ニュース

BMW、新型「M3 CS」 サーキット走行も可能な軽量・ハイパワー・高剛性のハイパフォーマンスカー

2023年1月25日(現地時間) 発表

BMWの新型「M3 CS」

 BMWは1月25日(現地時間)、新型「M3 CS」を発表した。3月からBMWのミュンヘン工場で限定生産され、アメリカ、ドイツ、イギリス、日本を重要販売地域とし、同月から段階的に発売するとしている。

 パワートレーンは、M3およびM4モデル用に開発されたMツインパワーターボテクノロジー搭載の高回転型直列6気筒3.0リッターエンジンを特別にアップグレードして搭載。2基のターボチャージャーの最大ブースト圧を1.7barから2.1barに引き上げると同時にエンジンマネジメントもM3 CS専用に微調整を加えたことで、「M3 Competition Sedan」と比較してピーク出力が30kW(40PS)向上し、最高出力は405kW(550PS)/6250rpm、最大トルクは650Nm/2750-5950rpm(エンジン最高回転数は7200rpm)。

 8速Mステップトロニック・トランスミッションとM xDriveインテリジェント四輪駆動システムが組み合わせられ、0-100km/h加速は3.4秒、0-200km/h加速は11.1秒を誇り、Mドライバーズパッケージが標準装備となり、電子制御によって最高速度は302km/hに制限されている。ちなみにこのエンジンは、2022年に初出場でDTM(ドイツツーリングカー選手権)のタイトルを獲得した「M4 GT3」に搭載されているエンジンのベースにもなっている。

 エンジンのクランクケースは、スリーブのないクローズドデッキ構造で、高い燃焼圧力に対応するよう剛性を向上。また、ワイヤーアーク溶射を施した軽量なシリンダーボアにより、摩擦損失を低減。軽量鍛造クランクシャフトは、非常に高いねじれ剛性があり、パワーの立ち上がりを助けるとともに、エンジンの高回転化にも貢献するという。さらに、シリンダーヘッドは3Dプリンターでコアを製作し、従来の金属鋳造では不可能だった冷却水ダクトの最適配置ができ、理想の温度管理を実現するとともに、冷却システムと同様にオイル供給システムもサーキット走行に対応できるよう設計している。

直列6気筒3.0リッター Mツインパワーターボテクノロジー搭載エンジンは、最高出力405kW(550PS)/6250rpm、最大トルク650Nm/2750rpm~5950rpmを発生

 また、バネ定数を高めた専用設計のエンジンマウントにより、パワーユニットと車体構造の剛性も向上、アクセルを踏み込むとエンジンのレスポンスがさらに鋭くなり、そのパワーがドライブトレーンにダイレクトに伝達されるという。

 電動フラップや軽量チタン製リアサイレンサー、マットブラックテールパイプを備えたデュアルブランチエキゾーストシステムは、Mセットアップメニューのエンジンセッティングで「SPORT」または「SPORT+」モードを選択すると、ドライブサウンドがレーシングカー並みの音色に変化するほか、ギアチェンジやエンジン回転数の変化でサウンドが変化する。

デュアルブランチエキゾーストシステムを装備

 ドライブロジック付き8速Mステップトロニック・トランスミッションは、センターコンソールのM専用セレクターレバー、またはステアリングのカーボンファイバー製パドルシフトで操作ができるほか、ドライバーはセレクターレバーに組み込まれた「Drivelogic」ボタンでトランスミッションのシフト特性を変更し、「快適性重視」「スポーティ」「サーキット」と各走行に最適な設定を選択することが可能。

 Mセットアップメニューでは、4WDをデフォルトの4WDモードから、エンジンのトルクをより大きく後輪に配分する4WDスポーツモードへ切り替えられるほか、DSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)を完全にオフにして、2WDモードにすることも可能。後輪にのみ駆動力を送り、車両を安定させるための制御システムの介入を抑制することで、熟練ドライバーのドライビング体験をより一層盛り上げてくれるという。シャシーは、エンジン特性、車両コンセプト、重量配分に合わせて精密にチューニングされ、DSCシステムおよびMダイナミックモードの設定も、高速サーキット走行に特化した内容に仕上げられている。

 ブレーキは、レッドまたはブラックに塗装されたブレーキキャリパーのMコンパウンドブレーキまたはオプションでMカーボンセラミックブレーキ(ブレーキキャリパーはマットゴールドまたはレッド)を選択可能。ホイールは、ゴールドブロンズ仕上げの専用Vスポークデザインの鍛造Mライトアロイホイールが標準装備するが、オプションでマットブラック仕上げも選択可能。サイズはフロントが19インチ、リアが20インチで、タイヤは専用に開発されたフロント275/35ZR19、リア285/30ZR20のサーキット用タイヤを標準装着するが、無償で同サイズのハイパフォーマンスタイヤへ交換も可能となっている。

鍛造Mライトアロイホイールを標準装備

 ルーフのほか、ボンネット、フロントスプリッター、フロントエアインテーク、エクステリアミラーキャップ、リアディフューザー、リアスポイラーはカーボンファイバー製で、内装もセンターコンソール、ステアリングのパドルシフト、インテリアトリム、バケットシートがカーボンファイバー製となり、チタンマフラーなども合わせるとM xDrive搭載のBMW M3 Competition Sedanと比較して、合計で約20kgの軽量化に成功している。

カーボンファイバー製ボンネット
エアロにもカーボンファイバーを使用
カーボンファイバー製ミラーカバー
リアディフューザー
リアスポイラー

 エクステリアのフローズンソリッドホワイトメタリックペイントは、BMW Mの最新特別仕様車限定色で、ルーフ、ボンネットに刻まれた2つのダクト、フロントスプリッター、フロントエアインテーク、Mエクステリアミラーキャップ、リアスポイラー、リアバンパーのカーボンファイバーの表面は、ブラックのサイドスカート、Mギルと相まって、新しい塗装仕上げにコントラストを付与している。

ボンネットには2つのダクトが設けられている

 また、ボディカラーは、シグナルグリーンソリッド、ブルックリングレーメタリック、サファイアブラックメタリックが用意されているほか、キドニーグリルは軽量化のためにフレームレスを採用し、レーシングマシンを彷彿とさせるストリップバックエアーを表現。また特別な「M3 CS」バッジが前後に配されている。

フレームレスキドニーグリル

 運転席と助手席には専用デザインのMカーボンバケットシートが標準装備され、フル電動&ヒーター付きで、ヘッドレストも内蔵。Mカーボンバケットシートはメリノレザー製で、ブラック/レッドのカラースキームに特徴的なコントラストステッチが施された専用デザインを採用。このカラーはリアシートにも採用され、ドアパネルはフロント、リアともにブラックレザーで統一した。

運転席と助手席には専用デザインのMカーボンバケットシートを標準装備する

 M専用のコントロール/オペレーションシステムには、センターコンソールにセットアップボタンがあり、エンジン、シャシー、ステアリング、ブレーキシステム、M xDriveの設定オプションに直接アクセスが可能。個別に設定した2種類のセットアップバリエーションは、エンジン音、DSCシステム、オートマチックスタート/ストップ機能、8速Mステップトロニックトランスミッションのシフト特性などの設定とともに保存でき、ステアリングホイール上のMボタンを使って切り替えることが可能となっている。

エンジン、シャシー、ステアリング、ブレーキシステム、M xDriveなどの設定が変更可能

 また、Mドライブプロフェッショナルシステムも標準装備。サーキットでのドライビングスキルやパフォーマンスを評価・記録するMドリフトアナライザーとMラップタイマーが搭載されているだけでなく、クローズドサーキットでマシンを酷使する際に最適な10段階のMトラクションコントロールも搭載している。

 さらに、センターコンソールのMモードボタン(Mドライブ・プロフェッショナル・パッケージの一部に搭載)により、運転支援システムの作動レベルやインフォメーションディスプレイ、オプションのヘッドアップディスプレイの表示内容を「ROAD」「SPORT」「TRACK」から選択できる。