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第90回ル・マン24時間で1-2フィニッシュのTOYOTA GAZOO RACING、喜びの声を報告 初出場で優勝した平川亮選手「これ以上のものは望めない」

2022年6月13日 発表

第90回ル・マン24時間はTOYOTA GAZOO RACINGの8号車(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮組)が優勝

 6月12日(現地時間)、フランス ル・マンのサルト・サーキットでWEC(FIA世界耐久選手権)第3戦 第90回ル・マン24時間の決勝レースが行なわれ、TOYOTA GAZOO RacingのGR010 HYBRIDが1-2フィニッシュ、2018年の初優勝以来5連覇を達成した。優勝はTOYOTA GAZOO RACINGの8号車(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮組)、2位は同じTOYOTA GAZOO RACINGの7号車(小林可夢偉/マイク・コンウェイ/ホセ・マリア・ロペス組)。7号車、8号車のドライバーが喜びの声を報告した。

 今年のル・マン24時間はレース全体を通して好天に恵まれ、一時、部分的な低速走行区間があったものの、セーフティカー出動は1回のみと波乱の少ない、クリーンなレースとなった。2台のGR010 HYBRIDはコース上の混雑やスローゾーン、コース条件の変化などに見舞われる中、何度も互いの順位を入れ替えながら僅差での首位争いを繰り広げ、TGRの2台による数秒差での首位争いは16時間にも及んだ。しかし、256周目に首位を走行していたロペスの7号車がフロントモーター関連の電装系トラブルに見舞われたことで、このバトルは終焉を迎える。

 一旦はコース脇に車両を停めたロペス選手だったが、システム再起動で走行を再開しピットイン。さらなる再起動作業などでこのトラブルを解決した7号車はそれまでのスピードを取り戻したが、このタイムロスによって首位に立ったハートレー選手の8号車からは約1周分の差がつくことに。車両性能が拮抗した2台においてこの差は大きく、ロペス選手は最後の30分に最速ラップを出す走りで追い上げたものの、再び追いつくまでにはいたらなかった。

 これにより、6月9日のハイパーポールで最終盤に逆転アタックを見せてポールポジションを獲得したハートレー選手が8号車の最終走者を担当し、第90回ル・マン24時間レースの栄光のチェッカーをトップで受けた。ロペス選手の7号車がこれに続き、計5177kmという長い戦いをTGRの2台は同一周回の1-2で走り抜いた。

計5177kmを走りぬいて8号車が優勝、7号車が2位とGR010 HYBRIDが1-2フィニッシュ

小林可夢偉選手(チーム代表 兼 7号車 ドライバー)

 8号車で優勝を果たしたセバスチャン、ブレンドン、亮の3人を祝福します。残念ながら我々の7号車は朝方、トラブルに見舞われリードを失ってしまいました。8号車とはそれまでずっと僅差の良いバトルを繰り広げていただけに、トラブルは本当に残念です。24時間レースではこういうことも時々起こります。とはいえ、7号車が無事にレースに復帰し、TOYOTA GAZOO Racingの2台が同一周回の1-2でフィニッシュできたことはチームによる素晴らしい努力のおかげです。このレースウィーク、本当に頑張ってくれたマイクとホセ、そして、7号車のクルーにも感謝します。1-2フィニッシュを目指してル・マンに挑みましたが、チーム全員の頑張りによりそれを達成することができ、本当に感謝しています。

マイク・コンウェイ選手(7号車 ドライバー)

 ここル・マンにはあまり好かれていない気がします。いつも何かが起こってしまいます。昨年は勝つことができましたが、それまで何度もここで厳しい思いをしてきました。優勝したチームメイトの8号車、特に亮はおめでとう。初挑戦で優勝できるというのは格別でしょう。可夢偉とホセと共にレースを戦うのはいつも喜びであり、ル・マン勝利に全てを捧げてきましたが、あと一歩届きませんでした。とはいえ、チームの1-2フィニッシュと、TOYOTA GAZOO Racingの5連覇は素晴らしい結果で誇りに思いますし、東富士やドイツ・ケルンのチーム関係者全員に感謝します。まだWECのチャンピオン争いは3戦残っているので、気持ちを切り替えてプッシュしていきます。

ホセ・マリア・ロペス選手(7号車 ドライバー)

 ル・マンで優勝できなかったのは悔しいです。しかし、われわれはチーム全員が勝利を目指して戦っており、負けを認めてチームが1-2フィニッシュを果たせたという好結果を素直に喜びたいと思います。8号車のクルー、おめでとう。素晴らしい戦いぶりでした。ほぼ完璧なレースを戦う中、ハイパーカークラスのライバルは皆、何らかのトラブルに見舞われたこともあり、われわれ2台は大きく差を広げることができました。その後も完璧を目指して戦い続け、GR010 HYBRIDの速さも示せて勝利も見えていただけに、トラブルに見舞われたのは本当に悔しいです。しかし、チームのおかげでコースに復帰し、戦い続けることができました。TOYOTA GAZOO Racingの1-2フィニッシュに貢献できたことには満足しています。

セバスチャン・ブエミ選手(8号車 ドライバー)

 亮とブレンドンと共に、表彰台の中央に立つという格別な瞬間を味わい、その後の自分を言葉で表すのは難しいです。初めて8号車のクルーとしてル・マンに出場した亮と共に優勝できたのは最高です。彼は本当に素晴らしい走りで、その功績を称えたいと思います。チーム全員、そして、われわれ8号車のクルーも一切ミスすることなく、車両にもダメージを負わず、完璧なレースを戦い抜きました。私にとってル・マンでの4度目の勝利、また、TOYOTA GAZOO Racingの5連覇を勝ち取ることができ、信じられない気持ちです。今日達成した偉業を実感するには少し時間が必要になりそうです。

ブレンドン・ハートレー選手(8号車 ドライバー)

 TOYOTA GAZOO Racingのル・マンでの1-2フィニッシュを達成できて嬉しいです。ハイパーポールでアタックを担当し、ポールポジションを獲得した時も素晴らしい気分でしたが、決勝のチェッカーを受けたときはさらに最高でした。ル・マンで最後のドライバーを担当しトップでチェッカーを受けたのは初めての体験だったので、フィニッシュラインを越えたときは感無量でした。レース中は結果については考えないようにしています。レースは、特にトヨタにとっては、最後の最後まで何が起こるか分からないからです。だからこそチェッカーを受けたときには全ての感情があふれ出し、信じられない気分でした。亮は本当に良いドライバーで、彼が初優勝を果たせたことも嬉しいです。われわれは皆、彼のことが大好きで、すでに彼は強力なチームの一員です。また、7号車のクルーとの関係も良く、レースの大半で、素晴らしいバトルを楽しむことができました。バトルの間はずっと全開でしたが、彼らにトラブルが発生したあとは、リスクを最小限に抑えて走りました。

平川亮選手(8号車 ドライバー)

 伝説のドライバーが並ぶ、ル・マンウィナーのメンバーリストに名を連ねることができ、光栄です。正直なところ、まだ夢が叶ったという実感がありません。ずっと接戦で、特に7号車とは素晴らしいバトルができました。私がチームに加わって以来、沢山助けてくれたセバスチャンとブレンドンには本当に感謝していますし、彼らと同じチームでドライブでき光栄でした。TGRのメンバーとして初めてのル・マンで1-2フィニッシュを飾れたというのも最高ですし、ハードワークを続けてくれたチーム全員に感謝します。われわれ8号車は戦略もピットワークも完璧でしたし、一切トラブルも起こらないレースでした。これ以上のものは望めないと思います。