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日産、法人向けの新たなサブスク型車両管理システム「Nissan Biz Connect」発表 利用料金は2600円/台・月から

2022年11月22日 発表

2023年1月11日 サービス開始

2023年1月11日からスタートする法人向けの新サービス「Nissan Biz Connect」

 日産自動車は11月22日、ビジネスでクルマを使用する法人顧客が抱える課題をコネクテッド技術を使って解決するサブスクリプション型の車両管理システム「Nissan Biz Connect」のサービスを2023年1月11日からスタートさせると発表。また、同社バッテリEV(電気自動車)が持つ車両データの外部連携を可能にする新サービス「Nissan Biz Connect API」の実証実験を2023年1月から開始することも合わせて発表し、同日に報道関係者向けのオンライン発表会を開催した。

 日産の金融子会社である日産フィナンシャルサービスと共同開発したNissan Biz Connectは、現在販売しているすべての日産車、1世代前までのほとんどの日産車で利用可能な新サービス。専用通信機(TCU)や前後カメラを備える通信型の専用ドライブレコーダー(オプション)を使ってクラウドプラットフォームと連携し、車両管理データベースに情報を蓄積。

Nissan Biz Connectのシステム概要
ドライバー、車両管理者、サポートセンターがNissan Biz Connectでつながることにより、さまざまなビジネス課題を解消していく

 さらに、業務指示を最適化できる「車両リアルタイム位置把握」、交通事故のリスク低減を図れる「安全運転診断」、万が一のトラブル時に救急車両やレッカー車の手配、車両修理の入庫予約などをサポートする「事故時自動SOSサポートサービス」などにより、効率的な業務運営やサスティナブル経営の推進などに寄与する。

車両の急挙動によるGの発生や運転支援システムの作動といったCANデータによって「危ない運転」を自動検出。ログ情報をドライバーや車両管理者が確認して安全運転の意識向上を図れる
安全運転によって事故の危険性を低減できるほか、事前に行なわれた実証実験では燃費改善につながるケースもみられた
万が一のトラブル時にも、自動通報や救急車両などの手配、入庫予約など必要となる事後対応が円滑に進む体制を用意

 導入時の初期費用は、専用通信機のみを利用する場合で3万3786円/台から、専用通信機と通信型ドラレコをオプション装着する場合で11万3191円/台からとなり、利用する車種によって取り付け費用に多少の差が出るとのこと。

 サブスク型の月額料金は、専用通信機のみを利用する場合の「ライトプラン」が2600円/台、プレミアムサポートが付属する「スタンダードプラン」が3300円/台、オプションの通信型ドラレコも利用する場合はライトプランが3700円/台、スタンダードプランが4400円/台となる。

「ライトプラン」「スタンダードプラン」という2種類のサブスクプランを設定
導入時の初期費用とサブスク型の月額料金の一覧
【Nissan Biz Connect】サービス紹介動画(3分28秒)

「脱炭素」を目指す企業活動をコネクテッドサービスで支援

日産自動車株式会社 ビジネスパートナーシップ開発本部 ビジネスパートナーシップソリューション部 主管 桑折裕一氏

 発表会では日産自動車 ビジネスパートナーシップ開発本部 ビジネスパートナーシップソリューション部 主管 桑折裕一氏が新サービスについて解説。日産が推し進めている「ニッサン インテリジェント モビリティ」では「電動化」「自動運転化」「つながるクルマ」の3分野に注力しており、コネクテッド技術であるつながるクルマを扇の要として位置付けているという。

 日産の個人向けコネクテッドサービス「Nissan Connect」に続いてスタートするNissan Biz Connectでは、法人向けのサービスとして内容を特化。車両管理、運転管理、安心・安全の管理といった法人顧客が抱えている困りごとを解消して、結果的に車両の効率的な利用、燃費の改善を図ることで環境負荷を低減。さらに交通事故の予防策も盛り込むことで、日産が目指している「ゼロ・エミッション」「ゼロ・フェイタリティ」を推進していく。

 また、社会的な要請を受けて「脱炭素」を目指す企業が増えており、法人車両としてバッテリEVを導入するケースも増えているが、さらなる環境負荷低減のために車両運用の効率化でNissan Biz Connectが貢献する。

「つながるクルマ」は「電動化」「自動運転化」でも重要な役割を担う“扇の要”

 Nissan Biz Connectは「環境負荷を低減したい」「クルマを効率的に活用したい」「ドライバーの安全を守りたい」「車両管理の手間を減らしたい」といった、企業規模の大小に関わらず抱えている共通の課題に対応することを目指して開発を実施。自動車メーカーならではの強みとして、警告灯表示や運転支援システムなどの作動状況についてCANから詳細で高度な情報を取得することが可能で、さらにオプション設定の通信型ドラレコと組み合わせて利用すると車両内外の様子なども合わせて記録して、さらに詳細なデータを扱えるようにしている。

 なお、動画はデータ量が大きいことから、ドラレコ作動中の全データをクラウドにアップロードして常時監視するような挙動ではなく、車両に事故などのトラブルが起きた場合に前後20秒の動画を記録して、通信によってクラウドにアップロードするシステムを採用している。

 通信でクラウドに蓄積されたデータはドライバーや車両管理者がPCやスマートフォンなどで確認できるほか、日産フィナンシャルサービスが運営するサポートセンターの支援にも利用されることが大きな特徴であると桑折氏はアピール。長年にわたって法人向けカーリースなどを手がけてきた日産フィナンシャルサービスが持つノウハウが生かされ、適切なタイミングで車検・点検を受けられるよう日産ディーラー網との連携でアテンドするほか、ドライブレポート作成などのサポートが受けられる。

 日産フィナンシャルサービスは交通エコロジー・モビリティ財団が主催をする「エコドライブ活動コンクール」で2021年度の「環境大臣賞」を受賞しており、このような活動で培ってきたエコドライブについてのノウハウを提供可能。CANなどで実際に計測されたデータを使いながら、事故の低減や燃費改善について企業内で勉強できるドライブレポートを作成でき、事前に行なわれた実証実験でも具体的なアドバイスが多く助かったという反響を得ているという。

2023年1月から実証実験を開始する新サービス「Nissan Biz Connect API」の概要

 また、つながるクルマのサービスをさらに拡大するため、2023年1月から実証実験を開始するNissan Biz Connect APIの概要についても解説を実施。

 バッテリEVを使ったモビリティサービスを提供する事業者向けの新サービスとなるNissan Biz Connect APIでは、各社で用意しているモビリティプラットフォームに日産のバッテリEVが持つデータを連係。API(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)としてシステム的にデータ連係を行なうことで、例えばレンタカーやシェアカーとしてバッテリEVを運用する場合に、車両に搭載する走行用バッテリの残量を車外でも確認可能にして車両の運用効率を高めたり、ユーザーがアプリなどの画面上でバッテリ残量を確認して利用する車両を選べたりといったユースケースを想定しているという。

 このほかにも実証実験を通じて、コネクテッドサービスを使った情報連携、リモートコマンドの活用といった新たな活用法を探っていき、提供先企業を増やしていきたいと桑折氏は説明した。