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ナカジマレーシングが住友ゴム白河工場を訪問 SUPER GTマシンで地域の子供たちや従業員に笑顔をプレゼント

2023年7月24日 実施

ナカジマレーシングがSUPER GTのGT500クラスで走らせている「Modulo NSX-GT」が福島県にある住友ゴム工業 白河工場に展示された

 住友ゴム工業は7月24日、日本最高峰の自動車レースSUPER GTのGT500クラスでタイヤを供給しているナカジマレーシングを招き、地域の子供たちや従業員とその家族向けにモータースポーツと触れ合うイベントを開催した。

 イベント会場は福島県にある住友ゴム工業の白河工場で、実際にSUPER GTに参戦しているレーシングカー「Modulo NSX-GT」が持ち込まれたほか、チーム監督の中嶋悟氏、ドライバーの伊沢拓也選手と太田格之進選手も参加した。

Modulo NSX-GT

 この活動は住友ゴム工業内に向けた「もっとクルマ好きを増やそう!」という企画の一環となり、自社が参戦しているSUPER GTなどのモータースポーツ活動に触れ合う機会を作ることで、ブランドに対する誇りや自信を持ってもらおうというイベント。今回展示されたSUPER GTマシン用のタイヤは名古屋工場で製造しているが、九州の宮崎工場、大阪の泉大津工場、福島の白河工場と国内でタイヤを製造している工場を順々にまわりながら開催しているという。

 また、コロナ明けで久しぶりの開催だったことと、小学校が夏休みに入っていたので、近隣の小学生向けに実施していた別イベント「夏休み わくわく寺子屋」に参加していた子供たちも一緒にモータースポーツとの触れ合を楽しんだ。

レーシングカーを紹介する伊沢拓也選手
ステアリングを披露する太田格之進選手

 伊沢選手は参加した子供たちに「ステアリングに付いているボタンは何に使うでしょう?」「このクルマは最高で時速何キロくらい出ると思う?」などクイズ形式で問いかけ、「ボタンを押すと赤い亀の甲羅が出ます」「最高速はそこを走っている東北新幹線と同じくらいで最高300km/hくらい出ますよ」と、冗談も交えつつ楽しくレーシングカーの性能を紹介。また、「1台で約3億円します」「NSXの純正部品はドアノブくらいかも」など、大人向けにマニアックな説明も行なって会場を盛り上げていた。

子供たちはコクピットの乗り込み体験ができた
みんな楽しそうにステアリングを握っていた
工場長ら3人で乗り込み対決を実施。見ていた従業員は大盛り上がり

 最後は実際にレーシングカーのエンジン始動を披露。マフラーは助手席側にあるとのことで、伊沢選手が「爆音で聞きたい人は助手席側にまわってね」と言うと、ほとんどの子供が助手席側に移動。エンジン始動と共に歓声をあげていた。

 また、伊沢選手はレースの世界でも環境を守るための活動が始まっていて、SUPER GTのマシンは「カーボンニュートラル燃料」を使用していることを紹介。排出ガスの匂いに特徴があると説明すると、子供だけでなく参加していた従業員も匂いを嗅いでいた。以前はあまりいい匂いではなかったそうだが、最近は少しバラの匂いがするようになったと伊沢選手は話していた。

【NAKAJIMA RACING】Modulo NSX-GT エンジン始動 in 住友ゴム工業 白河工場(1分32秒)

モータースポーツがサステナブル材料の開発を推進している

 住友ゴム工業 モータースポーツ部長 竹内二郎氏と、モータースポーツ部 課長代理 菅野展寛氏から、サステナブル材料を使用したモータースポーツ用タイヤについての説明も行なわれた。

 モータースポーツ用タイヤは量産タイヤと異なり小ロットで製造できるため、実用化に向けてモータースポーツの現場で市販タイヤに使えるかの実証を行なっている。現在SUPER GTで使用しているタイヤのサステナブル材料の配合率は38%まで到達しているが、住友ゴム工業が掲げている「2030年までに市販タイヤでのサステナブル材料配合40%」という目標を確実にクリアするためには、先行開発を担うモータースポーツ用タイヤで40%以上の配合率を達成し、その技術を市販タイヤへ落とし込む必要があるという。

住友ゴム工業株式会社 モータースポーツ部長 竹内二郎氏(左)、同モータースポーツ部 課長代理 菅野展寛氏(右)

 サステナブル材料を使用したタイヤには、これまで使っていた材料とはまったく異なるバイオマスやリサイクル材料を使用するため、何十年もかけて磨き上げてきた従来品と同等の性能にたどり着くのは簡単ではなく、性能とサステナブル材料の配合比率をバランスよく高めていくのが課題となる。

 竹内氏は、「サステナブル材料のネックはまだまだ材料自体が少ないのと、コスト面。使えるのが分かってきた材料はいくつかありますが、それを量産できるかとコストが担保できるかが難しい。また、今開発しているサステナブル材料が最適とも限らず、数年後にまた新しい材料が出てくる可能性もあります。レース用タイヤの開発も複雑で、ドライ用とウエット用の2種類とはいえ、実はドライ用でも暑いドライ用と寒いドライ用があるなど、想像以上に大変な作業になります」と開発現場の苦労を語った。

中嶋監督、伊沢選手、太田選手と近隣の子供たちで記念撮影を実施
子供たちは溝のない「スリックタイヤ」を不思議そうに触っていた

 サステナブル素材を採用したレーシングタイヤについて、伊沢選手は「正直、言われないと従来のタイヤか分からないくらい性能は出ている。ただし、ラップタイムだけで見れば同じレベルには届いていないが、フィーリングとしては乗りやすくて扱いやすいタイヤだと思う」との感想。

 中嶋監督は「暑い時期はどのチームも厳しいですが、実はダンロップのレースタイヤは暑さに強いので、次戦の富士、その次の鈴鹿、その次の菅生と暑い時期のレースが続くので、ぜひ応援に来てほしい。今年でナカジマレーシングは40周年を迎えたけれど、すべて応援してくれる人のおかげだと感謝していますし、まだまだ頑張りたい!」とコメント。

 SUPER GTでは2023年シーズンから各レースに持ち込めるタイヤのセット数が1セット減っているが、伊沢選手は「あまり影響はないです」とのこと。「今はサクセスウエイトをほぼ積んでいない状態なので、次の富士戦(8月5日~6日)では、勝てるチャンスがあると思う」と意気込みを語ってくれた。

最後にはじゃんけん大会が実施された
中嶋監督からオリジナルグッズを受け取る参加者
中嶋監督との記念撮影を楽しむ親子