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出光興産、再エネか再エネ以外かを選択できる電力分別供給システム「IDEPASS」開発 4月から実証実験を開始

2023年3月29日 発表

再エネか再エネ以外か、使用する電力を選択できる分別供給システム「IDEPASS」を開発。図はIDEPASSによる電力分別供給イメージ

 出光興産は3月29日、再生可能エネルギー由来の電力(以下、再エネ電力)を調達できる施設にて、供給される電力を分別(再エネ電力/系統から送電された再エネ以外の電力)し、ユーザー(電力使用者)がどちらを使用するのか自ら選択できる分別供給システム「IDEPASS(Idemitsu Designated Electricity Purchase and Supply System=イデパス)」を開発したと発表した。

 また、IDEPASSで分別された電力から、EV(電気自動車)ユーザーが自ら再エネでの充電を選択できるシステム「再エネチョイス」も開発し、両システムを使用した実証を2023年4月より開始するとしている。

 出光興産はこれまで、地域創生と社会課題解決を目的に太陽光発電・EV・蓄電池などの最適制御によるコスト・環境負荷低減などに資するシステムの構築を行ない、さまざまな自治体と連携して「エネルギーの地産地消」に貢献する取り組みを行なっている。今回はこれらの知見をもとに、再エネ電力のさらなる普及と地産地消を目的として「IDEPASS」「再エネチョイス」を開発したという。

IDEPASS(イデパス)の主な特徴

 これまでショッピングモールや空港、庁舎等の単一施設に供給される電力については、施設内に入居する複数のテナントや部屋単位での使用電力選択はできなかったが、電力分別供給システムIDEPASSは、ブロックチェーン技術による高いトレーサビリティとデータの信頼性に加え、従来の類似システムよりも細やかな「分別単位(分電盤設置単位)」で供給電力を分別・可視化し、電力を分別供給することを可能とした。これにより、テナントごと、分電盤設置状況によっては部屋ごとに、ユーザー自身がどの電力を使用するのかを選択が可能となる。

 また、現在、電力の取り引きは一般的には30分単位で行なわれているが、IDEPASSでは、発電から消費の流れを捕捉する電力取引管理システムを1分単位で運用することで、EV充電のようなごく短時間の電力供給においても再エネ電力の供給を選択することができる。充電は同じく出光興産が開発したEV充電システム「再エネチョイス」を使用。再エネチョイスは、再エネ電力を一定比率で含む充電を選択してEV充電できるシステムで、環境意識の高いEVユーザーのニーズに対応するとしている。

「再エネチョイス」によるEV充電時の電力選択画面のイメージ

 今後の展開としては、4月から「IDEPASS」「再エネチョイス」を使用した電力供給事業の実証を開始し、実証により事業性の検証・評価を行ないつつ、並行してカーボンニュートラル達成に向けた総合的な施策として、「IDEPASS」「再エネチョイス」のほかにも、「オンサイトPPA用太陽光パネルやEV充電器」などのパッケージ導入を、全国の自治体や企業に提案するとしている。

 なお、IDEPASSが分別供給する再エネ電力は、当初段階ではオンサイト電源で発電された電力のみだが、地域内にあるオフサイト電源で発電された電力についても今後は分別供給の対象とする見込みという。これにより、ショッピングモールや空港、庁舎など比較的大規模な施設のみならず、オンサイト発電設備を保有しない比較的小規模な施設のテナントや、集合住宅に居住する区分所有者にも再エネ電力の利用を促進するという。

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