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ボルボ、新型バッテリEV「EX30」発表会 不動新社長「日本にふさわしいベストフィットなEV」

2023年8月24日 実施

ボルボはブランド発信拠点「Volvo Studio Tokyo」にて新型BEVモデル「EX30」の発表会を行なった

 ボルボ・カー・ジャパンは8月24日、コンパクトSUVの新型BEV(バッテリ電気自動車)モデル「EX30」の発表会を東京青山にあるブランド発信拠点「Volvo Studio Tokyo」で実施した。

 先週末に中国全体を統括する販売会社の代表に就任すると発表された、ボルボ・カー・ジャパン前社長のマーティン・パーソン氏は、「6月にイタリアのミラノで行なったワールドプレミアから、わずか2か月で日本でも発表できることをとてもうれしく思う」と語りつつ、「後継者としてボルボの日本マーケットをよく知る有能な女性です」と、新たにボルボ・カー・ジャパンの代表取締役社長に就任した不動奈緒美氏を紹介した。

8月17日付けて中国全体を統括する販売会社の代表に就任したボルボ・カー・ジャパン前社長のマーティン・パーソン氏

 新社長として初登壇した不動氏は、自身が日本で長く生活していることに触れつつ、「日本人の安全に対する高い要求やサステナビリティに対する関心の高さ。デザインや機能に対するニーズ。狭い道路事情や駐車スペースの狭さ。都心部でも裏道に入れば狭く細い道があり大きなクルマでは苦労することも多々あります。また、歩行者や自転車も多く、最近では電動キックボードが行き交い、より高い安全性が求められています。さらに日本の立体駐車場は幅や高さに制限があり、こうした日本特有の環境によりふさわしいEVが必要だと日ごろから思っていましたが、その期待に応えるのがEX30です。日本にふさわしいベストフィットなEVだと私は思います」と、EX30は時代に求められているクルマであると紹介。

BEVの新型モデル「EX30」。最高出力272PS/6500-8000rpm、最大トルク343Nm/0-4500rpm。搭載するモーターは1つで後輪駆動式
ボディサイズは4235×1835×1550mm(全長×全幅×全高)。ホイールベースは2650mm。車両重量1790kg。最小回転半径は5.4m

 続けて、「未来に向けた全く新しいデザイン。十分な航続距離や高い充電能力など、EVとして大きな進化を遂げる能力。死亡・重症者ゼロを目指すボルボの社内基準をすべて満たした世界最先端の安全性。そして素材選びから製造にいたるまで、CO2排出量を大幅に削減。何より注目いただきたいのは、ボルボ最小のSUVであるだけでなく、この全幅1830mm、そして全高1550mmと都市部の多くの立体駐車場に収まるサイズ。私にはこのEX30のすべてが、まるで私たち日本人のために開発されたように感じています。私がこのボルボ・カー・ジャパンの代表取締役に就任し、最初に皆さんにご紹介できるこの新型車が、日本にベストフィットなEX30であることを、本当にうれしく思っています」とあいさつを締めくくった。

8月17日付けてボルボ・カー・ジャパン代表取締役社長に就任した不動奈緒美氏

ボルボ史上最少であり、もっともサステナビリティなEX30

 ボルボ・カーズ EX30コマーシャル部門の責任者であるフランチェスコ・スペチアーレ氏からは、2040年までにクライメートニュートラル(=CO2排出量実質ゼロ)を目指すボルボにとって、EX30がいかに貢献する1台であるかが紹介された。

 スペチアーレ氏は、EX30はコンパクトカーであることから、「そもそもスチールやアルミニウムといった製造工程における2大CO2排出元を減らせるが、それだけでは2018年比で2025年までに1台あたりのCO2排出量40%削減という目標を達成できないため、製造工程、サプライチェーン、調達ルートも同様に削減していかなければならない」と説明。

 その結果、既存のEVモデル「XC40」「C40」と比較すると、EX30ではカーボンフットプリントで25%削減を実現できているが、車両は25%も小さくなっていない点が重要だとしている。

ボルボ・カーズ EX30コマーシャル部門責任者 フランチェスコ・スペチアーレ氏

 また、小型化以上に既存資源の活用が必要で、より小さくより効果的な再利用が求められ、例えばスーツを仕立て屋が作ると、仕立ての過程で切れ端や余り布が出るが、同じことが車両生産にもいえて、スチールから型を切り出してクルマにする際に、無駄が発生する。この無駄を減らして環境負荷を全般に削減することで、最高の材料利用率を実現できるという。

 実際にEX30では、インテリアからエクステリアまでリサイクルアルミは25%、リサイクルスチールは17%、リサイクルプラスチックも17%使用しているほか、ブロックチェーン技術を活用して、車両バッテリに使う5つの重要原材料のトレースも実施するなどあらゆる工程でCO2排出量の削減を行なっている。

EX30のリサイクル素材の使用率

 搭載バッテリは、リチウム、コバルト、ニッケル、マンガンを組み合わせることで、パワーと航続距離を増強できるNMCバッテリを採用。リアシングルモーターとの組み合わせで、最高480km(欧州参考値)の航続距離、東京から京都までの距離を追加充電なしで走ることが可能。

 最後に充電についてスペチアーレ氏は、「バッテリの充電能力は最大153kWhで、約26分で残量10%→80%までの充電が可能です。これはちょっとしたコーヒー休憩をしている間に充電ができ、またすぐに出発できるということです。またアプリを使えば車内外から充電の設定を変更することも可能です」とバッテリ容量も十分なサイズであるとした。

満充電であれば東京から京都まで走れるバッテリ容量を確保

ボルボらしさは継承しつつ、シンメトリーでスッキリしたデザイン

 デザイン解説は、インテリアデザイン部門の責任者リサ・リーブス氏が担当。

 フロントは、ボルボのアイデンティティである「トールハンマーヘッドライト」を採用し、遠くからでもボルボだとひと目で分かるデザインを継承。また、フロントバンパーサイドには空力と冷却のためのスリットも設けている。

EX30デザインスケッチ
ボルボのアイデンティティの1つ「トールハンマーヘッドライト」

 サイドシルエットは、EV専用プラットフォームの長いホイールベースと、空力との調和のとれたルーフラインを採用。Cピラーには「EX30」のロゴが入り、ルーフはボディ同色かブラックの2トーンを選択できるという。さらに、ボディサイドの特徴的なラインによって、SUVとしての質実剛健さと自信を表現。テールランプもXC90に似たデザインを継承していて、ブランドアイデンティティである「C型グラフィック」と「縦型ランプ」のコンビネーションを採用している。

ボルボ・カーズインテリアデザイン部門 責任者 リサ・リーブス氏

 内装は、インストルメントパネルやドアにサステナビリティ素材を使用したほか、すべての機能パーツを中央に集約。具体的には、ステアリングの前にはメーターはなく、ドライバーが必要とする情報は、中央に配置された12.3インチの縦置きセンターディスプレイに表示させる。また、ウインドウ開閉スイッチはセンターの肘置きに設置し、ミラーの角度調整機能もセンターディスプレイとステアリングのボタンで操作。さらに、フロントドアのスピーカーをなくし、代わりにフロントウインドウの真下に5つのスピーカーを内蔵した横長の「サウンドバー」を配置した。これによりドアへの配線が不要となり、従来ドアスピーカーだった分のスペースも物入として活用できつつ、さらに全体をシンメトリー(左右対称)デザインとすることで部品を共通化し、生産効率を高めながらカーボンフットプリント削減にも大きく貢献しているという。

フロントウインドウの真下に5つのスピーカーを内蔵した「サウンドバー」を搭載する
12.3インチの縦置きセンターディスプレイでは、上部にスピードや警告、中央部にナビゲーション、下部にオーディオやアプリ、車両システムなどを配置。音声でも操作可能となっている

 リーブス氏は「私達の目標は、最大のSUVであるEX90と同じデジタル体験を最小のEX30で提供することなので、このセンターディスプレイは非常に整理されており、もっともよく使うナビゲーション機能、メディアコミュニケーションを中央に、ドライバーが必要とするクルマの情報は運転席から見やすいように上部に配置しています」と説明。そのほかにも、常に学習することでドライバーが必要とする情報を必要とするタイミングで提供していくように進化していくという。

フレキシブルなセンターコンソール

 センターコンソールについては、EV専用プラットフォームを使用したことで、これまでにないフレキシブルさを追求。ドリンクホルダーを必要なときに必要な数だけ出せるようにしたり、携帯の置き充電やUSBポートを配置したほか、コンパクトSUVを乗る女性にも配慮して、ハンドバッグなどもそのまま置ける工夫を凝らしている。また、後席にもUSBポートを配置したほか、脱着式で洗うこともできる収納トレーを採用しつつ、サイドにはスカンジナビアを感じられるヘラジカのイラストを配している。さらに、前席の背面には雑誌などが入るポケットと合わせてスマホ用ポケットも別途で備えるなど使い勝手を追求した内装に仕上げている。

後席用にも使い勝手のよい収納や機能を備える
脱着式の収納トレーを搭載

 インテリアは4つの組み合わせを提案。「ミスト」はウールをブレンドしつつ、フラックスをインストルメントパネルやドアに採用。「パイン」はウールをブレンドしつつ、XC90でも採用されているパイン樹脂(松脂)を使用し、ドアにはフラックスを使用。「ブリーズ」はシートの座面と背面にリサイクルポリエステルを編み込んだ3Dのニット(ピクセルネット)を採用しつつ、住宅の窓枠をリサイクルして作った材料を使用。「インディゴ」はジーンズの生産で廃棄される単繊維をインストルメントパネルやシートの一部に使用している。

ボディカラーは全5色(上記のほかにオニキスブラックもあり)
ミスト
パイン
ブリーズ
インディゴ

価格は559万円。11月中旬発売開始。

 不動社長によると、ユーザーにもっとも期待されている安全性もしっかりと備わっているといい、自転車やキックボードがクルマの横に接近しているときにドアを開けようとすると、音と視覚で警告してくれる「ドアオープニングアラーム」や、ステアリングの前に設置してある赤外線センサーが1秒間に13回、目の動きや顔の動きを検知するほか、ステアリングを握っている力加減も検知することで、ドライバー自身も気がつかない眠気や不注意も警告してくれる「ドライバー・アラート・システム」といった最新の安全装備があると説明。

不動社長は20年以上ボルボに乗っていて、ボルボのよさはよく知っているという

 また、EX30の初期モデル「Ultra Single Motor Extended Range」の価格は559万円で、国や自治体の補助金を利用すれば400万円台になる地域もあるほか、月額9万5000円のサブスクサービス300台を含め、年内2000台の販売を見込むとしている。

 ボルボは2025年までに、新車販売の半分をBEVにすることを目指していることもあり、来年以降はEX30の販売攻勢を強めるという。さらにボルボでは、かなり前からPHEV(プラグインハイブリッド)モデルを積極的に提案してきたことで、BEVモデルへの乗り換えもスムースだといい、現状の販売状況で10台に1台がBEVモデルと、日本全体ではまだ3%というBEV比率からすると10%とかなり高い割合でBEVオーナーが増加している。

サブスクは300台の設定で、10月から先行受付となる

 なお、新型「EX30」は8月26日より、東京・青山にあるVolvo Studio Tokyoに展示されるほか、今後は名古屋、大阪、福岡と、4都市ロードショーを行なうとのことで、会場などは決まり次第アナウンスするとしている。

Volvo Studio Tokyo 概要

住所:東京都港区南青山3-1-34 「3rd MINAMI AOYAMA」1F(青山通り沿い)
営業時間:月曜~金曜 12時~19時、土曜・日曜・祝日 10時~19時
定休日:毎週水曜日、第1・第3火曜日
電話番号:03-6773-1353

Volvo Studio Tokyo外観

EX30導入記念キャンペーンも実施

 また、EX30の発表を記念して8月25日~10月15日の期間「VOLVO Smallest Showroomを見つけようキャンペーン」を実施。キャンペーン期間中に、ボルボ公式InstagramまたはX(旧Twitter)をフォローして、ボルボ公式SNSから投稿される「#VolvoEX30」が付いているキャンペーン投稿をリポスト(リツイート)すると、EX30のサブスクリプションが6か月分や、ダッフルバッグ、リフレクト折り畳み傘、タンブラーなどオリジナルグッズが当たるキャンペーンを実施中。

 精巧にできたミニチュアショールームを、4都市のロードショーと合わせて、その街のどこかに配置するという。配置場所の詳細は明かされておらず、みんなで探し出してほしいとのこと。

・実施期間と展示エリア(詳細は特設サイトを参照とのこと)
東京/原宿・表参道エリア:8月25日~9月3日、9月8日~9月17日、9月22日~10月1日
名古屋/名駅・栄エリア:9月20日~10月1日
大阪/梅田エリア:9月6日~9月17日
福岡/天神エリア:10月4日~10月15日

配置場所の詳細は明かされていない
超精巧にできているミニチュアショールーム
YouTube「EX30登場」篇(15秒)
Volvo EX30 The Unboxing(5分53秒)