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SUPER GT第3戦 鈴鹿決勝は衝撃の大クラッシュで赤旗終了、GT500は19号車「WedsSport ADVAN GR Supra」、GT300は7号車「Studie BMW M4」が優勝

2023年6月3日~4日 開催

6月4日の午後に鈴鹿サーキットでSUPER GT 第3戦「2023 AUTOBACS SUPER GT Round3 SUZUKA GT 450km RACE」の決勝レースが行なわれた

 SUPER GT 第3戦「2023 AUTOBACS SUPER GT Round3 SUZUKA GT 450km RACE」が、6月3日~6月4日に鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)で開催され、6月4日の午後に決勝レースが行なわれた。

 決勝レースは77周の予定だったが、59周目に発生した23号車 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ組、MI)とGT300クラスの車両とが絡む大クラッシュが発生し、ドライバー(松田次生選手)がドクターヘリで病院へ運ばれるほどの大きなアクシデントになってしまった。それによりレースは赤旗中断となり、結局そのまま再開されることはなくレースは終了となった。

コロナ前のような活気に満ち溢れたピットウォーク
大勢のファンがお気に入りのドライバーに駆け寄りサインをもらっていた
チームによってはジャンケン大会などで景品を配っていた
決勝レース前にフォーメーション走行を披露した三重県警の警察官もGTマシンに興味津々

 GT500クラスの優勝は、赤旗で中断した時点でトップを走行していた3号車 Niterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠組、MI)。2位は19号車 WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南組、YH)、3位は36号車 au TOM'S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋組、BS)となり表彰式もその順位で行なわれたが、20時40分に出された2番目の暫定結果では、2度のピット給油義務を果たせなかったのは不可抗力として優勝となった3号車に対して、給油+ピットイン時間60秒加算が相当と審査委員会の判断が覆って4位に転落し、優勝は19号車 WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南組、YH)、2位は36号車 au TOM'S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋組、BS)、3位は1号車 MARELLI IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット組、BS)となった。

6月12日に発表された正式結果にて、正式にGT500クラス優勝となった19号車 WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南組、YH)

 GT300クラスの優勝も、同じく赤旗中断の時点でトップだった7号車 Studie BMW M4(荒聖治/柳田真孝組、MI)、2位は2号車 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響/加藤寛規組、BS)、3位は52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰組、BS)で、いずれもレース序盤に変則的なピットストップをするという作戦を成功させた3チームが表彰台に並ぶことになった。

GT300クラス優勝の7号車 Studie BMW M4(荒聖治/柳田真孝組、MI)

GT500クラスの序盤は36号車 au TOM'S GR Supraが、中盤は19号車 WedsSport ADVAN GR Supraがレースを支配

 13時30分より行なわれたレースは、スタート時点の気温が28度となっており、この時期の通常に比べるとやや高温という中でレースはスタートしていった。今回のレースでは2回の給油を伴うピット作業を2度行なう必要があり、それをどのようにこなすかがレース戦略上重要になる。

GT500クラスのスタートシーン

 GT500のスタートでは予選順位の順番で1コーナーに入っていった。ホールショットを奪ったのはポールポジションからスタートした36号車 au TOM'S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋組、BS)。以下予選順位のまま序盤は大きな動きがないレースとなった。レースは8周目に発生したGT300車両のタイヤが取れるというインシデントによりFCY(フルコースイエロー、コース全域で80km/h制限での周回)が出され、その翌周にSC(セーフティカー、セーフティカー先導での周回)に切り替わってレースは水入りとなった。

 レースが再開されると、19周目から1回目のピット作業が始まった。35周目に全車のピットストップが終わると、トップに立っていたのは予選2位からスタートした19号車 WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南組、YH)。2位には1号車 MARELLI IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット組、BS)、3位が23号車 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ組、MI)となり、ピットストップ前にトップを走っていた36号車 au TOM'S GR Supraは4位に順位を落としていた。これは36号車のピット作業で他の上位車両よりも5~10秒程度多くかかっており、それが順位を下げた原因のようだ。

GT500クラス2位の36号車 au TOM'S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋組、BS)

23号車 MOTUL AUTECH Zの大クラッシュで赤旗終了、優勝は19号車「WedsSport ADVAN GR Supra」に

 2回目のピットストップを3号車 Niterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠組、MI)以外の車両が終えた段階で、ピットストップを終えた中で事実上のトップに立っていたのは19号車 WedsSport ADVAN GR Supra。19号車は、一度は36号車 au TOM'S GR Supraにピット作業で抜かれていたが、ピットレーンから出てきた36号車 au TOM'S GR Supraのタイヤが温まっていないうちにコース上でオーバーテイクして事実上のトップに立ったのだ。3位は1号車 MARELLI IMPUL Z、4位は23号車 MOTUL AUTECH Zの順になっていた。

 最後に3号車がピットストップを終えた後は、そのままレースは終わるのかとみられていた59周目、4位を走っていた23号車 MOTUL AUTECH Z、30号車 apr GR86 GT(永井宏明/織戸学/上村優太組、YH)、87号車 Bamboo Airways ランボルギーニ GT3(松浦孝亮/坂口夏月組、YH)が絡んだとみられる大クラッシュがシケイン手前で発生し、23号車と87号車の車両が大破。それにより当初はSCが導入されたが、直ぐに赤旗に切り替わってレースが中断された。

59周目に激しくクラッシュしてしまった23号車 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ組、MI)

 87号車の松浦孝亮選手に関しては自力でマシンから降りることができたが、23号車の松田次生選手に関しては意識があることは確認されたものの、車両はモノコックだけが残っているような状態で、かなり大きな衝撃であることはその車両の状況からも推定できた。松田選手はサーキットの医務室に運ばれた後、ドクターヘリで病院へと搬送された(GTAによれば松田選手は一部痛みを訴えているということで検査のために病院へ搬送されたと明らかになった)。

 その後チーム監督がブリーフィングルームに集められ、その話し合いの結果レースは再開されないことに決定され、結局そのままレースは赤旗をもって終了と決定された。

GT500クラスで繰り上がり3位となった1号車 MARELLI IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット組、BS)

 赤旗終了後、暫定の結果が出るまで時間がかかったものの、審査委員会の決定により、赤旗時点で2度目のピットインはしていなかったが、赤旗時点でトップを走っていた3号車 Niterra MOTUL Zが優勝となった。3号車は赤旗時点で2度目のピットストップは行なっていなかったが、不可抗力であると判断され、ルールにもそれを罰する規定はないという判断により、3号車が優勝という暫定結果に。2位は19号車 WedsSport ADVAN GR Supra、3位は36号車 au TOM'S GR Supra、4位は1号車 MARELLI IMPUL Z、5位は100号車 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐組、BS)、6位は14号車 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太組、BS)となった。

 ところが、20時40分に新しい暫定結果が発表され、2度目のピット給油を行なっていなかったことが不可抗力として、1度は優勝と発表された3号車 Niterra MOTUL Zに対して「決勝レースが赤旗中断・中止により2回の給油義務が行なえなかったため、ピットイン+給油相当時間を60秒とした」との判断が下され、60秒がレースタイムに加算。それにより3号車は4位に順位がさがり、2位~4位の順位が繰り上がり、優勝は19号車 WedsSport ADVAN GR Supra、2位は36号車 au TOM'S GR Supra、3位は1号車 MARELLI IMPUL Z、そして4位に3号車 Niterra MOTUL Zとなった。

 その暫定結果のまま1週間が経過し、6月12日に正式結果が発表され、正式に優勝は19号車 WedsSport ADVAN GR Supra、2位は36号車 au TOM'S GR Supra、3位は1号車 MARELLI IMPUL Z、そして4位に3号車 Niterra MOTUL Zで確定した。

レース直後は暫定で優勝と発表された3号車 Niterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠組、MI)だが、20時40分に発表された暫定結果の更新では4位となり、6月12日に発表された正式結果でも4位のままで確定となった

GT300クラスは序盤に変則ピットストップ作戦を成功させたチームが上位に、優勝は7号車 Studie BMW M4

 GT300のスタートは、ポールポジションからスタートした61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組、DL)がホールショットを奪い、2位以下にあっという間に差をつけていった。61号車は2位に1周あたり1秒以上の差をつけて周回し、瞬く間に7秒程度のリードを築きあげた。

GT300クラスのスタートシーン

 その間に、52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰組、BS)、7号車 Studie BMW M4(荒聖治/柳田真孝組、MI)、2号車 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響/加藤寛規組、BS)などが、まだ数周の早い段階でピットに入り、ほとんどは燃料を少しだけ入れて燃料給油2回のピット作業という今回の義務づけのうち1回目をこなす作戦を選択。5号車に関してはタイヤも交換しており、フルサービスのピットイン作業を行なっていた。

 こうした変則ピット作業組の作戦は、8周目に発生したインシデントによるセーフティカー導入で酬われることになる。18号車 UPGARAGE NSX GT3(小林崇志/小出峻組、YH)の右リアタイヤがはずれたインシデントの影響で、FCYその後すぐにSCとなったからだ。それにより、ピット作業をその前に一度終えていたグループは、SCにより前との差が詰まり、大きく得をした形となった。

GT300クラスで優勝した7号車 Studie BMW M4(荒聖治/柳田真孝組、MI)

 1回目のストップをほぼ全車が終えると、トップに立っていたのは2号車 muta Racing GR86 GT、2位には52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GT、3位には7号車 Studie BMW M4と、1回目のピットストップを序盤に行なった3台が上位に。この時点でポールからスタートした61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTは1分近く離されて遅れてしまっていた。どちらも残り1回のピットストップになるためこの差は挽回するのが難しい差となっていた。それぐらい早期のピットストップが成功したということだ。

 レース中盤に、2号車 muta Racing GR86 GT、52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GT、7号車 Studie BMW M4のトップスリーが最後のピット作業を実施。トップを走っていた2号車 muta Racing GR86 GTがピットに入ると、ピットを出たところで7号車 Studie BMW M4とテール・トゥ・ノーズとなり、デグナーで7号車 Studie BMW M4が事実上のトップに立った。

GT300クラス2位の2号車 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響/加藤寛規組、BS)

 すべての車両が2回目のストップを終えると、7号車 Studie BMW M4、2号車 muta Racing GR86 GT、52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GTの順で3台の差がほぼなくなり、この3台によるトップ争いが終盤に展開されるのだとみられたのだが、GT500、GT300の複数車両が絡む事故がシケインの手前で発生し、結局レースはそのまま赤旗終了となってしまった。

GT300クラス3位の52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰組、BS)

 これにより優勝は7号車 Studie BMW M4で、昨年の第3戦鈴鹿以来の優勝となった。2位は2号車 muta Racing GR86 GT、3位は52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GT。4位は56号車 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/名取鉄平組、YH)、5位は11号車 GAINER TANAX GT-R(富田竜一郎/石川京侍/塩津佑介組、DL)、6位は61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTとなった。

GT300クラス表彰
GT300クラスを制した荒聖治選手と柳田真孝選手

【訂正内容について】6月4日20時40分に暫定結果が更新されたので、記事初出時からリザルトの内容を修正しています。6月12日に正式結果が発表されたので、その内容に合わせて記事を修正・加筆しています。