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マツダ、新プラン導入などコネクティッドサービスの見直しで安心・安全な“走る歓び”の提供を目指す
2022年6月30日 12:00
- 2022年6月30日 発表
マツダは6月30日、コネクティッドサービスの料金体系を見直し、無料期間の延長や新たなプランの導入を発表した。事前に行なわれた説明会では、マツダの国内営業本部 カスタマーリレーション推進部の町弘輔氏と、統合制御システム開発本部 情報制御モデル開発部の中尾堅志氏の2名が登壇し、今回の新プラン導入への経緯と想いを語った。
誰もが自分の意思で運転できて、自由な移動を楽しむことができるクルマ作りを信念に置いているマツダは、クルマを思い通りに操ることで得られるワクワク感や楽しさは、運転する人もまわりの人も、全ての人の安心・安全がその根底にあり、“走る歓び”につながると考えているという。
これまで進めてきた「ものづくり」の領域では、ドライビングポジションやドライバー認知のサポートを中心に考えた安全技術、操作に対して違和感なく反応する人馬一体の走りなど、人間中心のクルマ作りを実践してきたが、これからはユーザーのカーライフ全般での安心・安全を支えることが使命ととらえ、今回コネクティッドサービスの新プランを提供することになったとしている。
人間中心の設計によるハード面での「ものづくり革新」と、コネクティッドサービスの新プランといったソフト面での「つながり革新」による両面で、安心・安全な“走る歓び”というマツダ独自の保有体験の提供を目指すという。
コネクティッドサービスの新プランによる「つながり革新」
国内営業本部 カスタマーリレーション推進部の町氏によると今回の新プランは、「より多くのユーザーに安心・安全を届けることと、ユーザーの使い方に応じて好きなときに利用できるという2つの大きな柱がある。直近の自家用登録車の保有期間が約9年という実態から、ユーザーの保有期間にわたって安心・安全を届けることがマツダの使命だととらえ、業界としてはトップクラスの10年間の長期無料化に踏み切った」という。
この長期無料化が実施されるサービスのメイン機能は「エマージェンシーコール」「マツダアドバイスコール」となるが、利用実態を見ると事故関連の通報が6割以上であることから、ユーザーニーズにも合致している。
また、2019年からスタートしたコネクティッドサービスだが、現状コネクティッド付きマツダ車オーナーの約9割、14万人近いユーザーが契約中という。より多くのユーザーにという観点から、これから購入するユーザーだけでなく、現在所有しているユーザーにも適合させるとしている。2019年に新車を購入したユーザーはちょうど1回目の車検を迎えるタイミングとなるため、この新プラン導入によって長く乗り続ける選択肢を選ぶユーザーも少なくないだろう。実はこの新プランは4月15日からオーナーへDMでアナウンスされており、すでに現オーナーの67%が新プランへと移行を済ませているという。加えて、EV車両ではMX-30から始まった「バッテリケア」は10年無料となっていて、「EVサポート」は快適・楽しむ機能として3年間無料後、4年目からは有料となる。
ただし、今回「安心・安全」に関する機能は10年無料となるが、「快適・楽しむ」に関する機能については3年の無料期間終了後、月額220円、年額2420円の「コンフォートプラン」が別途用意されている。
なお、新プランを利用するには「My Mazda」アプリの最新版をインストールして利用規約に同意する必要がある。アプリを使用していないユーザーは、7月中旬開設予定の専用Webサイトにて最新の利用規約への同意が必要となる。
CX-60専用サービスについて町氏は、「リモートエンジンスタート機能は、寒い冬にあらかじめフロントガラスの雪を溶かしておいたり、暑い夏に車内を快適な温度にしておいたりといった使い方ができる」と紹介。自身にも小さな子供がいることから「1度使ったら手放せない機能だと思う」と話した。また、車両の異常を検知した際にガードマンを派遣することができる“マツダマイカーケア”と、あらかじめ設定しておいた速度や時間、エリアに入ると通知を行なう“ドライバーケア”をセットにした「見守りプラン」も用意。クルマを使用している人がもうすぐ帰ってくることなどが事前に分かり、迎えの準備などが効率的に進められると説明した。
なお、リモートエンジンスタートは月額220円、年額2420円、見守りプランは月額330円、年額3630円で、7月中旬開設予定の専用Webサイトから「マツダコネクティッドサービスプラス」を購入することで利用できるようになる。同時にWebサイト上でいつでも解約もでき、暑い時期だけリモートエンジンスタートを利用するといった使い方も可能となっている。
人間中心の設計によるハード面での「ものづくり革新」
続いて統合制御システム開発本部 情報制御モデル開発部の中尾氏は「マツダは安全技術の考え方においても、自分で運転する楽しさを尊重していて、いつまでもドライバーが元気で健康な状態であること、これが安全の基本と考えています」と基本理念を紹介した。
また、マツダは人馬一体による走るよろこびも追及していて、クルマを意のままに操る体験を通じてドライバーに感動や活力、自信を感じてもらうのはもちろん、同乗者も快適な空間で移動の楽しみをドライバーと共有してもらいたい。そのためのアプローチが、人間の本来持つ能力や感覚を最大限に活用する「人間中心」という開発の哲学になっているという。
具体的には、自由に移動するという走るよろこびをサポートするために、安全については、危険な状況になってから対処するのではなく、人を安全技術の中心にとらえ、事故や危険につながるもっと前の段階から安全について考え、設計する「マツダプロアクティブセーフティ」というマツダ独自の安全思想に沿ってクルマを設計。
マツダプロアクティブセーフティでは以前から、既存安全技術を基礎に車両の状態からのアプローチを中心として先進安全技術を積み上げているが、中尾氏は「これからは人の状態からのアプローチをより一層強化していく」と語る。
将来的にはすでに発表している、人の状態検知によりドライバーや周辺の人の命を守る「マツダ・コ・パイロット・コンセプト」の実現を目指すとしていて、ドライバー状態を常に見守り、ドライバーの様子に合わせて適切な支援を作動させるとともに、ドライバーが運転に復帰できないときは、いつでもどこでも停止して安全を確保し、ドライバーが原因になる事項を着実に削減させることを目指すとしている。
CX-60から導入されるドライバー異常時対応システム(DEA)について中尾氏は、「重大事故につながりやすい眠気や居眠り、ドライバーの発作急病などの体調急変に対応するシステムで、ドライバーモニターがドライバーを常に見守り、万が一ドライバーが意識をなくしたときには、迅速に減速、停止し、コネクティッドサービスとの連携により緊急通報する“マツダエマージェンシーコール”までを行ない、事故によるリスクを低減します」と紹介。ただし、マツダエマージェンシーコールを利用するためには、コネクティッドサービスの契約が必要となるが、新プランでは「安全・安心」に関する機能は10年間無料で利用できる。
そのほかにも、マツダではコネクティッド技術を活用し、リアルワールドでのクルマの使われ方などのデータを収集・分析していて、それをもとに顧客体験の質の向上と、さらなる品質の向上に努めているという。
実際にEVのバッテリの使われ方のデータを収集し、そのデータを分析することで、ユーザーが定期的な車両メンテナンスで入庫したタイミングで、航続距離を長くして快適なカーライフを楽しめるように、バッテリに優しい走り方などをアドバイスシートを活用して伝えているとのこと。
また、コネクティッドサービスのEVサポートは、入庫時に聞いた情報をもとに、ユーザーの保有するEVのケアにつながる情報をMy Mazdaアプリを活用してプッシュ通知で届けることで、ユーザーのカーライフに沿った車両コンディションを保持する取り組みも行なっているとした。