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TOYOTA GAZOO Racing、ル・マン24時間レースに富士通のAI技術を活用した映像データ分析プログラム投入

2023年5月11日 発表

TGRの「Hypercar」

 富士通は5月11日、同社のAI技術を活用して、WEC(FIA世界耐久選手権)に参戦するTOYOTA GAZOO Racing(以下TGR)の映像データ分析プログラムの開発を支援、同プログラムが6月7日〜11日にフランスで開催予定の「ル・マン24時間レース」で適用予定であることを明らかにした。

 WECの最高峰クラスの「Hypercar」で競うTGRでは、かねてよりレースで勝利するためのデータ利活用を重要視しており、車両に取り付けた数百のセンサーからリアルタイムに情報を収集し、ピットに配信されたデータを実際のレースで戦略に活用していた。しかし、車載カメラの映像データをレースに活用するには、人手によるデータ検索や映像分析作業が必要であった。

 今回、富士通はAI技術を用いてTGRの映像データ分析プログラムの開発を支援。TGR向けに開発を支援した映像データ分析プログラムの適用により、車載カメラの映像データをリアルタイムに分析し、車両周辺の状況を可視化。また、日中だけではなく、夜間や悪天候の場合でも映像を正確に分析できるようAIの設定パラメータを最適化することで、耐久レースであるWECに適応し、瞬時にレース戦略へ活用することが可能になったとしている。

 TGRでは、ベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットで4月27日〜29日に開催された「スパ・フランコルシャン6時間レース」より、新しい映像データ分析プログラムの適用を開始。同プログラムを活用することで、TGRは、レース車両に取り付けたカメラから取得した映像データをもとに、刻々と変化するレース状況に応じて柔軟に戦略を見直すことが可能になるとしている。

 富士通では、モータースポーツの領域において、デジタル技術の活用により、レースの勝利に加え、ファンエンゲージメントの強化やサステナブルなレース運営にも貢献。この取り組みで得られたテクノロジーと知見を活かし、走行中の車両周辺の物体を識別する技術を向上させ、今後、自動運転の開発や、歩行中・横断中の人の認識率向上を支援することで、安心安全な交通社会やスマートシティの実現に向けて取り組んでいくとしている。