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ミシュラン、新世代航空機用タイヤ「Air X SKY LIGHT」世界初公開 軽量&長寿命を実現しCO2排出量削減に貢献

2023年7月10日 発表

ミシュランの新世代航空機用タイヤ「Air X SKY LIGHT」

 ミシュランは7月10日、第54回パリ国際航空ショー(6月19~25日開催)にて、新世代の航空機用タイヤ「Air X SKY LIGHT(エアーエックス スカイライト)」を世界初公開したと発表した。

 Air X SKY LIGHTは、軽量かつ長寿命でありながら、安全性を損なうことなく、よりサステナブルで優れた性能を発揮する新世代の航空機用タイヤ。従来品と比較して10~20%の軽量化と15~20%のタイヤ寿命延長を実現し、装着してから摩耗して取り外されるまでの離着陸回数が増え、メンテナンスコストとタイヤ輸送コストの削減に貢献するとしている。

Air X SKY LIGHTの特徴

 重量は航空機にとって非常に大きな制約であり、すべての部品において重要視されることから、将来運航する予定の航空機のみならず、現在生産されている航空機に装着した場合でも、軽量化により大幅に使用燃料とCO2排出量が削減できる。例えば「エアバスA320」や「ボーイング737」などのナローボディ機では、メインギアで75kg軽量を実現するほか、「エアバスA350」や「ボーイング777」などのワイドボディ機では、メインギアで最大250kgの軽量が可能になるという。

 さらに、長距離航空機40機に換算すると、タイヤの軽量化だけで年間90万米ドルのジェット燃料を節約でき、CO2排出量を3400メトリックトン削減。中距離航空機100機の場合は、ジェット燃料の節約量は年間60万米ドルで、2200メトリックトンのCO2が削減できるとしている。

 Air X SKY LIGHTは、構造・材料・製造工程など、複数のイノベーションにより誕生したタイヤで、最適化したトレッド構造とトレッド接地面によって、旧世代の同等品と比較して寿命が15~20%延長。また、超耐性ケーシング材料と最新世代のハイブリッドケーブルおよびファブリックなども採用した。さらに、「2050年までにタイヤを100%持続可能にする」というミシュラングループの目標に沿って、従来品以上にサステナブル素材の含有を増やしているという。

 このタイヤは民間航空市場を対象としていて、まずはダッソーの長距離ビジネスジェット機「ファルコン10X」の次期モデルへの装着に向けて開発していて、今後数か月内にテスト飛行を予定しているという。タイヤサイズは、航空会社と航空機メーカーが優先する順番によって拡大していくが、極めて厳しい型式認証および取得ルールの対象となるため、新規開発には2~3年を要するとしている。

 なお、ミシュランは、航空業界に50年以上の実績があり、ラジアルタイヤ、バイアスタイヤ、インナーチューブを、民間および地域の航空会社、一般航空、軍事航空など、世界中の顧客に供給していて、世界大手の建設会社や企業(エアバス、ボーイング、ボンバルディア、コマック、ダッソー、エンブラエル、ガルフストリーム、ホンダジェット、ロッキードマーティン、ピラタス、テキストロンなど)とパートナーシップを構築している。