでメディアセッションが進められた

「鈴鹿ではトップ5に入る成績で悪夢をよい記憶に変えたい」とガスリー選手

鈴鹿サーキットで初めてファンに囲まれたときの経験について語るガスリー選手

 手始めに、直前に迫ったF1日本グランプリに向けて楽しみにしていることや意気込みなどについて聞かれたガスリー選手は「鈴鹿で走るのはもう3年ぶりになるでしょうか。私は2017年のスーパーフォーミュラに参戦していたので、日本でレースをすることをとても楽しみにしていて、鈴鹿も非常に好きなサーキットの1つになっています。また、日本の文化、お互いをリスペクトしているところ、日本のファンの皆さんが温かく歓迎してくれるところなど、自分の中でとても感慨深い部分になっています。さらにホンダのドライバーとしては、ホームサーキットである鈴鹿で結果を出したい、よい結果を出して皆さんの応援に応えたいと思っています」と、日本についての感想も口にした。

 同じ質問について角田選手は「僕としては、F1ドライバーとして戦うことはもちろん夢だったですが、日本人として、日本人のファンの皆さんの歓声を受けて走ることは、いち日本人としてものすごい夢でした。3年か4年前には1人の観客として2コーナーで観戦していた自分が、まさかこんなにも早くF1で走れるとは思ってもみなかったので本当に楽しみです。2021年はコロナ禍で(日本グランプリの開催が)キャンセルになってしまい、僕としては本当に残念で落ち込みましたし、皆さんもストレスになっていたかと思います。そんなストレスを発散して結果につなげられればと思っています。自分で得意としている鈴鹿サーキットですし、アグレッシブな走りを皆さんにお届けできればと思いますので、ぜひ応援をよろしくお願いいたします」と答え、F1ドライバーとして初めて走る鈴鹿サーキットでもアグレッシブに走ると宣言。

 鈴鹿サーキットに対する印象などについて、ガスリー選手は「鈴鹿サーキットはチャレンジングでテクニカルなコースで、とくに第1セクターのように、Gが掛かりつつ高速で走り抜けるといったエキサイティングなサーキットはほかにないと思います。これまで鈴鹿では特筆するような結果は出せていないのですが、一番の思い出としては、スーパーフォーミュラのテストで初めて日本で走ったとき、フランスから来たばかりの自分はこれから勉強するだけだと思ってテスト走行していたのに、1日の走行が終わってガレージを出ると200人ぐらいのファンが集まっていて、当時はまだ20歳だったのでそんな風にファンに囲まれるのは初めての経験でした。自分がもっと若いころの、そんなものをどこで手に入れてきたのか不思議に思うような写真を手に、みんなが待っていてくれたことが心に残る思い出になっています」。

「よくない思い出としては、その2017年のシーズン終盤に、チャンピオンシップのリーダーを0.5ポイント差で追っている状態で鈴鹿入りしたのですが、結果的にレースは台風でキャンセルになってしまい、最終戦でチャンピオンを狙える位置にいながら夢が絶たれてしまったことから、今でも悪夢として見るほどの経験になりました。そのときは非常に残念な思いを抱えて東京に帰ることになりましたが、今週末はそんな過去の嫌な思いが払拭できるよう、トップ5に入る成績を残してよい記憶に変えていきたいと思っています」と回答。過去の嫌な思い出を今回のレースで払拭したいとの気持ちを明かした。

「ブレーキングを攻めた走りで相手を抜き去るのが気持ちいい」と語る角田選手

 また、角田選手は「鈴鹿はすごく思い出深い場所ですね。まず、世界で一番走ったコースだと思います。鈴鹿サーキットレーシングスクールにいた2016年に、何千周、何万周と走りました。コースのキャラクターだったり、1コーナーの特性だったり、どこにバンプがあって挙動が乱れやすいといった詳しい情報を持っているので、これがいいアドバンテージになるんじゃないかと思います。ただ、僕が最後に走ったのは2018年で、F4マシンだったのですが、F1マシンとは45秒もラップタイムが違うんですね。F1だと(1周)1分28秒とか27秒あたりなんですが、F4で僕は2分8秒から7秒だったので、かなり世界が違うんじゃないかとワクワクしています。イギリスにあるレッドブルのシミュレーターではすでに走っているのですが、そこでもまるで早送りをしているような、2倍速とか3倍速ぐらいの感じで、速度感覚が全然違っていて、また新たな鈴鹿を見ることができるなと思っています」。

「ベストレースとしてはF4で最後に走った2018年が鈴鹿で最後のレースになっているのですが、そのF4で優勝できたときですかね。予選ではコースレコードを残せて、決勝ではスタートが少しよくなくて2位の人に抜かれてしまったのですが、最後は抜き返して、その抜き返した30秒ぐらいあとに大きなクラッシュが1コーナーで起きて、セーフティカーが入って追い抜き禁止の状態でそのままゴールになりました。ほんの30秒前までは2位で、もしそのまま2位で鈴鹿を旅立ってヨーロッパでレースをすることになっていたら後味のわるいレースになっていたのかもしれません。それが最後に勝てて、僕としては間違いなくベストレース、ベストの勝利だったかと思います」と、F4時代のエピソードを交えて回答した。

 鈴鹿サーキットでオーバーテイクできるポイントについて、ガスリー選手はまず「ラップリーダーで走り続けてオーバーテイクしないで済む展開にしたい」とジョークを飛ばしたあと、「もしリーダーでなければ、最終シケインから立ち上がって1コーナーに向けたところがオーバーテイクポイントになるかなと思います」と説明。

 角田選手も「(オーバーテイクポイントは)僕が1位を走っていると思うんで、ピエール(ガスリー選手)は知っておいた方がいいかなと思います」とジョークのバトンを受け継ぎつつ、「やっぱり1コーナーまでの区間が一番抜きやすいポイントではあると思います。ただ、最終コーナーに抜ける前のシケインで抜くのがドライバーとして僕が好きなオーバーテイクポイントになっています。僕としてはブレーキングを得意としているので、ブレーキングを攻めた走りで相手を抜き去るのが気持ちいいですね」と答え、自身のこだわりについても語った。

回答の合間に両選手が喉を潤すのは、もちろんレッドブル
ガスリー選手は「レッドブル・シュガーフリー」、角田選手は「レッドブル・エナジードリンク」を飲んでいた

「とくに一発の速さという部分で凄く成長できている」と角田選手

フォトセッションに向けた舞台転換の合間にマイクオフで会話する両選手。どんな話をしていたのだろうか

 レースウィークでの日本滞在中にすでに体験したこと、楽しみたいことなどについての質問に、ガスリー選手は「先週末にシンガポールグランプリが終わって日本に移動してくるという大変なスケジュールだったので、自由になる時間はあまり取れませんでしたが、ユウキ(角田選手)と一緒にカラオケに行きましたね。これを凄く楽しみにしていて、今週はこれから何が起きてもあれほどよい思い出になることはないかなと言えるぐらい、楽しい夜を過ごしました」。

「ただ、シンガポールはナイトレースでヨーロッパの時間に準じたセッティングでしたが、日本に来て時差などの影響が大きく出ていて、なかなか眠れなくなっています。それでも日本グランプリはホンダのドライバーである私にとって大事なレースだと思っています。本音では新宿や渋谷でショッピングもしてみたいですが、そうした時間は作れないので、シーズンが終わってから行なわれる『ホンダレーシングサンクスデー』のときに時間が取れたら、日本での自由な時間を楽しみたいと思います」と、角田選手との交流についても口にした。

角田裕毅選手

 母国への帰国となった角田選手は、「行きたかったところとしては『東京は新宿だけじゃないぞ』ということで、例えばショッピングなら表参道だったり、最近流行っている場所だったりにガスリー選手を連れて行きたかったですが、シンガポールからの移動で時間がなかったですね。ただ、食べたかったものとしては、僕が一番好きな食べ物はもつ鍋で、帰国してすぐの夜にもつ鍋を食べたので満足しています。正直、日本に戻ってくる前に『食べたいものの優先リスト』を作っていて、このリストに沿って食事をしていて、鈴鹿では松阪牛が有名なので、松阪牛の焼き肉を食べられたらと思っています」と語り、食事に対するこだわりを垣間見せた。

 また、角田選手は2023年シーズンもアルファタウリからのF1参戦が決定しており、これについて角田選手は「来季もスクーデリア・アルファタウリでF1を走ることになって、まずはホッとしてます。考えることが1つ減ってドライビングにより集中できますし、結果を追求していけると思います。まずは育ててくれた本田技研工業株式会社、そしてレッドブル、オーストリアにある本社、開発部隊に大きく感謝しています。来年も走れるということで、まずは落ち着いて残り5レースを終えたいと思います」。

「というのも、今は自分が成長過程にあると実感していて、とくに一発の速さという部分で凄く成長できていると思いますし、自分の中で課題ははっきりしていて、今の自分の状態にはある程度満足しています。もちろん今のままでずっと満足ということではなく、ガスリー選手からできる限り多くのことを学んで成長につなげ、来年は各レースで本領発揮して結果を求めて次に続けていけるような走りができたらと思っています」と、来シーズン以降に向けた意気込みを述べた。

ピエール・ガスリー選手

 ガスリー選手は最後にファンに向けたコメントを求められ、「日本のファンの皆さんには、本当に心から応援してもらっていることに感謝したいです。私のファンの多くが日本のファンだと思っています。海外のレースにまで私のことを追いかけて見に来てくれたり、そんな皆さんに支えられていると感じます。ファンの皆さんの多くが鈴鹿にも見に来てくれると思っていますので、エキサイティングなレースパフォーマンスを見せて、レースが終わったらお祝いできるような形にしたいと思います。この何年かファンの皆さんと会うことができなかったことを私も非常に残念に感じていたので、それをなんとか取り返したいと考えています」と語り、久しぶりに日本のファンの前で戦うレースでの活躍を誓った。