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ホンダ、2022年のF1活動はレッドブル&アルファタウリのテクニカルパートナーに ホンダロゴも見ることが可能に

2021年10月7日 発表

2022年のモータースポーツ活動について発表する本田技研工業株式会社 執行職 ブランド・コミュニケーション本部長 渡辺康治氏

 本田技研工業は10月7日、2022年以降のモータースポーツ領域を中心としたRed Bull Groupとの協力について発表。ホンダは2021年シーズンをもってF1のパワーユニット供給から撤退するが、Red Bull Groupへパワーユニットに関する知的財産権の使用許諾を行なうことや、Red Bull Powertrains(レッドブル・パワートレインズ)へのパワーユニット組立支援など、多くの形でF1にかかわっていくことが明らかにされた。

 同日オンライン記者会見を行ない、本田技研工業 執行職 ブランド・コミュニケーション本部長 渡辺康治氏、同 モータースポーツ部 部長 長井昌也氏の2名が参加し、各記者の質問にていねいに答えた。

本田技研工業株式会社 モータースポーツ部 部長 長井昌也氏

 記者会見ではRed Bull Groupとの主な合意事項を発表。

・パワーユニットに関する知的財産権の使用許諾
・ホンダによるRed Bull Powertrains(レッドブル・パワートレインズ)への2022年シーズンにおけるPUの組立支援や、サーキットおよび日本におけるレース運営サポートの実施
・現在、ホンダの英国におけるF1参戦活動の拠点であるHonda Racing Development UK(ホンダ・レーシング・ディベロップメント・ユーケー)従業員の、レッドブル・パワートレインズへの転籍

 これらの合意事項に加え、ホンダの展開する育成プログラム「Honda フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト(HFDP)」とレッドブル・グループが主催するプログラム「Red Bull Junior Team(レッドブル・ジュニアチーム)」の連携で角田裕毅選手に続くF1をはじめとした世界のトップカテゴリーで活躍する日本人の若手ドライバーを共同で育成することも発表された。

 組織についても、現在ホンダの二輪レース活動を運営しているホンダ・レーシング(以下、HRC)に四輪レース活動機能を追加し、HRCがホンダのほとんどのレース活動を行なっていくことになるなど、大きな組織改革が行なわれる。

トルコGPではスペシャルカラーリングで走行する
パワーユニットの合意内容
モータースポーツ体制の強化

2022年も「HONDA」ロゴがなんらかの形で入るレッドブル&アルファタウリF1

 会見において渡辺康治本部長は、上記の数々の合意事項を発表。2022年はレッドブルのテクニカルパートナーとしてホンダがF1にかかわっていくことになるとの説明がされた。レッドブルと話をしているなかで、やはり現代のF1パワーユニットの組み立てが非常に難しいため、ホンダのほうでサポートを行なっていく。

 ホンダ・レーシング・ディベロップメント・ユーケーのレッドブル・パワートレインズへの転籍は、まったく異なる会社への移籍となることから、出向という扱いではなく、一旦会社を辞めてからの入社になる。「多くのスタッフが移籍すると聞いている」(渡辺本部長)とのことだ。

 また、現在レッドブル・ホンダF1のマシンには、ホンダのハイブリッドパワーユニット搭載を示す「Honda e:TECHNOLOGY」というロゴが、そしてリアウィングには「HONDA」というロゴが入っている。2022年もテクニカルパートナーとなることから、何らかのロゴが入るのか渡辺本部長に質問してみたところ、「何らかの形でわれわれの名前が入ることになるのだと思いますが、あくまでテクニカルパートナーという位置づけでのことになります」とのこと。「HONDA」という文字はレッドブルの車体のどこかに見ることができることになる。

 ただ、パワーユニットの名前に「HONDA」が入ることはないという。パワーユニットはレッドブル・パワートレインズが供給していくことになる。

 組織については、2輪レース部門と4輪レー部門をHRCに統合。2輪レース部門は埼玉県朝霞市に、F1の4輪レース部門は栃木県さくら市にあるが、現在の場所はそのままに組織を統合していく。それぞれレースの特性が異なることから、HRCの社長が両部門を統括していくことになる。

 HRCがレース部門を統合することになることから、HRCのブランド化への質問もなされた。たとえば、メルセデスはAMGという形で、BMWはMという形で、さらに近年はトヨタはGRという形でレースの先進性を量販車へ持ち込んでいる。これについて渡辺本部長は、そのようなことは現在考えていないとした。

 ドライバー育成については、レッドブルと連携することが明確化されたことで、ホンダの育成プログラムにおいては世界への道がはっきり示されたことになる。逆に、ヨーロッパの若手ドライバーが日本のレースに参戦する機会が増える可能性もあり、モータースポーツの活性化につながる発表となっている。

ドライバー育成については、レッドブルと提携することで世界への道筋がハッキリ見えるようになった。角田選手に続く世界的ドライバーの登場に期待したい

 そのほか、電動フォーミュラレースであるフォーミュラE参戦の可能性についても質問が出たが、渡辺本部長は参戦可能性について明確に否定。2022年はF1ではレッドブルF1をテクニカル面でサポート、レース活動についてHRCへ集約という大きな方針が発表された。