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マツダ、大幅改良した「MAZDA2」が環境に配慮した「ルーフフィルム」と「バイオエンプラ」を新採用
2023年1月27日 11:30
- 2023年1月27日 発表
マツダは1月27日に「MAZDA2」の大幅商品改良を発表したが、その改良で採用した「ルーフフィルム」は、従来の2トーンカラー塗装に比べてCO2排出量とエネルギーの大幅削減に成功したという。また、内装のインパネには植物由来原料の材料「バイオエンプラ」を採用し、従来の塗装では実現できない高い質感を実現すると同時に、石油資源の使用量削減やCO2排出量の抑制、無塗装によるVOC(揮発性有機化合物)の削減など、環境負荷の低減を実現したとしている。
高い商品力と高い生産性を両立したルーフフィルム
ルーフフィルムの量産導入を担当したマツダ技術本部 車両技術部 塗装技術グループ 大川岩保氏によると、「これまでもマツダの塗装では、提供価値と経済性・環境という相反するものを、工程を革新することでブレークスルーし、解決してきた」という。それが現在のアクアテック塗装であり、匠塗(TAKUMINURI)を実現している。
今回の改良では、従来の2トーン塗装ではボディとルーフと上塗り工程が2回必要だったが、ルーフフィルムを適用したことで上塗り工程はボディの1回だけとなり、塗装ブースや乾燥炉などの利用が半減することでCO2排出を大幅に削減できたという。
これまでルーフフィルムは、デザイナー意図を具現化するという意味では商品力の向上につながっていたが、貼り付け品質の均一化や作業時間がかかるといった生産性の低さが課題となっていた。
大川氏の説明では、「一般的にルーフフィルムは車体に貼り付けると、下地の微小な凹凸や貼り付け作業時に発生する粘着面のよれが微小なひずみとなり、ルーフ表面に表れてしまう。特に意匠性の高いフィルムは、反射光が強すぎるため微小なひずみが際立ってしまうので、職人が時間をかけて貼り付けるしかなく、逆に拡散反射の強いフィルムは、微小なひずみは目立たないため量産はしやすいが、美しい意匠は表現できない」という。
そこで今回MAZDA2のルーフに採用したフィルムは、光の反射方向と強度を表面形状でコントロールする光学的アプローチでこれらをブレイクスルーし、微小なひずみを目立たせず、デザイン意図の光り方の具現化を実現し、高い商品力と高い生産性を両立させることに成功した。
環境性と商品性と経済性を両立できるバイオエンプラの開発
バイオプラスチックで作るペットボトルやバイオポリエチレンで作るごみ袋など、地球環境保全の観点から、素材を置換していくアプローチの1つとして、植物由来素材の活用が世界的に進められている。ただし、バイオプラスチックは石油系プラスチックよりも製造コストがかかるほか、自動車部品の場合は求める要求性能を満たすことができず、なかなか活用されていなかった。
そこでマツダ 車両開発本部 装備開発部 装備先行技術開発グループの一原洋平氏は、「バイオプラスチックの自動車業界での活用をさらに拡大させるために、バイオプラスチックならではの特徴を見い出し、その特徴を生かすことで部品レベルでのコスト改善を目指した」と語る。
具体的には、無色透明なバイオエンプラを着色し、塗装の代替を行なうことで、材料の持つ優れた環境性能だけでなく、従来の塗装では実現できない高い質感と、塗装工程廃止による環境貢献とコスト改善を両立するとしている。
植物由来性の原料を使用していることから、CO2排出量や石油資源使用量の削減に貢献するほか、材料自体を着色することで塗装工程が不要となり、塗装工程廃止によるVOC(揮発性有機化合物)や塗装エネルギーの削減により優れた環境性能にも役立つ。
また、従来の塗装膜厚の数十μm(マイクロメートル)に対してバイオエンプラは数mmという製品の厚みを利用して深みのある色合いの演出が可能なうえ、成形圧力により鏡面のような平滑感を実現したことで商品性を向上させられるという。もちろん、着色済みの部品ができあがるため塗装工程が廃止となるので、コストの改善にも貢献するとしている。