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トヨタ、アメリカでのEV充電システム開発・普及のため電力会社オンコーと協業

2022年12月15日(現地時間) 発表

トヨタ初の量販型BEV「bZ4X」

 トヨタ自動車は12月15日(現地時間)、北米トヨタとテキサス州の電力会社Oncor Electric Delivery(以下、オンコー)が、自動車がバッテリから電力網にエネルギーを供給する技術であるV2G(ビークル・トゥ・グライド)に関するパイロットプロジェクトに協力することで合意したと発表した。

 この取り組みは、北米トヨタ初のBEV(バッテリ電気自動車)向け公共事業で、トヨタEVCS(電気自動車充電ソリューション)チームが主導するという。

 両社はまず、トヨタの米国本社近くにあるダラス南部のシステム運用サービス施設(SOSF)で、オンコーの研究・試験用マイクログリッドを使用する研究プロジェクトから着手。SOSFのマイクログリッドは、相互接続された4つのマイクログリッドで構成されていて、独立して制御できるほか、並列運転、タンデム運転、単一の大規模システムとして結合することも可能。

 また、マイクログリッドとそのサブシステムには、試験・評価用にV2G充電器、ソーラーパネル、バッテリストレージも含まれていて、トヨタとオンコーはBEVと電力会社との相互接続性を可能にするため、このシステムとともにBEVを使用することを計画しているという。

トヨタ初の量販型BEV「bZ4X」

 この初期テスト終了後、2023年に予定しているプロジェクトの第2段階では、オンコーの電力供給エリア内にある家庭や企業に接続されたBEVでV2Gのテストを行なう予定で、この提携によりオンコーとトヨタは、ユーザーニーズを把握しつつ、EVや充電インフラの普及をサポートしながら、V2Gが電力網に与える影響についても調査を実施。さらに、このプロジェクトにより両社は、米国で広範囲におけるEV充電エコシステムを構築する準備を整えることができ、トヨタのBEVユーザーのカスタマーエクスペリエンスを向上させるほか、カーボンニュートラルへの取り組みも加速させるとしている。

 なお、トヨタ初の量販型BEV「bZ4X」はすでに米国とカナダで販売を開始していて、レクサス初のBEVである「RZ 450e」は、2023年初頭に販売開始予定となっている。

レクサス初のBEV「RZ 450e」

 トヨタEVCSチーム副社長のChristopher Yang氏は、「私たちは、トヨタBEVがクラス最高のモビリティ体験を提供するだけでなく、お客さまが自宅や地域の電力供給に活用し、必要時には電力網をバックアップできる未来を想像しています。オンコーとの協力は、電力会社のニーズを理解する上で重要なステップです。当社は電力会社と密接に協力し、すべての地域がトヨタの電動車両へのシフトを受け入れられるようにする計画です」と述べている。

 また、オンコー取締役副社長兼最高執行責任者のJim Greer氏は、「電化が進み、お客さま、テキサス州、ERCOT市場のニーズを実現できる、より安全でスマートで信頼性の高い電力網を構築することがオンコーの仕事です。このプロジェクトは、オンコーとOEMメーカーとの初の協業となります。オンコーのサービス地域全体でV2G取引を可能にする電力網のあり方をより理解するために、トヨタのような世界的な技術リーダーと協力できることを嬉しく思います。また、このパイロットプロジェクトから得られた教訓を、いつか私たちがサービスを提供する多くのコミュニティのために役立てたいと考えています」とコメントしている。