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マツダ、2023年期 上期決算は売上高1466億円増の1兆6425億円、営業利益155億円増の552億円で増収増益 通期見通しを全項目で上方修正

2022年11月10日 開催

決算説明会に出席したマツダ株式会社 取締役 専務執行役員 毛籠勝弘氏

 マツダは11月10日、2023年3月期 上期(2022年4月1日~9月30日)の決算を発表。決算内容について解説する記者説明会を開催した。

 上期6か月累計の売上高は1兆6425億円(前年同期比1466億円増)、営業利益は552億円(同155億円増)、経常利益は1104億円(同765億円増)、当期純利益は859億円(同620億円増)となった。グローバル販売台数は51万4000台(同22%減)で、連結出荷台数は45万台(同6%減)。

マツダ株式会社 常務執行役員 川村修氏

 決算の詳細についてはマツダ 常務執行役員 川村修氏が説明。前年同期から260%増となった当期純利益は営業外損益に為替評価益を計上したことが大きく影響している。車両1台あたりの収益改善、固定費抑制などの取り組みと円安の増益効果などによって増収増益となった。

 このほか、営業利益の通期見通し1200億円に対し、上期時点で40%を目標としていた進捗率は46%を実現している。営業利益の変動要因では、「為替」で563億円、「台数・構成」で149億円、「固定費他」で26億円の増益要因となっているが、「コスト改善」ではコスト改善の取り組みによる約200億円の増益効果を原材料価格の高騰による約800億円の減益要因が上まわり、結果として583億円の減益要因となっている。

2023年3月期 上期の財務指標
2023年3月期 上期における営業利益の変動要因

 生産台数は前年同月比で8%増の50万3000台、連結出荷台数は同6%減の45万台、グローバル販売台数は同22%減の51万4000台。第2四半期の3か月では生産台数、連結出荷台数が前年を上まわる水準に回復しているが、不安定さが続く半導体の調達、輸送船の不足などが影響して目標としていた30万台には届かなかった。グローバル販売台数は上海のロックダウンによる影響で台数減となっているが、8月以降は前年並みの水準まで回復している。

2023年3月期 上期の台数実績
日本市場の販売動向
北米市場の販売動向
欧州市場の販売動向
中国市場の販売動向
その他市場の販売動向
上海ロックダウンの影響で4月、5月の生産台数が落ち込んだ

財務指標の通期見通しを全項目で上方修正

 2023年3月期の通期見通しでは、減産、輸送船不足などの影響を反映して、グローバル販売台数を対前年度比3%(3万5000台)減の121万6000台に下方修正。上期実績は14万6000台の台数減となっているが、下期では新商品を投入した市場を中心に対前年比で10万台販売台数を伸ばす計画としている。

 一方、財務指標ではすべての項目を上方修正して、売上高は5月公表値から1000億円増の3兆9000円、営業利益は同200億円増の1400億円、経常利益は同650億円増の1700億円、当期純利益は同500億円増の1300億円としている。原材料価格の高騰、金利上昇、不安定な半導体調達といった不確定なリスク要因はあるものの、台あたり収益の改善、固定費の効率化など、各領域でのオペレーション改善に加え、為替前提の変更を反映した修正になっているとのこと。

グローバル販売台数の2023年3月期通期見通し
財務指標の2023年3月期通期見通し
対前年度で見た営業利益の変動要因
対5月公表値で見た営業利益の変動要因

販売ハイライト

マツダ株式会社 取締役 専務執行役員 青山裕大氏

 また、マツダ 取締役 専務執行役員 青山裕大氏から2023年3月期 上期の販売ハイライトについての解説も行なわれた。

 青山氏は現在も半導体供給のひっ迫などの影響で生産が滞り、購入者や販売ディーラーに迷惑を掛けてしまっている事態について謝罪。受注や在庫の状況、納車期間などを総合的に判断し、回復してきた生産台数を最大限に活用してグローバル最適の完成車配車を継続しているとした。

 販売では台あたり売上高の改善、変動販促費や固定販促費の抑制、効率的な在庫の運用などによって「販売の質改善」を継続的に実現。変動販促費の調整を適切に行なうことで高残価を生み、金利上昇の局面に置いても変動販促費を抑制する好循環につなげているという。

販売の質向上を紹介する資料。日本市場では台あたり売上高のグラフが下がっているが、これは「CX-3」の商品改良が実施されたことによる一時的な要因で、基本的には右肩上がりの基調になると想定しているという

 商品では、第1四半期以降に日欧でラージ商品群の第1弾となる「CX-60」、北米ではアラバマ工場で生産する「CX-50」を市場投入。第2四半期も好調な販売が続き、CX-60は日本市場で6気筒ディーゼル+マイルドハイブリッドを中心として10月末時点で約1万4000台を受注。「CX-5」よりも上級価格帯で販売される結果となっている。欧州市場では2.5リッターPHEVモデルが10月末時点で1万9000台を受注。2023年には6気筒ディーゼル+マイルドハイブリッドモデルの追加も予定しており、さらなる販売拡大を目指している。

 CX-50は米国で4月~10月末で1万6000台を販売。ラインアップ内での適切な棲み分けが行なわれ、CX-5よりも上級価格帯が販売のコアとなっている。このほか、各車種で上級グレードの販売比率が高まっており、台あたり収益の改善に寄与しているという。

新たに市場投入した「CX-60」「CX-50」はともに好調。好評を得て上級グレードの販売比率も高くなっている

2023年3月期 下期に「CX-90」を生産開始

2023年3月期 上期決算の総括

 マツダ 取締役 専務執行役員 毛籠勝弘氏からは決算の総括とまとめが語られた。増収増益となった上期決算について毛籠氏は、上海ロックダウンの影響で赤字となった第1四半期の遅れを迅速に取り戻し、営業利益の上期進捗40%を実現するためグループを挙げてチャレンジしたが、この目標を達成してなんとか下期のスタートラインに立てたと評価。

 また、上期は為替環境、金利の上昇、原材料価格の高騰、インフレ、ウクライナ危機など、かつてない複合的な要因によって先行きが非常に見通しにくく、経営環境が大きく変化する局面になったと解説。台数面では引き続き不安定な半導体調達、上海ロックダウンからの回復期に重なった自動車輸送船の稼働率が課題となり、計画する台数が未達となった。しかし、継続的な固定費抑制、販売現場での価格対応、上級グレード販売、販売費用の抑制などによる台あたり収益の改善に取り組んで収益力が引き続き改善していることを評価したいと述べた。

決算のまとめ

 上方修正した通期見通しでは、経常利益、当期純利益については為替前提を円安方向に見直したことで外貨建て資産の評価益がふくらむことが主要因となっているものの、下期もオペレーションの質の改善に焦点を当て、継続した取り組みを続けていきたいと語った。

 下期については半導体のひっ迫、原材料価格の高止まりが継続することに加え、自動車輸送船の不足、米国市場における雇用のミスマッチによる生産制約、インフレ抑制を目的とした金利上昇による景気後退などが予想され、事業環境はさらに不透明さを増すと想定。オペレーションの質改善などに取り組みつつ、CX-60の生産拡大、「CX-90」の生産開始など、ラージ商品群の新車効果によるモメンタムを訴求していく。

 このほか配当については、中間配当を5円増額した20円に設定。期末配当の20円と合わせて年間配当予測を40円にすると発表している。