ZF、シャシー制御ソフトウェア「cubiX」 ロータス初のBEV「エレトレ」に世界初搭載

ZFはビークルダイナミクスを一括コントロールできるシャシー制御ソフトウェア「cubiX」の生産開始を発表した

　独ZFは3月8日（現地時間）、新たな車載用ソフトウェア「cubiX」の生産を開始したと発表した。また、中国市場で2月から納入の始まったロータスのBEV（バッテリ電気自動車）SUVモデル「エレトレ」が量産車として世界で初めて「cubiX」を搭載したと公表。さらに今年半ばからは、ヨーロッパでの発売も開始される予定だと明かした。

　これまで、ダンパー、ブレーキ、またはリアアクスルステアリングには、それぞれ独自のコントロールユニットがあり、車両の全体的なアーキテクチャで精巧に統合する必要があった。そこでZFが手掛けるソフトウェア製品「cubiX」は、メーカーや特定の設計に関係なく、ダンパー、ブレーキ、リアアクスルステアリング、アクティブロールスタビライザーなど、さまざまなアクチュエーターと互換性があることが最大の特徴。

ロータス初のSUVとなるハイパフォーマンスBEV（バッテリ電気自動車）「エレトレ（Eletre）」

　シャシー全体を制御することで、調和の取れた加速とブレーキ、正確なステアリング、バランスの取れたダンピングを確実なものにするシステムで、これにより自動車メーカーは追加の統合作業なしで、同じ制御プラットフォームで異なるモデルシリーズにも柔軟に実装できるという。また、ソフトウェアのアップデートやアップグレードは工場に持ち込むことなく無線で実行できるので、納車後もいつでも機能を追加可能としている。

　ZFは新世代の統合ブレーキ制御システムや800Vのテクノロジー、炭化ケイ素インバーターを供給しているほか、革新的なZFソフトウェアのさらなる量産は2023年以降を予定しているという。

　ZFのビークルモーションコントロールシステムハウスの責任者であるアンドレ・エンゲルケ氏は、「cubiXソフトウェアのシリーズ初公開により、ソフトウェア・デファインド・ビークル（ソフトウェア定義型自動車）のビークルダイナミクスに対するZFのシステム能力が実証できました。われわれはロータスの仕様に添って、車両の縦、横、垂直方向のダイナミクス全体を調和的に制御できます。ZFグループ全体が有するシステムノウハウは、ブレーキとステアリング・システム、アクティブ・ダンパー、ドライブライン・テクノロジーの分野で数十年の経験からなるものです。この包括的な制御は、自動車メーカーを車両の性能、快適性、効率面での細かなチューニングと、ドライビングダイナミクスの妥協から解き放ちます。同時に複雑な支援システムを簡単に組み合わせることができます。cubiXは新しいアーキテクチャに完全に統合できるソフトウェアなのです」と述べている。