ニュース
シェイドレーシング、「FUJI ファクトリー」公開 カーボンパーツを製造可能で見学エリアも用意
2023年8月5日 05:15
シェイドレーシングは8月4日、富士モータースポーツフォレスト内の新拠点「シェイドレーシング FUJI ファクトリー」内覧会を開催した。
FUJI ファクトリーは、SUPER GTやスーパー耐久シリーズの参戦車両を中心としたレースマシンのメンテナンスをはじめ、カスタマーチーム向けのレースサポート、レースマシン向けのカーボンパーツ製造などを実施する施設。8月5日から稼働する。
これまでシェイドレーシングは富士スピードウェイから少し離れた御殿場市内の工場跡地を借りて、マシンの保管やメンテナンスなどを行なってきたが、富士モータースポーツフォレストの構想がスタートし、富士スピードウェイの敷地内にファクトリースペースが設定されることを受け、自前の施設を用意することになったという。
シェイドレーシング FUJI ファクトリー施設概要
名称 シェイドレーシング FUJI ファクトリー
所在地 静岡県駿東郡小山町大御神字中島617
敷地面積 3万3946m 2
延床面積 1万3088m 2
営業日 不定休
営業時間 10時~17時
入場料 無料
FUJI ファクトリーは大きく分けて「車両メンテナンスエリア」「カーボンコンポジットエリア」「ギャラリーエリア」の3つから構成されている。充実した設備によってよりハイレベルな車両メンテナンスを可能にするレーシングファクトリー本来の目的に加え、FUJI ファクトリーではより多くのモータースポーツファンに向けた施策を実施。
正面入口から入ってすぐのガラス窓越しに車両メンテナンスエリアの作業風景が見えるようになっている。ほかにもレースマシンやレーシングドライバーが実際に着用したスーツ、シェイドレーシングがレース参戦で獲得してきたトロフィーなどを展示して一般公開し、モータースポーツを身近に感じてもらえるようにしている。
車両メンテナンスエリア
5台の車両を1度に作業可能なスペースを用意する車両メンテナンスエリア。ホイールアライメントテスター付きの「マルチリフト」、格納時には柱を床下に収めて作業性を高める「2柱リフト」といった設備を備えるほか、ガラス窓側の一角には定盤を設定。
内部応力を十分に緩和させた鋳鉄製の台を使い、水平に仕上げた定盤を用いることで、より精密な4輪アライメント調整や、マシン各部の高さなどがきちんとレギュレーションを満たしているかの測定を行なう。わずかな狂いも見逃さないリアウィング調整などが可能になるという。
とくにシェイドレーシングが2022年から参戦を始めたSUPER GTのGT300クラスマシンでは、高度なマシンセッティングが求められ、車両メンテナンスエリアを充実させることでマシンの戦闘力アップも期待できるという。
作業スペースから隔壁を挟んですぐ隣にはトランスポータートレーラーの駐車スペースも確保。メンテナンスを済ませたレースマシンを格納して日本各地のサーキットまでより短時間で届けられる体制を整えた。また、当日は富士スピードウェイ周辺でも気温が30℃を超える1日となっていたが、施設内は車両メンテナンスエリアも含めてどこも空調が完備され、快適な環境でエンジニア&メカニック担当が作業できる状態となっていた。
カーボンコンポジットエリア
カーボンコンポジットエリアでは1200×2500mmまで成形可能なオートクレーブが設置され、このほかにもカーボン製品の作成に必要となる「カッティング」「貼り込み・バキューム」「サンディング」「仕上がり確認」といった各工程ごとの作業室を準備。
現時点では自分たちで使用するカーボンパーツの作成を中心に利用することになるが、将来的には外部からのカーボン製品の製造委託を受けることも視野に入れており、レースなどで使用するパーツには機密情報も絡んでくることから、カーボンコンポジットエリアに出入りする人員をカードキーなどでコントロールできる仕組みを導入している。