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マツダ、中期経営計画のアップデートと電動駆動ユニットの協業について説明 2030年のBEV想定比率を25%~40%へ増加

2022年11月22日 発表

マツダは中期経営計画をアップデートして2030年時点でのBEV想定比率を25%から25%~40%へと増加させるとした

 マツダは11月22日、中期経営計画のアップデートおよび2030年の経営方針説明会を実施した。代表取締役社長兼CEOの丸本明氏は冒頭にビデオメッセージにて、2030年に向けて世界的に社会情勢や自然環境、技術革新など多岐にわたって変化が訪れることを加味しつつ、「このような社会の変化に技術開発や事業運営を適合させながら、“走る歓び”というブランドエッセンスを磨き、進化させ続けます。人々の日常に運転すること、移動することの感動体験を創造し、誰もが活き活きと暮らす“愉しさ”と“生きる歓び”を提供してまいります。そのために、今後も“ひと中心”の思想のもと人を研究し続け、心も身体も活性化されるものづくり、つながりづくり、ひとづくりにこだわり続けます」とあいさつ。

 続けて、2030年に向けた経営基本方針として、「地域特性と環境ニーズに適した電動化戦略で、地球温暖化抑制という社会課題の解決に貢献する。人を深く知り、人とクルマの関係性を解き明かす研究を進め、安全・安心なクルマ社会の実現に貢献する。ブランド価値経営を貫き、マツダらしい独自価値をご提供し、お客さまに支持され続ける」と、大きな3つの柱を提示した。

2030年に向けた経営基本方針

 具体的な取り組みとしては3つのフェイズに分け、2022年~2024年の3年間は将来の電動化などの対応資源を蓄積しながら、本格的電動化時代に向けた開発・生産領域の技術開発の強化に取り組んでいく。2025年~2027年にかけては、引き続き内燃機関搭載車で収益を上げつつ、「新しいハイブリッドシステム」を導入するなどマルチ電動化技術をさらに磨き、後半からは電動化が先行している中国市場にて、BEV(バッテリ電気自動車)を導入するほか、グローバルにEVの導入を開始すると方向性を示した。2028年~2030年にかけては、BEVの本格導入を目指すとしている。

マツダが進めている商品/技術の「ビルディングブロック構想」
フェイズ1構想
フェイズ2構想
フェイズ3構想

 同時に「カーボンニュートラル実現」「電動化」「人とITの共創によるマツダ独自の価値創造」「原価低減活動とサプライチェーンの強靭化」と4つの大きな取り組みを掲げ、2030年のグローバルにおけるEV比率を25~40%想定としていると語った。

 最後に中期経営計画最終年度の2026年3月期に向けた「強靭な経営体質の実現」については、2020年11月に掲げた財務指標「売上高約4.5兆円」「ROS(経常利益)5%以上」「ROE(自己資本利益率)10%以上」「配当性向30%以上」「損益分岐点台数約100万台」など具体的な数値を改めて提示した。

マツダの主要取り組み4項目

 また、非財務領域では、2035年グローバル自社工場のカーボンニュートラルや、2040年の自社新車による死亡事故ゼロに向けた取り組みを紹介。「AIを使いこなせる“デジタル人材”の全社的育成へ投資を行ない、2025年までに間接従業員全員がAIやITを使いこなせる一定以上の能力を持てるようにしつつ、企業としてのデジタルリテラシーを高めて、筋肉質な企業体質を手に入れる」と結び、「マツダが描く未来への想い」と題した映像を流して説明会を締めくくった。

中期経営計画のアップデートおよび2030年の経営方針について(36分6秒)

電動駆動ユニットに関して中国地域で協業チームを作成

電動駆動ユニットの協業に関する説明会も行なわれた

 中期経営計画のアップデートおよび2030年の経営方針説明会の後、電動駆動ユニットの協業に関する説明会も実施され、取締役 専務執行役員 研究開発・コスト革新・イノベーション統括 廣瀬一郎氏は、「電動化の進展とともに地域経済が持続的に発展していくためには、マツダを含めたサプライチェーン全体で対応していく必要がある」とし、今回、今仙電機製作所、オンド、中央化成品、広島アルミニウム工業、ヒロテック、フクタ電機、ロームらと協業を合意したと説明。

電動駆動ユニットの生産技術の開発や最適な調達構造の構築を目的とした合弁会社MHHO Electric Driveを設立

 これまで長年にわたり一緒にモノづくりをしてきたオンド、広島アルミニウム工業、ヒロテックとは、新たに電動駆動ユニットの生産技術の開発や、最適な調達構造の構築を目的とした合弁会社MHHO Electric Driveを設立。代表取締役社長となった中尾真也氏は「これまで積み上げてきた各社の強みや知見を集結することで、中国地域での電動駆動のユニットの生産技術の手の内化、最適なサプライチェーンを構築してまいります。電動化に向けた取り組みの第一歩としまして、新会社での取り組みを成功させ、地場経済へ貢献したい」とコメント。

 また、高効率インバータの開発や基板の実装、生産技術を開発する合弁会社Mazda Imasen Electric Drive(MIED)をともに設立した今仙電機製作所 代表取締役 社長執行役員 桜井孝充氏は「マツダさまの電動化に対する熱い想いと、地場企業を支えていこうという理念に共感し、協業に合意させていただきました」とあいさつ。続けて「近年は電動化のキーテクノロジーであるパワーエレクトロニクスとノイズの制御技術の開発を強化し、当社ビジネスの柱として成長を期待している。新会社MIEDはマツダさまの車両開発と当社の部品開発を融合し、両社の強みを生かして、高効率の電気駆動システムの実用化を目指します」と今後の展望を紹介した。

高効率インバータの開発や基板の実装、生産技術を開発する合弁会社Mazda Imasen Electric Driveを設立

 シリコンカーバイド(SiC)パワー半導体を手掛けるローム パワー・ディスクリート事業本部 本部長 野間亜樹氏は「EVの航続距離を伸ばしたり、バッテリコストを低減したりするためにはインバータの高効率化が課題です。その解決のためにSiCパワーデバイスが期待されており、ロームも注力しております。今回の協業を通じて、ロームはSiCパワーデバイスに求められる性能や、その最適な駆動方法を完成車レベルから逆算して理解することで、より競争力の高い製品を開発してまいります」とコメント。

MHHO Electric Drive株式会社 代表取締役社長 中尾真也氏
株式会社今仙電機製作所 代表取締役 社長執行役員 桜井孝充氏
ローム株式会社 パワー・ディスクリート事業本部 本部長 野間亜樹氏

 また、電動駆動ユニットのモーターに関して共同技術開発を行なう合弁会社MCF Electric Driveをともに設立したフクタ電気の代表取締役社長 張金鋒氏は「フクタ電機はモーター開発製造メーカーとして今日まで蓄積した専門知識を応用し、質の高い製品設計をマツダさまへ提供し、かつモーター業界と共存共栄いたします。近い将来、協業会社の皆さまとともに電動駆動装置を世に出すことを期待し、また当社は末永く経営目標を着実に進め同時にカーボンニュートラルの実現によって、地球への環境負荷低減に力を注ぎます」とオンラインでコメントを発表した。

電動駆動ユニットのモーターに関して共同技術開発を行なう合弁会社MCF Electric Driveを設立

 最後に合弁会社MCF Electric Driveに参画する中央化成品 代表取締役社長の水島康介氏は「このような一大プロジェクトに参画できることを大変光栄に感じております。弊社は、マツダさまとフクタ電気さまの開発がよりスムーズに進むよう、両社の潤滑油として精一杯尽力してまいる所存です。各社一丸となりマツダさまが世界一のeアクスルを開発できることを心より祈念しております」と結んだ。

富田電機股份有限公司 代表取締役社長 張金鋒氏
中央化成品株式会社 代表取締役社長 水島康介氏
マツダが中国地域の企業を集めて電動化へ向けた協業体制を築いた