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マツダ、「MAZDA2」大幅改良のコンセプト“好きを探せる相棒”とは? 水口浩司主査が解説

2023年1月27日 発表

152万9000円~254万1000円

大幅改良したマツダの「MAZDA2」(※撮影車両はプロトタイプのため実車とは装備などが異なる場合あり)

 マツダは1月27日に「MAZDA2」の大幅商品改良を発表し、同時に予約受付を開始した。新たなグレードとなる「15 BD」「XD BD」、スポーティさを強化した「15 SPORT」「XD SPORT+」、質感を高めた「15 Sunlit Citrus」の3タイプに集約し、価格は152万9000円~254万1000円となっている。

 従来のMAZDA2は2014年に発売され、初代デミオから数えて4代目のモデル。スカイアクティブ技術を搭載しつつ、マツダブランドのエントリーモデルとして位置付けられている。マツダ商品本部の水口浩司主査によると、開発コンセプトは「スカイアクティブの技術を使って、コンパクトカーの常識と妥協を打ち破り、新機軸を提案する」として、1.コンパクトカーだからこその価値を守る。2.コンパクトカーだからの妥協をしない。3.コンパクトカーなのにを追求する。という3つの志を開発時に掲げていたという。

2014年に登場した4代目デミオ。今回の大幅改良されたモデルと比べるとフロントまわりが大きく変わっているのが分かる

 妥協をしない例としては、毎日使うクルマだからこそ運転がしやすく疲れないクルマにしたいと、フロントタイヤを前に出し、右足を伸ばしたところにアクセルペダルがあるようにするなど理想的なドライビングポジションを追求。また、安全面についても「マツダ プロアクティブ セーフティ」の考えに基づき、クラスで差を付けずに上級車種の技術を一括企画で展開。特にユーザーが不安になる車線変更や後退時の視認性をサポートする機能の全車標準装備を実現している。

 そして、常に最新技術を反映した商品改良や、その時のトレンドを取り入れた特別仕様車を投入してきた結果、現在でも高い市場競争力を維持し、マツダの2022年1月~11月の販売台数では「CX-5」に次ぐ2番目に多い実績を誇っているという。

徹底追及したドライビングポジション
安全面でももちろん妥協はしない
常に最新技術を反映させる商品改良を行なってきた

 また、今回の大幅改良の狙いについて水口主査は、「マツダの量販モデルとして、誰もが活き活きと暮らす愉しさと、生きる歓びの体験のすそ野を広げるための価値を再構築することと、マツダのエントリーモデルとして若年層に振り向いてもらうこと」と説明。実際にユーザー層へのヒアリングをしたところ、「自分らしく生きたい。自分のセンスや価値観を反映できるクルマを選びたい」といった潜在ニーズがあることが分かったという。

 そこで開発コンセプトを“好きを探せる相棒”と設定し、「不確実性が高まる現代社会においても、自分らしさを大切に、行動範囲を広げ、仲間とともに活き活きと日常生活をたのしんでいただきたいという想いを込めた」と振り返る。

 そして、従来モデルでは好評な「ハイクオリティ」「スポーティ」という価値観は継続して進化させながら、さらに若者に向けた新たな価値コンセプトとして、「選ぶ楽しさを提供し、自分好みの1台をマツダとともに作り上げる」という新グレード「BD」を導入。

新たな価値コンセプトとなる新グレード「BD」を導入した

 新グレードの「BD」は、ボディ11色、インパネ3色、ルーフフィルム3色、ホイールキャップ6色を設定し、全198通りの組み合わせパターンの車両本体を用意。198通りの中から好みの1台を選択できるほか、さらに用品アクセサリーを使用することで、究極の自分専用アレンジも可能にしている。

新たなデザインによってMAZDA2にキャラクターが与えられた

 コンパクトなボディにワゴンのようなスタイルで、エポックメイキングな存在だった初代デミオが登場したのは1996年。キャンバストップを採用し明るい雰囲気を醸し出した2代目が2002年。200Kg軽量化してスタイリッシュになった3代目が2007年。そしてBカーとは思えない走りと質感を両立して日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した4代目は2014年と、「26年も続くブランドはかなり希少で、マツダでもほかにはロードスターぐらい」と、マツダのデザイン本部チーフデザイナーの木元英二氏はいう。

初代デミオ
2代目デミオ
3代目デミオ

 そして従来型は2019年改良モデルで、上質さにフォーカスし、より洗練さが強化されたが、今回の2023年改良モデルでは、これまでのスタイリッシュさはそのままに、イメージを刷新し、共感を引き出すキャラクターを付与することで次世代へとつなげる進化を遂げた。

 具体的にはフロントバンパーとリアの一部を変更し、2つキャラクターが与えられた。まず1つがスポーティなキャラクター。グロスブラックの専用フロントメッシュグリルや各部にブラックを使用することでフォルムを引き締めつつ、マツダのロゴマークシグネチャーウイングの重心を上へ移動、下部にも大きな開口部を設け端正で力強く軽快な印象を作り出した。また木元氏は「グリルの中身の造形でキャラクターを多彩に作り出せる仕組みを織り込んでいる」と語る。

15 BD。ボディカラーはスノーブレイクホワイトパールマイカ
ノーマルにルーフフィルムのブラックのみ貼った状態

 その仕組みを利用して、より親しみやすい若者に向けたキャラクターを発案。グリル内をパネル面とし、このパネルとルーフとミラーカバーの色を自由に変更できるようにしたことで、ユーザーが自己表現できる余地を残したという。ユーザーは色を組みかえて楽しむことが可能となる。

Black Tone Editionのスポーティさをさらに強化したスポーツグレード

 スポーツグレード(15 SPORTとXD SPORT+)は、テーマを「AUTHEN TEC SPORTS(オーセンテックスポーツ)」とし、従来モデルの「Black Tone Edition(ブラックトーンエディション)」のスポーティさをさらに強化し、こだわりの持てるスポーツを目指したという。各部をブラックで引き締めつつ、専用の16インチアルミホイールを採用するなど、精悍なスポーツの世界観を演出したとしている。シートは滑りにくいグランリュクスを採用し、スポーツ走行でも体がブレないように配慮している。

XD SPORT+(撮影車両は海外仕様)
スポーティなメッシュグリルを採用。ワンポイントとして赤の挿し色が入る
SPORTグレードはミラーカバーもブラックに
オプションのリアルーフスポイラーもブラックでシルエットを引き締めてくれる
リアバンパーにも赤のワンポイント挿し色が入る
専用の16インチアルミホイール
内装はブラック基調でシートなどには赤色のステッチが施される
ダッシュボードも黒×赤で統一感を持たせている
シフトまわり
エアコン吹き出し口のベゼルにも赤の挿し色が入る
運転席と助手席のドア内張にも赤いステッチが施されている

 自由な発想で遊び心を刺激するようなデザインを目指したエントリーグレード「BD」は、パーツやステッカー装飾をする前の、まっさらなボード本体のことを意味するスケートボード用語「BLANK DECK(ブランク デッキ)」の頭文字で、カラーコーディネーションしたものとの対比で「何も施されていないもの」を意味し、ひるがえって剥ぎ取った安物ではなく「素のもの」という想いを込めたとしている。

 グリルをパネルにすることで、親しみのある顔立ちのキャラクター性を実現。「パネルはグリルのフタのように見えるが、バンパーとつながる面に位置していて、バンパーとグリルが一体化してブリスターを形成しているのがデザインの見せ場です」と木元氏。

コンプリートパッケージの「ルーキー ドライブ」と「クラップ ポップ」を用意

 新グレードBDの「カラーコーディネーションを自由に選べる」といわれても、実際には選択肢が多いと悩むもの。そんな考えから、マツダではあらかじめ用品まで組み合わせたスタイル コレクション「コンプリート」シリーズを用意。用品パッケージとして「ROOKIE DRIVE(ルーキー ドライブ)」と「CLAP POP(クラップ ポップ)」の2タイプを設定している。

ルーキー ドライブ

 ルーキードライブは、初めてクルマを購入する人を想定したコーディネイト。「初めて買うのだから、ちゃんと走りを楽しみたいし、ちょっとおしゃれも楽しみたい」というユーザーがターゲット。

 テーマカラーのエアストリームブルーメタリックに、オレンジのアクセントを加えて、気軽に走りを楽しめる、身構えずに楽しく走り出せるイメージを付与。またボディカラーは、スノーブレイクホワイトも設定されている。

各部にオレンジのアクセントを加えている

クラップ ポップ

 心地よい音楽のような印象を目指したコーディネーションのクラップ ポップは、主張の強いロックのような音楽ではなく、軽やかで心地よいシティポップのようなクルマを楽しめないかというアイデアが発端。

 ルーフ、ミラー、ホイール、パネルとカラーを変更できるか所をホワイトで統一。ボディカラーを2トーンにすることで、軽やかで楽しい雰囲気に仕上げたという。さらにボンネットとトランクに控えめにストライプを貼ることで、スペシャル感を向上させている。ボディカラーは「ディープクリスタルブルー」「プラチナムクォーツ」を設定している。