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ホンダ、2022年度第1四半期決算は売上収益3兆8295億円、営業利益2222億円で増収減益 営業利益の通期見通しを8300億円に上方修正
2022年8月10日 18:15
- 2022年8月10日 開催
本田技研工業は8月10日、2022年度 第1四半期(2022年4月1日~6月30日)の決算説明会をYouTube LIVEでオンライン配信した。
第1四半期の連結売上収益は3兆8295億円(前年同期比6.9増)、営業利益は2222億円(同8.6%減)、税引前利益は2374億円(同23.8%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は1492億円(同32.9%減)となった。また、グループ販売台数は、4輪車が81万5000台(同18.3%減)、2輪車が425万1000台(同9.6%増)、ライフクリエーション事業が154万6000台(同9.5%減)という結果になっている。
説明会では最初に、本田技研工業 取締役 代表執行役副社長 竹内弘平氏が決算内容について説明。
竹内氏は第1四半期決算のポイントとして、4輪車の生産台数が半導体の供給不足、上海ロックダウンの影響などによって中国、北米などの市場を中心に減少したが、これは期初発表の見通しに対してほぼ計画どおりに収まっているとした。
また、営業利益は4輪車販売の減少や原材料価格の高騰といった影響で前年同期からの減益となっているが、2輪車販売台数の増加、全社一丸となった収益改善の取り組みなどにより、前年並みの営業利益率を確保できたとアピールした。
2022年度通期見通しとしては、半導体不足やインフレの影響など先行きは依然として不透明だが、ホンダではグループ販売台数を期初発表の数値で維持。為替の変動による増益効果、インフレによって想定されるコストアップを反映して、通期見通しで売上収益を5000億円増の16兆7500億円、営業利益を200億円増の8300億円に上方修正している。このほか、同日開催の取締役会で、1000億円を上限とする自己株式取得の実施を決定したことも明らかにしている。
4輪車販売では、日本で「ステップワゴン」、米国で「HR-V」といった新型車を投入した効果は見られたものの、半導体の供給不足、上海ロックダウンなどの影響により、各市場で販売台数が前年同期より減少。米国では需要が堅調ながら、販売店で在庫車を保有していた前年同期と比較すると販売台数が大きく減少しているという。
しかし、2022年度通期の販売としては、需要は堅調に推移すると見込んでいるが、半導体の供給不足、新型コロナウイルスの感染再拡大などの影響により、引き続き不透明な状況が続いていくと想定。ホンダでは「CR-V」「ZR-V」などの新型車を積極的に市場投入することで販売を強化。期初に発表した計画台数を維持していくと述べた。
2輪車販売では半導体の供給不足などによる影響で一部の国で前年同期を下まわったが、最大の市場となっているインドで大幅に販売増となり、グローバルでは前年同期を上まわる結果となっている。
税引前利益の増減では、4輪車の販売減などによって894億円の減益
続いて本田技研工業 執行職 経理財務統括部 部長 藤村英司氏が、決算詳細について解説を実施。
前年同期から739億円減の2374億円となった税引前利益の増減要因について藤村氏は、「販売影響」ではインセンティブの削減効果などはあったものの、4輪車の販売台数減などによって894億円の減益、「諸経費」では主に品質関連費用の増加で120億円の減益となり、「売価/コスト影響」では原材料価格の高騰も影響したが、車両価格の値上げやコストダウンによって144億円の増益になっていると内訳について解説。「為替影響」による642億円の増益効果を加味しても減益を吸収しきれない結果となっている。
また、「持分法利益」として出ている333億円の減益は主に中国にある持分法関連会社によるもので、約半分は販売台数の減少によるもの。残りは中国市場でこれまで展開してきたアキュラビジネスの打ち切りに関連する損失、クレーム対応などの一過性の影響、国内関連会社における株価影響による持分投資の減損処理、国内関連会社の年金制度変更に伴う会計上の損益を反映したものになっているという。
質疑応答
後半に行なわれた質疑応答では、台湾海峡で緊張感が高まっている情勢を受け、半導体の供給に関する地政学的リスクに対して何かしらの取り組みを行なっているのかといった質問が出され、これに対して竹内氏は「台湾が半導体生産で集積した地域であることは事実であります。ほかの地域として、台湾以外では中国であるとか、アメリカであるとか、日本にも新しい半導体工場が造られていますが、少し時間がかかります。なるべくほかの方法で、デュアルソースなどをしていたりしますが、やはり台湾以外の場所はなかなか難しいところもあります。設計の変更であるとか、手元の在庫を少し厚めするといった対応で、あまり具体的にはなっていないかもしれませんが、そういった対応をしつつ考えているところです」。
「現実の地政学的リスクは非常に難しい問題ではありますが、自工会も含めてすべてのところにお話をしながら自動車産業全体を含めてどのようにしていくか、注視しながら検討していく。これぐらいしか今日の時点ではお答えできないです」と回答した。