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ボルボ、バッテリEVのSUVモデル新型「EX30」を日本初公開 「コンパクトさと価格が魅力」とマーティン・パーソンCEO

2023年6月14日 公開

バッテリEVの新型「EX30」を日本初公開

 ボルボ・カー・ジャパンは6月14日、1週間前にイタリア・ミラノでワールドプレミアしたばかりのバッテリEV(電気自動車)の新型SUV「EX30」を日本で初公開した。

 場所は東京・青山にあるボルボのEVに特化したブランド発信拠点「Volvo Studio Tokyo」で、ここは創業の地であるスウェーデンの空、大地、森を表現したインテリアと最新テクノロジーを融合させ、五感でボルボの世界を体験できる場所となっている。

 そして日本初公開されたEX30は、EVらしさとボルボ特有のプレミアムなスカンジナビアデザインを兼ね備え、多彩なEVパワートレーンを搭載、さらに価格は内燃エンジン車と同等の3万6000ユーロ(540万円前後)など、多くの魅力を詰め込んでデビューした小さくて新しいSUVモデル。実際に目にした感想をお伝えする。

 まずEX30の性能をおさらいしてみると、EV面ではユーザーのニーズに適した選択ができる3つのパワートレーンと2種類のバッテリを用意しているのが特徴だ。市街地での移動が多くその距離が短いユーザー向けとしては、リン酸鉄リチウムの化学反応を使用したLFPスタンダードレンジバッテリ(バッテリ容量は69kWh)を搭載し、最高出力272PS、最大トルク343Nmを発揮するシングルモーター仕様を用意。0-100km/h加速5.7秒、航続距離344kmで、電費は16.7kWh/100km。LFPは次に紹介するNMCバッテリより約30%安いというコストパフォーマンス面だけでなく資源消費が少ないというメリットがあり、たとえばテスラでは、手に入れやすい「モデル 3」や「モデル Y」が使用している。

 逆に最大限の航続距離を求めるユーザーにはリチウム、ニッケル、マンガンを使用した高価でエネルギー容量の大きなNMCバッテリを搭載したシングルモーター・エクステンデッドレンジ仕様がある。0-100km/h加速は5.3秒にアップし、航続距離は最大480km、電費15.7kWh/100kmを実現している。

 また、さらなるパフォーマンスを重視するなら、最高出力315kW(428PS)、最大トルク543Nmを発生して全輪を駆動するエクステンションレンジのツインモーターパフォーマンスモデルがある。航続距離は460kmで電費は16.3kWh/100km。0-100km/h加速3.6秒、100km/hからの停止距離38mというパフォーマンスはボルボ史上最速となる。

 なお、トップスピードは全モデル180km/hに統一。車重はそれぞれ1833kg、1830kg、1943kg。同じツインモーター仕様を比べてみると、「XC40 リチャージ」より200kg以上のダイエットを果たしているのは最新モデルらしいところだ。

 EX30のボディサイズは4233×1836×1549mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2650mmで、上位モデルとなるXC40 リチャージに比べてそれぞれ200mm、40mm、100mm、50mmほどコンパクトなサイズ。回転直径は10.6mで、特に車幅が1850mmを、ルーフ高が1550mmを切っている点は、機械式駐車場の多い日本国内での使用にしっかりと対応できる評価ポイントといえるだろう。

 さて実車であるが、SF映画のヘルメットからインスピレーションを得たというフロントのクローズドシールドデザインは、XC40 リチャージのようなこれまでのICE車にあったフロントグリルを埋めました、というものではなく、最初からグリルがないものとしてスマートにデザインされているのがはっきりと分かる。それは発表済みのEX90と共通するテイストであり、電動車らしさをアピールする効果をもちながらも遊び心が感じられる。アイコンとなるトールハンマーヘッドライトの細く分割したデザインも同様だ。

 サイドからのデザインは、フロントホイールセンターから前端まで788mm、リアホイール先端から後端まで795mmとほぼ同じ数字で設計されていて、前後のバランスがとてもいい。ホイールは20インチの大径で、タイヤはグッドイヤーの「エフィシェントグリップパフォーマンスSUV」の245/40R20サイズを装着していた。Cピラー上部にはEX30のロゴが取り付けられ、充電口は左後輪上側に設けられている。リアでは、テールランプがハッチ左右のC字型と、リアウィンドウ左右の縦バー式ハイマウントが分かれた2階建てになったデザインで、こちらもEX90で採用した新しいもの。センターにはVOLVOのロゴが入る。

 トータルで見ると、四方から眺めたボディにはコンパクトながらみっちりとした塊感があり、素材の厚みを感じさせるデザインを採用することで、見た目からもボルボの安全性をアピールしているようだ。また、空力を意識したボディは写真で見るよりもずっと丸い印象で、スタジオにあった四角い形状の「XC40」と比べてみるとそれがよく分かった。

 撮影車両は先週の金曜日に日本に入ってきたばかりというプリプロダクションモデルのため、今回の撮影は外観のみで、ドアの開閉も不可だった。このため内装の詳細写真を撮ることはできなかったのだが、窓越しならOKということで、センターディスプレイのみのというシンプルな内装はしっかりと確認できた。

EX30のシンプルなインテリア

 撮影会に同席したボルボ・カー・ジャパンのマーティン・パーソンCEOにEX30の魅力を尋ねてみると「まずはそのコンパクトさでしょうか。そして価格面でも魅力的な数字になるはずです。7月には正式発表できるので、それまでもう少しお待ちください」とのこと。

ボルボ・カー・ジャパンのマーティン・パーソンCEO

 また公式サイトには、高い最低地上高をもつとともにフロントのグリル部分(グリル自体はないけれども)、バンパー、サイドのスキッドプレートとフェンダーアーチ、リアのトランクリッドなどをブラックアウトし、ごついオフロードタイヤとブラックホイールを装着した、冒険旅行を心ゆくまで楽しむ人のためとする「EX30 Cross Country」が“Coming soon”として予告されている。2024年に受注を開始し、その年の後半に生産を開始するというから、こちらの登場も楽しみだ。

ブランド発信拠点Volvo Studio Tokyoの所在地は東京都港区南青山3丁目1-34 「3rd MINAMI AOYAMA」1F(青山通り沿い)。営業時間は月曜~金曜 12時~19時、土曜・日曜・祝日は10時~19時。定休日は毎週水曜日、第1・第3火曜日。電話番号は03-6773-1353