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世界初公開されたソニー・ホンダの新型EVプロトタイプは、プロトタイプ感の高いクルマだった

世界初公開されたソニー・ホンダの新型EVブランド「アフィーラ」のプロトタイプ車。空気抵抗値を下げるのであれば、中央部を凹ませる処理をするのがお約束だが、乱反射をきらったラインにも見えるほど、ゆるやかな面で構成されている

ソニー・ホンダの新型EVブランド「アフィーラ」のプロトタイプ

 ソニーは1月5日(現地時間)、ソニー・ホンダモビリティにおける新型EVのブランド名を「AFEELA(アフィーラ)」と発表。プロトタイプ車両を世界初公開した。このプロトタイプ車に搭載される電子的なプラットフォームは、クアルコムの「Snapdragon Digital Chassis」。発表会では、コクピットまわりはデジタルツインで開発できることなどが示されていた。

 ハードウェア的な面で発表されたのは、45のカメラやLiDAR、超音波(ソナー)などのセンサーを搭載すること。プロトタイプ車両との位置づけのため、またソニーが世界的なイメージセンサーメーカーでもあるためか、非常に多くのセンサーが取り付けられている。

45のセンサー取り付け位置

 現地でカーテンから出てくるアフィーラプロトタイプを見ていたが、第一印象としては、非常にすっきりしたボディラインであるということだ。あまり近づくことはできなかったが、サイドシルエットを見てもドアハンドルやスイッチらしいものは見かけられず、前方からのラインがスムーズに後方に流れている。

 2020年のCES2020で公開された「VISION-S」と比べても、ドアのプレスラインなどの強調的なものがなく、スリークな印象を受ける。ホイールも、まるでブレーキ部を見せたくないかのようなフルカバードタイプとなっており、プロトタイプ感を増している。

サイドシルエット。ドライバーとのヘッドクリアランスもなんとなく見てとれる
こちらはVISION-Sのサイドシルエット。力強さを感じるマッシブなラインが描かれている
シンプルな光でみたボディライン。すっきりしている
ホイールはフルカバード。まるで中は見ないでねと言っているようだ。タイヤはブリヂストン ポテンザ S001Lを装着していた

 Bピラー部には広角カメラが埋め込まれていることから、なんらかの乗車認識を行ない、自動でドアが開いていくのかもしれない。また、ドアミラー部にも複数のカメラが埋め込まれており、大量のカメラを搭載していることから、クルマのプロトタイプなのか、カメラ取り付けのテスト車なのか(両方なのだと思いますが)分からなくなってくる部分がある。

 スリークなボディラインは、ある意味乱反射もなくセンサー類のテストにも最適なデザインに見える部分もあり、このプロトタイプ車両は相当なプロトタイプであるということを強調しているように感じる。SDV(Software Defined Vehicle)でもあるとのことなので、アルファ版、ベータ版、RC版、リリース版というステップにたとえても、「アルファの前?」なのだろうか。

Bピラー部のカメラ。結構大きなエリアが用意されている
シンプルなフロントライン。LEDで加飾が行なわれている

 あえて見る人の感情を刺激しないようなフラットデザインが行なわれており、「市販版とはいろいろ違うよ」と語りかけているようにも見える。

 実際、アフィーラというブランド名は発表されたが、車両の名称は発表されておらず、不要なキャラクター付けをしないような配慮がうかがえる。2025年から受注開始ということを考えても、受注までの2年間にデザインインパクトがなくならないよう、現段階で配慮しているのかもしれない。

 先鋭的なデザインほどデザインが模倣されやすいし、模倣されると急速に鮮度が落ちていく。とはいえ、実走行での多くの確認は必要なため、町中を走ってブランドを浸透させていくだけのデザインは必要になるというところだろうか。

 ルーフ部分は透明感のあるダークトーン、ボディ部はシルバー系のトーンでまとめ、メッキなどの加飾は最小限にLEDで知的な華やかさを演出している。

 先行受注開始まで2年、アフィーラプロトタイプ車両は思った以上にプロトタイプ感の高いものだったが、車名などを含めた進化が楽しみだ。

プレゼンテーションの最後にはさまざまな光があたり、なめらかなボディ面が見てとれた