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ユーグレナ、バイオ燃料を20%混合した“B20”の次世代バイオディーゼル「サステオ」を都内2か所のガソリンスタンドで一般販売開始

2023年3月6日 開始

東京都江戸川区の東瑞江サービスステーションで次世代バイオ燃料「サステオ」の一般販売を開始する給油式が行なわれた。左から株式会社ユーグレナ 代表取締役社長 出雲充氏、東京都 産業労働局次長 根本浩志氏、丸紅エネルギー株式会社 代表取締役社長 本郷孝博氏

「今までのバイオ燃料よりも4倍濃い」次世代バイオディーゼルを期間限定一般販売

 ユーグレナは3月6日、東京都内で次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」の一般販売を3月下旬までの期間限定で開始した。

 今回の一般販売は東京都の補助事業として行なわれるもの。日東石油が運営する丸紅エネルギー系列の「東瑞江サービスステーション」(東京都江戸川区東瑞江1-3-14)と、ライフ白銅が運営する「セルフかつしか6号店」(東京都葛飾区白鳥2-20-20)の2か所のサービスステーション(ガソリンスタンド)で、ミドリムシ由来のバイオ燃料を20%混合した、“B20”の次世代バイオディーゼルとなるサステオを供給する。

 なお、2021年4月にはセルフかつしか6号店で3日間の一般販売が行なわれており、今回が東京都内での2回目の一般販売となるが、約1か月の長期販売は東京都では初めての取り組みとなる。販売価格は通常の軽油と同価格で、東瑞江サービスステーションでの3月6日の提供価格は138円/L。総供給量は計60kL(東瑞江サービスステーションは10kL、セルフかつしか6号店は50kL)を予定している。

サステオの一般販売を行なう東瑞江サービスステーション(東京都江戸川区東瑞江1-3-14)
サービスステーション内の軽油に対応するすべての給油機でサステオを給油可能。サステオや、東京都との取り組みについて紹介している
今回の一般販売は3月下旬までを予定。期間中にサステオを提供する東瑞江サービスステーションとセルフかつしか6号店は「サステナブルステーションTOKYO」をテーマに運営される
一般販売開始日となる3月6日の提供価格は138円/L

 同日に東瑞江サービスステーションで行なわれた給油式では、小池百合子東京都知事の代理として、東京都 産業労働局次長 根本浩志氏があいさつを代読。その中で、東京都はCO2を排出しない環境先進都市を実現するための行動を加速させていること、持続可能な社会を実現するための一環として、バイオ燃料の普及拡大と認知度向上に取り組んでいることを紹介。これまで東京都が行なってきたきたバイオ燃料を活用した取り組みに触れるとともに、今回一般販売されるサステオは普段軽油を使用しているクルマであればそのまま給油できるということをアピール。「この機会にぜひバイオ燃料を給油いただき、皆で一緒にクリーンで持続可能な輝く未来へ出発しましょう」とした。

東京都 産業労働局次長 根本浩志氏

 続けて、ユーグレナ 代表取締役社長 出雲充氏があいさつを実施。ユーグレナは「東京都に育てていただいた、東京発のベンチャー企業のスタートアップである」ということで、東京都をよくしていくために、小池都知事の方針に沿って連携を深めていると話し、「東京のスタートアップのサステオを使っていただいて、屋形船のCO2をゼロにし、小滝橋営業所の58台の都バスがCO2を減らす都バスに生まれ変わった」と、これまでの取り組みを語った。

株式会社ユーグレナ 代表取締役社長 出雲充氏

 また、「1つだけ自慢をさせてください」と前置きし、今回ユーグレナが提供するサステオは、国の規格で決まっている第1世代のバイオディーゼルである5%がバイオ燃料、95%が化石燃料の“B5”ではなく、次世代のバイオディーゼル燃料となる「今までのバイオ燃料よりも4倍濃い」という20%のバイオ燃料を含む“B20”であると強調。

 出雲氏は「次世代のバイオ燃料は、クルマが故障するというようなことは一切ございません。屋形船もちゃんと動いてますし、都バスも全く故障なく58台が毎日元気に走っておりました。このサービスステーションでB20の次世代バイオディーゼルを都民の皆さまにご活用いただくという取り組みが、今日ここからスタートするということは、本当に素晴らしい機会」と喜びを述べた。

 最後に、丸紅エネルギー 代表取締役社長 本郷孝博氏が登場。丸紅エネルギーは総合商社である丸紅の国内石油販売会社であり、石油製品を主としたエネルギーの安定供給を通じて日本経済の発展と人々の暮らしを支えるという想いで活動を続けてきたと、丸紅エネルギーを紹介。

丸紅エネルギー株式会社 代表取締役社長 本郷孝博氏

 加えて、エネルギーの安定供給と低炭素化・脱炭素化を両立しつつ、バランスよく推進することに対して、次世代バイオ燃料は有用であると考えたといい、今回、期間限定ではあるものの、サステオの販売をすることになったと、一般販売に至った経緯を語った。

 最後に本郷氏は「今回の補助事業が東京都にいらっしゃる皆さま、また日本全国の皆さまにとって、次世代バイオディーゼルをご利用、ご認識いただく機会となり、次世代バイオ燃料の普及が加速する一助になることを祈念します」と締めくくった。

サステオは品質面で問題がないと伝えたい

 給油式の後に行なわれた質疑応答で、「一般的に常に販売できるようになるのは何年後くらいになりそうか」という見通しを聞かれたユーグレナの出雲社長は「300円で買っていただけるのであればもうできます」と返答。現在も愛知県名古屋市のサービスステーション「名港潮見給油所」では、300円で一般販売を継続して行なっており、同価格で新しくサステオの取り扱いを希望する企業、サービスステーションがあれば、長期にわたる一般販売も可能だとした。

 続けて「ただ、300円ではなかなか買っていただけないですし、最初は本当にバイオ燃料にして大丈夫かという抵抗や不安があると思います。今回、東京都に補助をしていただいて、品質面で問題がないという安心感を皆さまにお伝えしたい」と話し、今後はサステオのことを知ってもらい、問題がないと分かった上で、「300円だけどCO2削減で使いましょうという方」を増やし、サステオの供給ボリュームを増やすことで、値段を下げていく取り組みを長期的に行なっていきたいという展望を述べた。

 また、出雲氏は今回の一般販売について「1か月間、サービスステーションにいつ来ていただいても給油できるというのはすごく大きいです。これで皆さんの意識が変わると思います。お子さんが学校へ行ってSDGsの授業を受けて、家に帰ってきて、『お父さん、お母さん、CO2削減にいいバイオ燃料っていうものを使ってみたい!』と言っても、どこにもバイオ燃料がないんですよ、今の日本に。この1か月間はサービスステーションにいつ来ていただいても、バイオ燃料を使っていただけますから、実際にそのバイオ燃料を使ったことがある、乗ったよっていう子供たち、ご家族、ユーザーの方を増やしていくという取り組みは、日本でここからスタートするんです。非常に意義の大きい取り組みだと思います。これで乗ってみて、何の問題もなかったと知っていただき、その上で、20%がバイオ燃料なので、自分はCO2削減に貢献したんだと思っていただける。このサービスステーションがSDGsが自分ごとになる一番いいきっかけになると考えると、ちょっとワクワクしてきますよね」と想いを熱く語った。