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ロータス、幻のレーシングカー「Type 66」世界初公開

2023年8月18日(現地時間)発表

Type 66

 英ロータスは8月18日(現地時間)、ロータスの製図技師ジェフ・フェリス氏によって1960年代後半にデザインされたレース車両を現代に蘇らせた「Type 66」を世界初公開した。

 限定10台、価格100万ポンド以上といい、10台となる製造台数は、Type 66が1970年シーズンに参戦していたと想定される10のレース数を記念して選ばれた。100万ポンド(約1億8500万円)を超えるという1台あたりの価格は、ロータスがこれまでに手がけた中で最もエクスクルーシブなプロジェクトになるという。

 Type 66は、ロータスの製図技師ジェフ・フェリス氏によって1960年代後半にデザインされたもので、カンナム・レースシリーズに参戦する可能性を秘めたプロジェクトであったが、技術的なドローイングやスケールモデルに留まっていた。今回、ロータスは、その輝かしいレースの血統と伝統に敬意を表し、デザイナーが最初にペンを走らせてから53年後、ロータスの誇りをもってオリジナルのビジョンを実現させた。

Type 66

 このユニークなプロジェクトは、米国カリフォルニア州で開催されたモントレー・カー・ウィークの一環である「ザ・クエイルモータースポーツ・ギャザリング」で発表された。

 ロータス創業者コーリン・チャップマン氏がモータースポーツにおける商業スポンサーシップの先駆者であった1970年代初頭に、ロータスがレースで使用していた赤、白、金のカラーを反映した、伝統にインスパイアされたカラーリングで一般公開された。

Type 66

 Type 66 の心臓部には、時代を象徴する V型8気筒のプッシュロッドエンジンを搭載。ハンドリングを最適化するためにミッドマウントされたこのエンジンは、ロータスによって850bhp/8800rpm以上を発生するようにチューニング。アルミニウム鍛造クランク、ロッド、ピストンなど、特注の現代コンポーネントが7400rpm(目標実績データ)で746Nm以上のトルクを発生するという。

 エンジン上部には、カンナムを象徴するエアインテーク「トランペット」を装備。これは吸気をスムーズにして層流を作るだけでなく、体積効率を大幅に向上させ、より大きな燃焼とパワーを可能にする。

 シャシーもまた、押し出し成型アルミニウム・セクション、接着ジョイント、アルミニウム・ハニカムパネルなど、当時を彷彿とさせるものとした。サーキット走行時にドライバーが最大限のパフォーマンスを発揮できるよう、Type66 は EPASS モータースポーツパワーステアリング・コラム、リバース付きシーケンシャル レーシングギアボックス、レース用ABSブレーキ・システム、アンチストール・マルチプレート・クラッチ、固定式ロールオーバー・バーといった現代的な快適装備も備えた。

 ロータス・アドバンスト・パフォーマンスのエグゼクティブディレクター、サイモンレーン氏は「Type 66 は過去と現在を完璧に融合させています。ドライバーを50年以上前のモータースポーツの象徴的なデザイン、サウンド、ピュアな舞台にタイムスリップさせ、21世紀のパフォーマンスと安全性を追加しています。これは本当にユニークなプロジェクトであり、75周年という記念すべき年に、ロータスから世界中のファン、そしてほんの一握りのお客様への完璧な贈り物です」とコメントするとともに、「白、赤、金のグラフィックを含め、ビジュアルは当時のものと驚くほど似ていますが、ロータス・Type 66 のテクノロジーと機械的基盤は、今日の高度なレーシングパフォーマンスにおいて最高のものとなっております」と続けた。

 ロータス・デザイン・チームが、このクルマに命を吹き込むことができたのは、ロータスの創始者コーリン・チャップマンの息子であるクライブ・チャップマン氏が持っていた資料のおかげであるという。

 クライブ・チャップマン氏は「このクルマは、同じ時代に開発され、最も成功した F1シャシーであるロータス・Type 72 と 多くの革新的な特徴を共有しています。これらには、フロントウイング用のスペースを確保したサイドマウントラジエーターが含まれます。これは 1970年シーズンのCan-Am ではユニークなことだったでしょう。さらに、車の後部は非常に特徴的で、当時のル・マン耐久車に似ていました。これらの機能により、ライバルと比較してダウンフォースが大幅に向上し、高速安定性が向上し、最終的にはラップタイムが向上したと考えられます」とコメント。

 クライブ氏は、もしType 66 が製造されていれば、ロータス F1のレジェンドであるエマーソン・フィッティパルディ氏がこの Type 66 をドライブしていた可能性が高いことを認め、彼はザ・クエイルのロータスブースで主賓としてこのクルマのお披露目を手伝った。