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ロールス・ロイス、ブランド初のバッテリEV新型「スペクター」公開 2023年第4四半期から納車
2022年10月19日 18:06
- 2022年10月18日(現地時間) 発表
ロールス・ロイスは10月18日(現地時間)、同ブランド初のバッテリEV(電気自動車)となるウルトラ・ラグジュアリー・スーパークーペの新型「スペクター(Spectre)」を初公開した。最初の納車は2023年第4四半期の予定。
最終的な出力、加速性能、航続距離の数値については、現在も調整中で暫定データでは、航続距離はWLTP準拠値で320マイル(約520km)、430kWのパワートレーンが発生するトルクは900Nmを想定。0-100km/h加速は4.5秒を達成する見込みという。
スペクターを手掛けたデザイナーは、オートクチュール、モダニズム彫刻、船舶デザイン、テーラリング、現代アートなど、自動車以外の世界からインスピレーションを得て、モダンなヨットのラインの明瞭さと正確さ、反射のインテリジェントな使い方、シルエットに情感を与えるテーパーの付け方といった要素に着目。
フロントは、磨き上げられたステンレス製グリルが周囲の光を反射してスペクターの存在感を高めるとともに、スプリットヘッドライトはパンテオングリルと滑らかにつながり、フロントまわりの空気を導くように設計され、830時間におよぶモデリングと風洞実験によりCd(空気抵抗)値0.25と、ロールス・ロイス史上もっとも高い空力性能値をマークしたという。
シャープなデイライトランニングライトは、2mの圧倒的な車幅を強調しつつ、下部にあるランプクラスターはジュエリーボックス風のダーククロムのヘッドライトハウジングが隠されていて、夜間は22個のLEDで前方を照らし、存在感を主張するという。
サイドシルエットは、フロントからのシャープで垂直なノーズラインがリアまで続き、「ワフト・ライン(ふわりと浮かぶライン)」と呼ばれるボディ下側のラインはヨットのデザインから着想を受けたものという。この「ワフト・ライン」は「マジック・カーペット・ライド」を視覚的に表現したもので、加速するパワーボートの船首が緩やかに持ち上がる様子をイメージしたという。
ルーフラインの後端にはAピラーからラゲッジルームまで続く、ロールス・ロイス史上最大となる1枚のボディパネルにテールランプが組み込まれ、縦長の宝石のようなテールランプは、どのボディカラーにも合うクリアとなっている。このテールランプの緻密さとコンパクトさが、筋肉質なショルダー部と上から見ると徐々に絞り込まれた特徴的なテール部で構成されるリアボディを引き締めているという。
インテリアは夜空の永遠の神秘からインスピレーションを得たという、これまでで最も技術的に進んだ内装で、天井に星が流れるように光るシューティング・スター・ヘッドライナーを搭載するほか、初めて4796個の淡く光る「星」を組み込んだ「スターライト・ドア」を設定。また、助手席前のダッシュボードにも5500個以上の星の集まりに囲まれたスペクターの銘板が組み込まれているイルミネーテッド・フェイシアを採用している。
ボディについては、ロールス・ロイスのエンジニアが、「アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー」を当初から完全電動モデルの要件に適合させていたことで、柔軟性の高いオールアルミニウム製スペースフレーム・アーキテクチャーを完成。アルミニウム押出材セクションと、バッテリの車両構造への一体化により、既存モデルより30%の高剛性を達成したという。
また、このアーキテクチャの柔軟性により、フロアをシル構造の上や下ではなく、その中間に配置することができ、バッテリとフロアの間に配線や空調配管のためのチャンネルを設け、その下にバッテリを搭載することで、滑らかなアンダーフロア形状を実現。これにより低い着座位置と包み込むようなキャビンを両立するだけでなく、約700kgのバッテリに遮音材という二次的な機能を付与できたとしている。
プラナー・サスペンション・システムも最新のソフトウェア/ハードウェア開発によって進化していて、コーナーが近づいていることを検知すると自動的にダンパーを硬くしつつ、四輪操舵システムがスムーズな進入と脱出をサポートしてくれるほか、コーナリング中もセンサーによる監視を行なっていて、常に安定した走りを維持できるように、ステアリング、ブレーキ、パワー、サスペンションの各パラメーターを自動で調整してくれるという。また、ドライバーのインプットや路面状況に応じて正確に反応し、ロールス・ロイスの特徴である「マジック・カーペット・ライド」を実現した。