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豊田章男社長、WEC最終戦バーレーン8時間およびWRC最終戦ラリージャパン、勝田範彦選手に対するコメント発表

WRCラリージャパンの最終ステージで勝田選手の走りを見つめるトヨタ自動車株式会社 代表取締役社長 豊田章男社長

 11月13日、トヨタ自動車 代表取締役社長でありTOYOTA GAZOO Racing チームオーナーでもある豊田章男氏は、WEC第6戦バーレーン8時間ならびにWRC第13戦ラリー・ジャパンに対するコメントを発表した。

 TOYOTA GAZOO Racingは、11月13日~14日の週末にかけてWEC(世界耐久選手権)最終戦バーレーン8時間とWRC(世界ラリー選手権)最終戦ラリージャパンに参戦。WECのバーレーン8時間では、8号車 TOYOTA GR010 HYBRID(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮)が2位に、7号車 TOYOTA GR010 HYBRID(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス)が優勝し、8号車チームはWECドライバー世界チャンピオンを、TOYOTA GAZOO Racing WECチームはWECマニュファクチャラー世界チャンピオンを獲得した。

 一方、愛知県・岐阜県を舞台に12年ぶりに開催されたWRCラリージャパンでは、日本人ドライバー勝田貴元選手が3位を獲得。地元開催のラリーで表彰台を獲得するなど大きな話題となっている。

豊田章男 TOYOTA GAZOO Racing チームオーナー コメント

TOYOTA GAZOO Racingの2つの世界戦が終わった週末、そしてラリージャパンが“ようやく”開催できた週末。皆さまにお伝えしたいことが山ほどあります。まずは、世界戦で合計5つのタイトルを獲得することができました。最高のシーズンです。応援してくださったファンの皆さま、支えていただいたパートナーの皆さま、本当にありがとうございました!

WECでは最終戦バーレーンで、7号車が優勝し、8号車は2位。ワンツーフィニッシュで8号車がドライバーズタイトルを決めてくれました。マニュファクチャラータイトルも獲得です。セブ、ブレンドン、平川、8号車のクルーのみんな、チャンピオンおめでとう!ありがとう!可夢偉、マイク、ホセ、7号車のクルーのみんな、最終戦勝利おめでとう! 7号車のみんなにとっては苦しいシーズンだったと思っています。しかし、7号車は、どのレースも速かった。ライバルが増えてくる来シーズン、7号車の速さにドライバー達が強さを加えてくれる1年になるのでは?と勝手に思っています。

可夢偉とは、チーム代表とチームオーナーという立場でのコミュニケーションを続けた1年でした。いつもレース前後にチームの様子や私への感謝を伝えてくれました。ドライバーとして悔しい想いを持ちながら、代表としての想いを伝えてくれるメッセージを見るたびに、可夢偉に大変な役割をお願いしていたことを実感していました。そんな難しい想いをしながらも、代表としてチームをまとめ、ドライバーとしても活躍、さらにはモータースポーツの未来のために力を貸してくれた可夢偉に心から感謝しています。シーズン最後の表彰台で真ん中に立っていたのはメカニックでしたね。満面の笑みでトロフィーを掲げる彼の顔を見て、可夢偉がつくってくれているチームの温かさが伝わってきました。可夢偉、本当にありがとう。

みんな強かったよ!おめでとう!

日本では、12年ぶりのラリージャパンが開催されました。日本でのWRCにトヨタは今回が初参戦です。母国の道でラリーが行われ、地元のドライバーが走り、それを間近で応援できる…、いちファンの目線かもしれませんが、憧れていた“この体験”が現実のものとなり、心から感動しています。これが叶ったのも、ラリーという文化を絶やさずにいてくれた三菱、SUBARU、スズキの皆さまのおかげです。ありがとうございました。

「道がくねくねでトリッキー、落ち葉がスリッピー」「トンネルを走っていると視界が全然なくなる」ドライバーたちも今回の道は本当に大変そうでした。SSのキャンセルやディレイも多く、ファンの皆さまも我慢しないといけないシーンが沢山ありました。この地区での初めてのラリー開催には多くの課題が残ったと思います。ただ、私は「このラリーを続けていきたい」と心から願っています。

色づく木々から感じられる秋の空気、背景に映る日本らしい街並み、軽など小さい車を育んだ特有の狭い道、WRCが開催されたことで全世界に我々が誇りに思っている“様々なジャパンオリジナル”を見ていただけました。「街の人がとにかく温かい」「流れる川もヨーロッパとは雰囲気が違う」「日本の道は白いガードレールがユニークだ。僕にとってはあれが日本らしい景色だよ」チームメンバーは色々と私に伝えてくれました。我々が気づいていない“ジャパンオリジナル”がまだまだあることにも気付かされます。日本らしく改善を重ね、ラリーという文化を育み、今後、ラリージャパンが日本の秋には欠かせない風物詩になっていくよう、私どもも努力していければと思います。

WRCで戦うチームメンバーたちが、やっと日本に来てくれたことも本当に嬉しかったです。ベルギーにも行きましたが、日本で会える“家族”たちとの時間は格別でした。みんなとの時間が嬉しすぎて、サービスパークに泊まっていきたいと思ったほどです(笑)素晴らしいチームを作ってくれているヤリ-マティに感謝します。

前戦スペインまでに選手権を決めてくれた選手たちですが、日本のトヨタファンのために全力で走ってくれました。そして、私を表彰台に立たせたい…と走ってくれていたようにも感じています。セブ、ヴァンサン、エルフィン、スコット、カッレ、ヨンネ、貴元、アーロン、みんなありがとう! その結果、タイヤトラブルなども出て、色々と苦しい走りをさせてしまいました。もっと日本の道を楽しんで走ってもらいたかったのに申し訳なくも思っています。また、来年、日本の道を楽しんでもらえるよう、クルマの改善も続けていきたいと思います。

最後に貴元!

地元で表彰台に立ってくれてありがとう!おめでとう!これまで貴元がお世話になった方々が見守る中で、恩返しの走りをしていたと思います。その人たちの祝福の中で、貴元が表彰台に立っている姿に感動しました。 しかし、私の夢はまだ叶っていません。貴元と一緒に表彰台に立ちたい! 貴元が真ん中に立って、自分がその表彰台の横に立つ、来年のラリージャパンなのか、その前のどこかの国かはわかりませんが、その夢を叶えるため、また明日からがんばってください!

TOYOTA GAZOO Racing チームオーナー
豊田 章男

追伸 勝田範彦選手へ
クラッシュさせてしまい申し訳ありませんでした。そして、完走してくれてありがとうございました。おかげさまで、GRヤリスはまた鍛えられました。今まで鍛え続けてくれたGRヤリスを、来年、範さんには、更に鍛えてもらうつもりです。範さんに「家族のようなチーム」と言っていただけたメンバーが、これからもサポートしていきます。来シーズンも引き続きよろしくお願いします。


3位に入った勝田貴元選手(左)とコドライバーのアーロン・ジョンストン選手(右)。中央はトヨタ自動車 代表取締役 豊田章男社長