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CJPT 中嶋裕樹社長に聞いて分かった、スズキ、ダイハツ、トヨタ共同開発の新型バッテリEV 航続距離約200km、価格は補助金で200万円以下に

2023年5月19日~21日 一般展示

スズキ、ダイハツ、トヨタ共同開発の新型バッテリEVを紹介するCJPTスタッフ。右がCJPT 中嶋裕樹社長

スズキ、ダイハツ、トヨタ共同開発の新型バッテリEV商用軽バン

 G7広島サミットに合わせ、自工会(日本自動車工業会)が自動車業界のカーボンニュートラル(CN)達成に向けた取り組みを紹介する展示を「ひろしまゲートパークプラザ」(広島県広島市)で行なっている。

 FCEV(燃料電池車)や合成燃料車などさまざまな車両を展示しているが、その中でも世界初公開となったのが、スズキ、ダイハツ工業、トヨタ自動車が共同開発する新型バッテリEV商用軽バン(プロトタイプ)になる。この車両は、スズキ、ダイハツ、トヨタも加わっているCJPT(Commercial Japan Partnership Technologies)が企画に参画しており、FCEV(燃料電池車)の大型トラックによる幹線輸送、FCEVやBEV(電気自動車)の小型トラックによる輸送を引き継ぐ、軽自動車によるラストワンマイルの輸送を担うものとなる。

カーボンニュートラルロジスティックスのラストワンマイルを担う新型バッテリEV商用軽バン

 会場にはCJPTの社長でもあり、トヨタ自動車の副社長でもある中嶋裕樹社長が訪れており、3社共同開発の新型バッテリEV商用軽バンについて中嶋社長やCJPTスタッフにうかがってみた。

 現段階でこの新型バッテリEV商用軽バンは、従来からある軽商用バン(ダイハツ ハイゼットカーゴ)をベースとして開発されたものになっている。荷室サイズや使い勝手など、商用利用において重視されるポイントは同じとなっており、ガソリン車と複数台運用する上で、荷物を詰める数に変わりはないという。

 運転においてもそれは同様で、EVだからといって特別な運転方法は必要ない(設定されていない)。バッテリEVらしさを感じる部分はシフトレバーまわりに現われており、バッテリ消費を防ぐためのシートヒーター、電動車ならではのAC100V1500W、シガーソケット、さらに2.1AのUSB-Cと給電まわりが強化されている。

スライドドアを装備。充電は前からとなる
ラストワンマイルの構想

 気になるバッテリ容量については非公開となっているものの、一充電あたりの航続距離は約200kmを目指すとしており、ラストワンマイルの使い勝手を検討した結果とのこと。

 価格はバッテリ容量と絡む部分にもなるのだが、「補助金込みで200万円以下を目指す」(CJPT 中嶋裕樹社長)と語り、ホンダが2024年春に発売すると発表している「N-VAN」ベースの軽商用EVと、真っ向からぶつかる製品になる。

 気になる発売時期は「2023年度内」(つまり、2024年3月までに)としており、そういった意味でも近い発売時期となっている。

 充電口については、フロントに普通充電200Vとチャデモの急速充電を用意。フロントに取り付けたのは、営業所などで複数台並べて充電するときに密度を上げられるのと、使い勝手をよくするため。急速充電があるのも、なんどでも配達に行きやすくするためと商用での使い勝手を想定している。

新型バッテリEV商用軽バンのコクピット。華美ではないが、とくに不満もない
シフトレバーまわり。豪華な給電設備が目を引く

 CJPT 中嶋裕樹社長は、「大トラ、小トラときて、ラストワンマイル」とカーボンニュートラル社会における輸送の位置付けで新型バッテリEV商用軽バンの魅力を語っていたが、AC100V1500Wがシフトレバー横にあるなど、いつでもどこでもPCやスマホなどITガジェットを使う人にとっての使い勝手も高い。ステレオカメラのADASも搭載して価格が100万円台になるのであれば、バッテリEV入門車としての商品力も高い。

 カーボンニュートラルとの文脈で語られるバッテリEVではあるが、購入する側から見るとガソリン車にはないバッテリEVならではの機能や魅力に期待したいところ。商用という軸がある新型バッテリEV商用軽バンは、多様な電源を備えるなど新しい魅力に期待できそうだ。

両側スライドドアを装備する