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パナソニック エナジー、ネクシオンとシリコン負極材の売買契約を締結 高エネルギー密度のEV用リチウムイオン電池を米国生産へ

2023年7月27日 発表

 パナソニック エナジーは7月25日、英国のネクシオン(Nexeon Limited)と、車載電池の負極に使用するシリコン材を調達するための売買契約を締結したと発表した。ネクシオンのシリコン負極材は、2025年からカンザス州デソトの新工場で製造するリチウムイオン電池に使用される予定。

 ネクシオン製シリコン材の特徴は、独自構造によりシリコン材の課題であった電池充電時の膨張性を抑制し、良好なサイクル特性を保ちながら負極の容量向上を実現。また、負極のみのポテンシャルとして、セルのエネルギー密度を大幅に向上させることが可能としている。

 一般的に、リチウムイオン電池のエネルギー密度向上のためには、正極の容量アップとともに、負極の容量も引き上げる必要がある。現在負極材に広く使用されている黒鉛に比べ、シリコン材は理論値で約10倍という高い容量を有する特徴を持ち、電池性能向上の鍵となる材料と言われている。しかし、シリコン材の持つ充電時に膨張しやすい特性により電池を劣化させることが添加率を高めるうえでの課題だった。

 パナソニックでは、従来からシリコン材を使いこなす技術開発を積極的に行ない、業界で初めてシリコン材を使用した車載電池の量産化に成功し、エネルギー密度の進化で世界をリードしてきた。今回、ネクシオンが新規開発した、より高容量かつ充電時の膨張を抑制することが可能なシリコン材を業界に先がけて採用することで、さらなる電池の高性能化を推進させる。

 今後、このようなシリコン材の負極への添加率増加を進め、同社戦略で定める、体積当たりのエネルギー密度を現行比で2025年までに5%向上、2030年までに25%向上させるという目標の実現を目指すとしている。