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パナソニックとマツダ、「CX-60」の車載情報制御系システム開発にMBD(モデルベース開発)導入

2023年3月15日 発表

マツダ「CX-60」

 パナソニック オートモーティブシステムズは3月15日、マツダの国内向け「CX-60」に搭載されるコネクティビティマスタユニット(車載情報制御系システム)の開発において、MBD(Model-Based Development、モデルベース開発)の手法を取り入れた新プロセスを確立し、開発工数の大幅な削減を実現したことを明らかにした。

 CX-60に搭載されるコネクティビティマスタユニットの一部に適用された新プロセスは、従来は実機で行なっていた開発を、シミュレーションで検証するMBDの手法で実現。MBDには、実機の試作にかかるコストや人員数、開発期間の削減といったメリットに加えて、シミュレーションで構成するモデルをさまざまに組み替え、多くのアイデアを容易に試せるなど、大きなメリットがあるとしている。

 両社はそれぞれ、同開発プロセスの適用範囲の拡大により、さらなる開発効率化を目指すとともに、MBD推進センターなどと連携し、他自動車メーカー、自動車部品メーカー、ツールベンダーなどを巻き込んだ、業界における標準化活動を推進。モデルを用いた高度なすり合わせ技術を実現することで、日本の自動車産業の国際競争力の向上を目指すとしている。

MBD共創の説明図

 具体的な開発においては、マツダが要求仕様をモデルで設計・検証し、要求モデルとしてパナソニック オートモーティブほか自動車部品メーカーに提示。パナソニック オートモーティブは、マツダから要求モデルを入手し、自社開発ツールでモデル変換・検証、モデルの詳細設計・自動ソフトウェアコード生成を行なう。

 そういった開発をサポートするものとして、マツダ側のツールとパナソニック オートモーティブ側のツールとの間で、互換性を保証した状態でモデルをやり取りするための共通仕様書(モデル交換仕様書)の策定と両社での共通ガイドライン化や、開発中のモデルを相互接続し設計検証可能なシミュレーション環境(共有検証ゾーン)といった、2点の共通基盤を構築した。

 マツダでは、要求仕様をモデルで設計する際に、モデル交換仕様書に記載されたガイドラインにしたがって記載し、パナソニック オートモーティブが使用するツールでの動作を保証。パナソニック オートモーティブでは、実物で動作するようにモデルの詳細設計を実施するとともに、その設計段階で、共有シミュレーション環境を用いて検証。

 モデル化を取り入れたこれらの活動により、会社間にまたがる開発の手戻りを抑止し、開発工数を2割程度削減できる見通しとしている。