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ホンダ、2023年度 第1四半期決算 営業利益は四半期として過去最高の3944億円、営業利益率は8.5%を実現

2023年8月9日 開催

本田技研工業 2023年度 第1四半期決算説明会の登壇者。左から本田技研工業株式会社 広報部 企業広報課 課長 秋葉猛氏、財務部 部長 広瀬正治氏、財務部 IR課 課長 丹羽亮輔氏

 本田技研工業は8月9日、2023年度 第1四半期(2023年4月1日~6月30日)の決算を発表。同日に報道関係者向けの決算説明会をオンライン開催した。

 第1四半期の連結売上収益は4兆6249億円(前年同期比20.8%増)、営業利益は3944億円(同77.5%増)、税引前利益は5149億円(同116.9%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は3630億円(同143.3%増)となった。また、グループ販売台数は、4輪車が90万1000台(同10.6%増)、2輪車が447万3000台(同5.2%増)、パワープロダクツ事業が98万3000台(同36.4%減)という結果になっている。

ホンダの2023年度 第1四半期決算

 説明会では最初に、本田技研工業 財務部 IR課 課長 丹羽亮輔氏が決算内容について説明。

 丹羽氏は今回の第1四半期決算について、従来から強化してきた固定費低減に向けた体質改善が奏功し、北米を中心とする4輪車の販売台数増加などによって4輪事業の収益性が大きく改善したことを受け、全社収益では営業利益が四半期として過去最高の3944億円となり、営業利益率も8.5%まで高まっていることをアピール。なお、業績見通しについては期初発表の内容を据え置きとしている。

2023年度 第1四半期決算のポイント

 90万1000台を販売した4輪事業の市場別動向では、米国市場で半導体の供給状況が改善したことで生産台数が回復。さらに前年度にデビューさせた新型車の販売が好調に推移したことから対前年比44.7%増の34万7000台を販売。一方で中国市場では、新エネルギー車市場の拡大に伴う競争激化の影響を受け、販売は前年同期から5.0%減の30万9000台となっている。

 電動化に向けた取り組みは着実に進んでおり、競争力ある次世代のソフトウェア ディファンド モビリティ製品やサービスの開発を目指し、SCSKとパートナーシップの基本合意を締結。北米ではホンダを含めた自動車メーカー7社でEV用高出力充電網を構築する合弁会社の設立で合意していることを紹介した。

4輪事業における主要市場の状況

 447万3000台を販売した2輪事業では、主要市場のインドやベトナムで前年割れとなったが、インドネシアでは販売台数が伸び悩んだ前年同期から、半導体の供給安定化で生産が回復して販売を大きく上積みしたことで、全体としては5.2%増の結果となっている。

 電動化に向けた取り組みとしては、日本で国内初の電動2輪パーソナルコミューター「EM1 e:」の販売を8月からスタートする予定になっているとアピールした。

2輪事業における主要市場の状況

 このほかのトピックとして、ホンダでは同日開催の取締役会において、投資単位あたりの金額引き下げによって投資しやすい環境を整え、個人投資家なども手を出しやすい環境を作り出すことによって投資家層の拡大を図ることを目的に、普通株式を1株につき3株の割合で分割する株式分割について決議を行なった。

投資家層の拡大を図るため、株式分割を実施
事業別に見た市場ごとの販売台数
税引前利益の増減要因
事業別に見た売上収益と営業利益

質疑応答

質疑応答については広瀬氏(中央)が回答を行なった

 後半の質疑応答では、好調となっている米国販売の今後について質問され、これに本田技研工業 財務部 部長 広瀬正治氏が対応。広瀬氏は「基本的な足下の景気は非常に良好です。新車の供給状況も業界全体として回復してきて弊社としても回復しているのですが、それでもまだ需要が供給を上まわる状態です。また弊社としては、先期に基幹車種である『アコード』『CR-V』『パイロット』といった新型車を出して、これらがなかなか供給が追いつかない状態だったので、需要の引き合いは大変強いです。したがってあまりインセンティブを付けなくても売れていく状況が続いており、販売が強い状態が続いています。ただ、金融市場を見ると、米国の景気指標自体は上がっていますので、今後の市場動向は注視していきたいと考えています」と回答。

 中国市場における販売台数減が業績に与える影響について広瀬氏は「足下では値下げ競争、新エネルギー車へのシフト、景気後退といった要素があって販売状況は非常に苦しいところです。ただ、このあたりは5月発表の通期見通しに織り込んでいるもので、販売台数としてはほぼ計画どおりです。ただし、5月、6月に弊社の基幹車種であるアコードとCR-V、中国における兄弟車となる『インスパイア』『ブリーズ』といったモデルを発売して、これらにはハイブリッドだけではなくPHEV(プラグインハイブリッドカー)も含むのですが、当初はニューモデルなのでインセンティブを少し抑えめにしていましたが、実際には値引き競争に巻き込まれる形になってしまい、ある程度のインセンティブを付けて売っているという状況です」。

「台数としては基本となる計画にオンラインですが、インセンティブを使っての販売になるので、持ち分法利益のところで影響が出ます。弊社でもラインアップにPHEVやBEV(バッテリ電気自動車)を出していますが、当面はガソリン車やハイブリッドも売っていくというところで、ある程度のインセンティブを付けながらも期初発表の140万台という中国販売の目標を達成していきます。インセンティブの使い方もなるべく効率的にして、沿岸部の市場ではかなり新エネルギー車にシフトしてますので、内陸部などまだまだガソリン車やハイブリッドが売れる市場でエリアを定めて販促を掛けていくといった形で進めていきます」と解説した。

 半導体供給の今後の見通しについては、「5月に発表した通期見通しでも半導体の供給制約は上期まである程度は残るとの前提になっており、生産・販売については下期に延ばしていくという計画で、今回の第1四半期として考えると、4輪車ではわれわれが『これぐらいの半導体があれば、制約があっても作れるだろう』と考えるなかで進んでおります。これは各国で同じような状況です。2輪車ではインドで環境規制の対応に『OBD2』の半導体が必要になり、4月から部品を入れ替えることになった関係で少し足りなくなっています。これがインドでの2輪販売伸び悩みの原因にもなっていますが、従来から問題になっていた4輪車ではある程度見通せるようになって、ほぼ計画どおりになっています」。

「多少半導体が足りなくなることもありますが、昨年、一昨年では2週間先、1か月先の半導体供給が急になくなってしまうようなことも起きて対応しきれないところもあったのですが、今は数カ月先までは見えるようになって、半導体のサプライヤーさんと直接交渉するようにもなって、機種の入れ替えなどでも対応が取れるようになっております。それにより、現在の見通しに沿って半導体を手に入れて新車を製造し、販売する体制が整っています」と説明している。