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ホンダ、BMWとフォードと共同でEVを活用したエネルギーサービスを提供する新会社「チャージスケープ」の設立に合意

2023年9月12日(現地時間) 発表

ホンダとBMWとフォードが新会社設立を発表した

 本田技研工業の米国現地法人であるアメリカン・ホンダモーターと、BMWグループ、フォード・モーターの3社は9月12日(現地時間)、EV(電気自動車)を活用し電力ネットワーク安定化に貢献するエネルギーサービスを提供する新会社「ChargeScape(チャージスケープ)」の設立に合意したと発表した。3社均等で出資し、2024年初頭の稼働開始を予定している。

 昨今、米国を中心にEVの販売や充電インフラの整備が本格化していく中で、電力供給の安定化が大きな課題である一方、EVと電力ネットワークをつなぐことは新たなビジネス創出の機会としても期待されている。そこで3社はこれまで「Open Vehicle-Grid Integration Platform(OVGIP)」という活動を通じて、電力会社と自動車メーカーが持つ情報を集約するプラットフォームを構築し、試験運用をすることで、電力ネットワーク安定化を目指してきた。

 今回設立するチャージスケープは、複数の自動車メーカーと米国およびカナダ内に数多く存在する電力会社とを結ぶ、共通の情報プラットフォームを構築し、提供するもの。これにより各自動車メーカーのEVが電力ネットワークと効率よくつながり、台数規模を生かした幅広い調整力で電力ネットワークの安定化を目指すという。

 またこの安定化を通じて、電力ネットワークにおける再生可能エネルギー由来電力の活用を最大化し、二酸化炭素排出量の削減に貢献するとともに、EVユーザーの充電料金や電力会社のコスト削減にも貢献するとしている。

 なお、チャージスケープは今後、関係当局の承認取得など、いくつかの段階を経て設立されるほか、3社はチャージスケープが本格稼働を開始後、「他の幅広い自動車メーカーがこの取り組みに参画することを歓迎する」としている。

 チャージスケープが提供するサービスとしては、電力会社と自動車メーカーを共通のプラットフォームで結ぶことで、電力会社に対し、各地の充電状況に関するデータなど、効率的な充電制御サービスに向けたソリューションを提供。これにより、EVユーザーからのデマンドレスポンスの集約や、電気代が安いオフピークの時間帯での充電(V1G)、また将来的にはV2Gと呼ばれるEVバッテリを電力ネットワーク安定化のために用いたエネルギーマネジメントの実現に取り組んでいく。

 電力会社のメリットとしては、EVユーザーとさまざまな接点を持つ自動車メーカーが参画するプラットフォームを使うことで、EVユーザーと効率よくつながることが可能となる。また、EVを分散型電源として活用した効率的な電力需給調整により、電力ネットワークの安定化が図られ、再生可能エネルギー由来電力の活用が最大化される。

 チャージスケープのプラットフォームを使う各自動車メーカーのEVを所有するユーザーは、自動車メーカーが提供するシステムやプログラムへの登録を通じてプラットフォームにつながることで、V1G機能による最適な充電スケジュール管理や、電気代が安いオフピーク時間帯での充電などで、電気代の削減が可能となる。

 また、こうした充電制御サービスは、充電に関する情報や信号の伝達に自動車メーカーならではの車載テレマティクス技術を活用する仕組みにより、家庭にスマート充電器がないEVユーザーも利用が可能で、さらに将来提供を計画しているV2G機能を利用してEVから電力ネットワークに放電することで、EVユーザーが売電による収益を得ることも可能になるとしている。